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2019年帝劇エリザベート新キャスト感想

レ・ミゼラブルの世界から黄泉の世界へと変貌を遂げた帝劇で、2019年エリザベートが開幕して1週間ちょっと。

新メインキャストさんを一通り観ることが出来ました。

これから皆さん更に役を深めていくと思いますが、現時点での感想をとりあえず、エリザベート再演、再再演組の皆さんとともに書き留めておきます。

※現在、2019年メインキャストさんで観られていないのが、ルドルフ京本大我さん、ゾフィー剣 幸さん、香寿たつきさん。

以下、ネタバレありなので要注意です。

目次

最初に | トート登場シーンは、あれでいいの?

今回のどうしても気になった点を🤔

私はエリザベートという作品が大好きですが、演出で1番好きなのはウィーンオリジナルのハリー・クプファー氏のもの。

ウィーン版は、東宝版と比べるとシャープで退廃的かなと思います。

日本の東宝版の演出は、自分の好みと少し違います。とはいえ作品が好きなので過去何度もみています。

でもなあ...

なんか、小池先生の趣味に走り過ぎてるんじゃないか。ちょっとついていけない気になりました。今年の公演。

まず、トート閣下登場シーン

以前から、東宝版では宙づりになってトート閣下が上から降りてくる仕様で、黒い羽根が生えているんですよね。過去にはゴンドラにのって移動していた時もありました。

もともと、この登場の仕方は、少女漫画っぽくて好きじゃないです💦

ウィーンオリジナル版では、ヤスリの形をした跳ね橋を歩いてトートが登場するのですが、このヤスリは、ルキーニがエリザベート暗殺に使ったヤスリをモチーフにしたもの。

すごくシニカルだし、作品的に意味のあることで、ウィーンオリジナルだけでなく、多くの国で取り入れられています。お隣韓国のエリザベートでもそう。

でも、日本は羽の生えたトート閣下が宙づりで登場...

日本は宝塚のエリザベートが先だから、そちらに寄っているのか。私は宝塚版を観たことがないので良く分からないのですが....

個人的に好きではないけど、これが日本のエリザだから仕方ない。

と思って10年以上たつのですが、今年、羽が巨大化していました。

しかも、外側が青やムラサキの電飾でチカチカ光っているー!!

紅白歌合戦に出てくる小林●子さんみたいじゃないですかー

これを認めてしまっていいの?www

あと、2幕最初のルキーニのキッチュ。

ライトがチカチカ、昔のディスコやライブっぽい。

舞台全体が、黄泉の国というより、新宿コマ劇場(よくわからないけど、昭和なイメージ)という感じ。

2016年はまだ良かったのだけれど、余計なものを加えてしまったのが2019年のエリザベートという印象です。

東宝エリザも何度も公演を重ね、あれこれ変更を加えたくなったのかもしれないですね。

曲が好きだし、キャストさんもいいから、結局喜んで行きますけど....

2019年エリザベートキャスト感想

新旧キャストさんの感想です。新キャストさんから先に書いていています。

エリザベート:花總まり/愛希れいか(新)

今回新エリザベートの愛希れいかさん。「ちゃぴさん」と呼ばれているみたいですね。

すごく好きなシシィでした。

少女時代のシシィに野性味があり、バイエルンの山々を自由に駆け巡っている様子が目に浮かぶよう。

心から自由を愛しているし、そんな自分をよくわかっている感じ。

「私だけに」を歌うとき、花總まりさんシシィは、この歌で自我に目覚める、という印象でしたが、

ちゃぴさんシシィは、それ以前から”自分にとって自由がどれほど大切か”分かっていて、自分の気持ちを確かめながら歌っているようにみえました。

その後も、自分と馴染まない世界に対し、全力で闘っているよう。

ちゃぴさんシシィでこの作品で初めて納得できたのが、二幕の「私が踊る時」のあとの精神病院訪問のシーンでした。

ここのシーン、何度見てもちょっとわかりにくい部分があり、理由は「私が踊る時」では、シシィが人生の頂点で勝ち誇った表情をしているのに、場面がガラっと変わって精神病院では突然シシィが自由のなさを嘆いているので、観客がシシィの気持ちを追いづらいからかなと思ってます。

でもちゃぴさんシシィは、最初から、”自由がないと自分ではいられない”というのが強く伝わってきたので、ここのシシィの孤独と閉塞感が、強く伝わってきました。

歌も、地声からの高音がよく出ていてとても良かったです。

宝塚時代、娘さん役でシシィも演じられてたようですが、男役も経験があるとのことで、声域が広いのかな。

あと、「最後のダンス」で、トートに操られているような体の動きもとても美しかった。もともとダンスがお得意なんだとか。素晴らしい~!

