ミュージカルレベッカのあらすじと感想(大塚/保坂)2018年12月4日プレビュー

再再演のミュージカル「レベッカ」のプレビュー公演に行ってきました。

エリザベート、モーツァルト、マリーアントワネットでおなじみの、ミヒャエル・クンツェ氏&シルヴェスター・リーヴァイ氏の作詞作曲家コンビが手掛けた作品です。

舞台演出は、ダンスオブヴァンパイアや貴婦人の訪問、そしてジギル&ハイドも手掛けた山田和也さん。

日本では2008年にシアタークーリエで初演され、2010年に再演、そして2018年~2019年にかけて再再演が行われています。

2018年は東京北千住のシアター1010でプレビュー公演が行われ、この後、名古屋、福岡、大阪と行き、最後が東京のシアタークリエです。
 

10年前の初演時、何度かシアタークリエへ足を運び観劇したこの作品。

リーヴァイさんが作る曲はどれも美しい旋律が特徴ですが、このレベッカはその中でも曲線のように流れようなメロディ―が多く、ダイナミックかつ繊細で、音楽が織りなす波みたい。

初演は主人公の「わたし」が大塚ちひろさん、「ダンヴァース夫人」がシルビア・グラブさんのシングルキャスト。このお2人の演技も歌もすごく素敵で、メロディ―が頭から離れなかったなぁ。

再演時の2010年は、個人的にミュージカル観劇できる状況ではなかったので今回は10年ぶりの観劇でした。

初演の想い出に引きずられて違和感を感じ部分もあったのですが、個人的には保坂知寿さんの「ダンヴァース夫人」が私好みだったのが嬉しかったです。ダンヴァース夫人、この作品で一番好きなキャラクターなので。

ミュージカル「レベッカ」のあらすじ

家族も友達もいない孤独な主人公「わたし」。生きていくためにアメリカの大富豪ヴァン・ホッパー夫人の付き添いをしている。

2人が訪れたモンテカルロのホテルで、とあるイギリスの上流紳士に出会う。イギリス、コンウォール地方の広大な領地マンダレイを所有する、マキシム・ド・ウィンターだ。

彼は一年前に妻を亡くしていた。品があり優しいが少し影のあるこの男性に「わたし」は惹かれていく。そしてマキシムの方でも「わたし」を見初め2人は結婚。

モンテカルロを出発する朝、2人が結婚する事に驚くヴァン・ホッパー夫人だが、社交界の花形だったマキシムの先妻「レベッカ」の代わりが「わたし」に務まるはずがないと告げる。

愛の力できっとマキシムを幸せにすると「わたし」は決意するのだが…

マンダレイの屋敷で待ち受けていたのは、先妻レベッカに仕えていたダンヴァース夫人だった。彼女はレベッカこそがマンダレイの女主人、新しくきた「わたし」を女主人とは認めなかった。

レベッカお気に入りの陶器、ノート、使っていた寝室…そしてレベッカが絶世の美女で社交界の花形だったという噂。

レベッカの影が残るマンダレイで「わたし」は徐々に追い詰められていく。

何よりも、愛しているマキシムがレベッカを忘れられず苦しんでいるようなのだ。自分は気休めで選ばれたのかもしれない。

ところがマキシムの態度には理由があった。彼が秘密にしていたその理由とは。

彼が愛しているのは誰なのか。そしてレベッカはなぜ亡くなったのかーー

 
 
レベッカは、ダフネ・デュ・モーリア原作のミステリーで、1幕はマンダレイ到着後、自分の居場所が見つけられずオロオロする「わたし」と彼女を圧倒する「ダンヴァース夫人」。

2幕は、マキシムの告白を聞き強くなっていく「わたし」。その後、レベッカにまつわる謎が解き明かされていくという流れです。

ミステリーがテーマの舞台って、以前は面白いのは1番はじめだけなんじゃないかと思っていました。真相が何なのかドキドキしながらみますしね。

でも、真相わかって何度みてもドキドキしちゃう(笑)これたぶん役者さんたちが醸し出す緊迫感なんだろうなー。

レベッカ・キャスト感想

わたし:大塚千弘

ちーちゃんの「わたし」とても好きだ―!と思いました。

初演とは違う(ように思えた)「わたし」だけれど、初演も良かったし今回の「わたし」も良かった。

今回の再再演でトリプルキャストとなりましたが、初演からずっと「わたし」を演じているちーちゃん。

透明感のある声が純粋な「わたし」にぴったりで、10年前に観た時に、ちーちゃんほど「わたし」にぴったりな役者さんが思い当たらなかったくらい。

こちらの勝手な思い込みもあると思いますが、10年前は初演のプレッシャーを感じながらも、体当たりで役を演じているちーちゃんが、内気でビクビクしている「わたし」のキャラと合っていたように思えました。

ちょうど「わたし」を演じた時の年齢が、役の21歳と同じだったんですよね。

自信ゼロで幼い「わたし」が、大人なマキシムやダンヴァース夫人に翻弄されながら、愛を信じて成長していく物語、それが初演のちーちゃんのイメージ。

今回の再再演では、ビクビクが減り、人生に諦めているような遠慮がちな女の子というな感じ。でもマキシムの本当の気持を知った時に、彼女がもっていた本来の強さが表れてくる。本当は芯の強い女性で、わたしの成長物語よりもマキシムの新たな人生への導き手とでもいうのかしら。