自由を求めて闘い、最後に自由を手に入れるまで、見事なシシィの一生でした。

 
そして、花總まりさん。

大好きなエリザベートで今年も素敵。

再再演組の田代さんフランツ・ヨーゼフにも言えるのだけど、年齢の重ね方がほんとうに見事です。

初々しく可憐な少女時代は、フランツヨーゼフが一目惚れし、その生涯をかけて愛し続けると女性というのが、すごく納得できる可愛さです。

そこから一幕ラストのトート・フランツとの三重唱では、可憐さが消え、自己愛とエゴに満ちた美しさに圧倒されました。

そして「私が踊る時」のシシィ絶頂期時代には、トート相手に不敵な笑みを浮かべ、これ以上ないほどの自信をみなぎらせ、さらに時が経ち長年の放浪から帰り息子ルドルフの頼みを断る表情は、ただの「無」。

花總さんは、少女時代は無邪気で表情豊かなシシィだったのに、ここまで無表情になるくらい追い詰められていたのかと、観ているこちらにも重くのしかかってきます。生きていて辛かったよねと。

ちゃぴさんと比べると「トートを自分が呼んでしまうシシィ」という印象が強いです。

トート:井上芳雄/古川雄大(新)

古川新トートは、城田トートみたいにあまり表情を作らないのではないかと予想していたのですが、むしろ感情をよく表すトートで意外でした。

シシィと会った時に、「理想の女性に出会ってしまった!!」と、すごく驚いた表情をしていたと思います。恋に落ちたのがわかりました。

ただ、その感情が人間味に溢れているようには見えなくて、禍々しい美しい幽霊のような怖さ。

言葉は悪いですが、化け物というか、もしくはルキーニが作り出した恐ろしい存在か。

笑顔をみせる事が多く、中でもルドルフにみせる笑顔は、顔の綺麗さがより恐ろしさを増していて。

シシィといる時は笑顔でもそこまで怖くないように感じるんですよね。

シシィは強さもあるから、トートもそう簡単に手に落ちる相手ではないと分かっているというか。

でもルドルフはあまりにも簡単に落ちるので、古川トートのS気を刺激しているのではないかと思ったり。妄想ですが....

ルドルフ絡みのシーンはオペラグラスが忙しすぎて、表情を終えなかったので、今後もよくみていくつもりです。

笑顔といえば、物語の最後、シシィとキスをしたあと、古川トートはすごく嬉しそうになりました。でもしばらくして我に返って真顔に。

そんなトートの顔を最後に幕が降りたのですが、ようやくシシィが手に入って喜んだものの、完全に自由を得たシシィが、自分の手をすり抜けていってしまったことに気づいたような表情だと思いました。

私が歴代トートで見たことがない表情で、すごく面白かったです。

 
井上トートは、もう極めたといってよいのではないでしょうか。

年々、声に深みと厚みが出て、ますます素晴らしくなっていました。

「最後のダンス」で、劇場の空気一気に変え、井上トートの声の圧が四方八方からやってくるみたい。歌で世界を支配してしまっている所は、山口トートを思い出します。

そういえば、トートの歌のシーンでは、井上トートも古川トートもエコーがかかり過ぎでした。声量のある井上トートだと、エコーが邪魔なので後で調整してほしいです。

あ、医師のゼーブルガー医師がシシィの診察にやってきてシルクハットを脱ぐシーン。

以前は、「エリザベート、待っていた...!」といってシルクハットをトートがポーンと舞台袖に投げてたのを、今年はベットにそっと置くようになってました。

2016年の初日に井上トートでみたとき、投げたシルクハットが壁にあたり戻ってきちゃったんですよねwだからかな。

井上トートと古川トートでは、衣装が違って、古川さんの方がシンプルみたい。

まだよく確認できていませんが、井上トートの黒い衣装は、ご本人が「魚の骨みたいなのがついている」と話してたし、悪夢の白い衣装は、井上トートは右足に銀の髑髏がついてたけど、古川さんは何もついていませんでした。

2人ともメイクは薄めです。

フランツ・ヨーゼフ:田代万里生/平方元基(新)

新フランツ・ヨーゼフの平方さん。

すごく優しい。すごく好き。

今までのフランツ・ヨーゼフも優しいのだけど、平方フランツは、シシィと出会ったときの青年フランツのまま、シシィを愛しているピュアな優しさが生涯続くというか。

まだフランツ・ヨーゼフになって日が浅いので、皇帝というよりは一人の青年としてシシィを愛している印象が強いのかな。

でも、シシィを厳しい王室へ引っ張り込んだ事に最悪感も持っているようで、だからあの結末がより悲劇。すごく切ない皇帝で個人的にとても好きです。

平方さん、切なげな甘い声もだせるので、声的にはトートでも違和感がないかなとも思いました。
 

田代さんフランツは流石の一言で、花總さんの所でも書きましたが、年の重ね方がほんと上手。

若々しい青年フランツ時代、最後通牒を言い渡される時、一幕ラストの三重唱....と、一幕ですでに何通りもの声色パターンを出してくる。

(ちなみに平方フランツの場合、「声が変わった」と気づいたのが、二幕のゾフィーに抗議しにいったシーン)

田代フランツは「あなたが側にいれば」で、シシィの ”幸せになりましょ”に対し、オフマイクでハハハと屈託無く笑うのが聞こえました。すごく幸せそう。でもすぐにシシィの”自由に 生きて行くのよ”に反応し、表情を曇らせるの所ほんと好き。

平方フランツも田代フランツも、シシィへの想いが溢れてるから、夜のボートはフランツ目線で見てしまい涙腺崩壊。

あと二人とも晩年のフランツ・ヨーゼフ、背中が少し丸まっていておじいちゃんぽいのも泣けます。俳優さんってすごいですね。

ルイジ・ルキーニ:山崎育三郎/成河

再演組ですが、個人的に舞台初観劇のソンハ(成河)さん。

私はソンハさんルキーニを2016年公演で見ることができませんでした。2016年は、チケキャンとか転売が凄かったんですよね。今も無くなったわけじゃないですが、ほんと異常でした。

それもあって今年2019年の舞台で初めてソンハさんルキーニを観られたのですが....みんなが凄い凄いというのが、よくわかりました。

DVDでのソンハさんルキーニを何度も観てある程度イメージ出来ていましたが、やっぱり生の舞台だと迫力が全く違いますね。

ソンハさんルキーニについては「狂気」と表現されている方が多いですが、「狂喜」という言葉が自分的にはしっくりくるかな。

DVDのイメージで声が高いのかと思ってましたが、想像以上に声が太く歌がすごく上手。

語り部としてのセリフ回しの上手さに、緩急はっきりしたメロディーで歌うので、ぐいぐい引き込まれます。

DVDでは、顔の半分を黒く塗りピエロのようだったけど、観劇した日は特に顔の塗りつぶしはなし。

登場シーンは、張り付いたような笑顔で眼力は鋭いのに焦点はどこにもあっていない感じ。

うっかり目があうとルキーニの世界に吸い込まれてしまいそう...というか、このエリザベートは、ルキーニの頭の中で紡がれている物語だと初めて認識しました。今まで、このように感じたことなかったです。

冒頭の「我ら息絶えし者ども」でソンハさんルキーニにオペラグラスを合わせたら、そこから外す事ができず、この曲の間、ずっとルキーニを見てしまいました。ここは多くの登場人物が舞台に上がっているので、普段ならあちこちに目がいくところですが、ルキーニにこんなに集中したのは初めて。

私はミュージカルは歌重視だと思っているので、①歌が上手な人が②演技も上手い、という①があっての②が重要だと思っていましたが、

ソンハさんみたいに演技畑からきて、上記の逆パターンの「お芝居上手い人」が「歌もうまい」というのも、前者とは違う素晴らしさがあると思いました。(伝わりづらいか💦) 

 
そしてもちろん、山崎育三郎さんのルキーニもすごく良いです。

圧倒的な美声と歌唱力があり、それに加えて自分の居場所を見つけられない行き場のないテロリストの孤独が感じられて好き。

ソンハさんと育三郎さんのルキーニと対極にあるのかなとも感じたのですが、

育三郎さんは、シシィ含め王族が大嫌いで、外側から悪口や批判を行っている感じ。そして、「こいつらこんな勝手なやつなんだぜ」と私たちに投げやりに伝えてくる印象です。

ソンハさんは、私たちに「ねーねー聞いてよ、面白いだろ?」と、一緒になってシシィ達を嘲笑したがっている、巻き込み型のルキーニのように見えました。

ルドルフ:三浦涼介(新)/木村達成(新)

新ルドルフの一人三浦涼介さんは、出てきた瞬間は、熱血!といったルドルフで想像以上に、強く熱いルドルフでした。国のことを憂い理想のまま突っ走りそうだし、頼もしい感じもあり。

でも内面は、ママを追い求める子供のまま。

一見、強くみえる態度も、父親への反発心があったからで、ママのシシィに拒絶されると、あっけなく落ちてしまう。シシィに拒絶された際の、え....??なんて言ったの?よく分からないよ?と、信じていたママからの言葉が一瞬飲み込めないというリアクションが泣けました。

 

そしてもう一人の新ルドルフ木村達成さん。

個人的にすごく好み...

出てきた瞬間は、真面目でまっすぐ。フランツ・ヨーゼフの息子ー!というのがよくわかるルドルフ。

史実でのフランツ・ヨーゼフは、良い人だけれど古いしきたりを変えることが出来ない、不器用さと頑固さがあるんですよね。その血を引き継いでいる感じ。

木村ルドルフもフランツ・ヨーゼフのように不器用で頑固っぽいのに、ルドルフはシシィの影響で途中から自由思想が叩き込まれているので、それが父との対立を生んでしまう。そしてお互いまっすぐ過ぎるから、相手の意見を受け入れられなくて。

木村ルドルフ、意思が強そうな目をしています。一瞬、どうくるのかな?とたじろぐほど、強くまっすぐな光を放つ目。

でも、最初のこの目は、のちの「闇が広がる」でトートに簡単に翻弄されている姿を思うと、必死で強くあろうとした表情なのではないかなと思えてくるのです。

「闇が広がる」で、トートの誘惑を一度は必死で振り払うのに、「王座に座るんだ」といわれ、そこへの野望に表情が動き、思わず「王座ーー!」と叫んでしまう。

トートの誘惑にまんまと乗ってしまうピュアさが、彼の真面目さからきているとみて取れ悲劇性が増しているように思えます。

素晴らしい闇広でした。。。

母のシシィに拒絶された時は、悲しさと同時にくやしさもにじませ、それが絶望へ変わったとき、トートが現れる。

ルドルフの登場時間はほんと短いのに、心情をとても丁寧に演じていて、共感せずにはいられないし、すごく好きなルドルフ!

木村達成さんのお名前は、どこかで聞いたことあるな...と改めて調べたら、2018年の「ラ・カージュ・オ・フォール」にジャン・ミッシェル役出られていて、一度舞台を観ていました。あの時はコメディーだし、同じ役者さんとは思えない程、ふり幅が広い。素敵な役者さんですね。

https://www.kinocha.com/%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AB20180327/

ルドルフといえば、あと京本大我さん。2019年の公演で京本さんルドルフが観られるのはまだ先ですが、2016年からさらに進化していると口コミをちらほらみているので、早く観たいです。

ゾフィー:涼風真世

ゾフィー役は今のところ全て涼風真世さんでみています。

2016年同様、厳しいゾフィーですが、それが帝国のためとも伝わる皇太后です。

「ゾフィーの死」では、涙を浮かべて息子のフランツ・ヨーゼフとハプスブルク帝国を憂いながら歌う様子に、こちらも涙が。

エルマー:植原卓也(新)

植原卓也さん..11月のダンスオブヴァンパイアで、 ヘルベルト役が決まっていますね。

どんな方なんだろう?と興味津々でした。お声に特徴があり、聞き取りやすい。所作が綺麗で、舞台での立ち姿が綺麗。自然と目が引き寄せられました。ヘルベルト楽しみじゃないですか!

マックス:原慎一郎(新)

美声のパパなのが嬉しい~ あと格好いい。

のほほんとした雰囲気が、自由を愛する変人とも言われるマックス公らしく、シシィが大好きなパパなんだなーと思えます。

ヴィンデッシュ:真瀬はるか

病院での真瀬さんヴィンデッシュ、歌が抜群に上手。これは以前からですが、主役のエリザベートにひけをとらない歌唱力なんですよねー。動きも綺麗で、安心してみていられます。

ざざっとですが、新キャストさん含め2019年のエリザの感想でした。冒頭にも書いたけれど、これから先、まだ皆さん役を深めていくので変化が楽しみです。

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