見終わった後、「マキシムは『わたし』に出会えて本当に良かったね。」と心底思えました。

私が単に10年ぶりにみて勝手に変化を感じているかもしれませんが、どちらの「わたし」も好きです。

ダンヴァース夫人:保坂知寿

今回初めてダンヴァース夫人にキャスティングされた知寿さん。クリコレⅢで「レベッカⅠ」を歌っていたのを拝見したことがあり、あまりの迫力に息をのんだ記憶があります。

そんな知寿さんのダンヴァース夫人なので期待半分&ちょっとドキドキも。

私は初演のシルビア・グラブさんの狂気に満ちたレベッカへの愛が大好きでした。(再演で登場した涼風さんダンヴァース夫人はクリコレ以外では未見)。

「わたし」がマンダレイに到着した時に歌う、「Die neue Mrs de Winter (新しいミセス・ド・ウィンター)」で口から火をふくような歌い方や、舞台上で一切瞬きをしない眼力の強さなど、シルビアさんは舞台にいるだけですごい威圧感もあって。

シルビアさんはカテコでも、最初ダンヴァース夫人のままで無表情で出てきて、おじぎをして顔をあげると、ようやく柔らかい笑顔が見られ、ものすごい役作りにこだわられていたと記憶しています。

知寿さんのダンヴァース夫人は、威圧感は感じず(実際にいたら怖いだろうけれど)、レベッカへの愛情がすごくて、レベッカと過ごした年月を感じさせてくれるダンヴァース夫人。

レベッカへの崇拝というより、親が子に抱くような感情もあったように感じます。

そして知寿さんのダンヴァース夫人は途中までずっと無表情。

東宝が出している知寿さんのレベッカコメント映像で、「映画のレベッカをみた時、ダンヴァース夫人が無表情の最たるもの、その怖さをすごく感じた」とおっしゃっていたので、表情を変えないというこだわりがあるんじゃないかと思います。

無表情なんだけれど、レベッカへのいっぱいの愛情がふっとこちらに入り込む瞬間があって、それがたまらない。レベッカⅠですでに泣いてしまった(;´∀`)

なんだかレベッカが亡くなった事は理解していても、自分の中では認められず、今もレベッカと伴に生きている、とも思えました。

こういう愛情が深いのに普段はあまり表に出てこず、ふとした瞬間にぴゅっと感情が飛んでくる役柄って個人的にすごく好みで、知寿さんダンヴァース大好き。早くまたみたい。

あと歌も素晴らしい。。知寿さん四季出身なんですね。

マキシム・ド・ウィンター:山口祐一郎

10年前に山口さんでマキシムをみた時、正直、山口さんは人間の役よりもエリザベートのトートやダンスオブヴァンパイアのクロロック伯爵などの人外の役の方が私は好みかなと思いました。

でも今回のマキシムは良かった。失礼ながらの上から目線になるけれど、演技が上手になられている….。そういえば今年のマディソン郡の橋のロバート(もちろん人間役)もすごく良かった。

登場時から影のある男性というのが、雰囲気で伝わるし特に「Kein lacheln war je so kalt(凍りつく微笑み)」は、レベッカが乗りうつったかのような笑い声をあげていたのにはどっきり。こんな声、初演時はなかった。

ここでのマキシムのヨレヨレぶりが、ちーちゃんの「わたし」に火をつけたかのような気もします(笑)

このマキシムというキャラ、私はちょっとむかつきながら見ることが多いです。

マンダレイに連れてきた「わたし」に、もうちょっと寄り添ってあげて欲しいと思うし、大変な事情があるとはいえ先妻に関することで、現妻の「わたし」を怒ったりするのはあんまりです。

でも、結局結末までみると、「わたし」が外の世界へ飛び出すのにマキシムが必要だったし、マキシムが地獄から抜け出すためにも「わたし」は必要だった。この2人はかけがえのない存在なのかなと。

そう感じられるのは、山口さんがマキシムの弱さを丁寧に演じられている事も一つの理由かなと思います。

フランク・クロウリー:石川禅

禅さんのフランクが初演の時とイメージが違いました。初演の時は、わりと最初から「わたし」に好意的だった感じ。

今回は、敵対しているのではないけれど、とてもフラットな感じで、初演から比べると冷たくも感じました。私の席が2階席でオペラグラス使ってもよく表情を確認できなかったのですが、マキシムの事情をある程度知っていて、感情をあえて出していないようにも思えました。次回からよく確認したいポイントです。

ジャック・ファヴェル:吉野圭吾

圭吾さんって、その役を自分のものにしてしまうのが本当に上手だと思うのですが、このファヴェル役もそう。

マキシムをゆする汚い男の役で嫌な奴なんだけれど、嫌になりすぎない。エンターテイナーとしてみせるのが本当に上手。素晴らしいです。

ベアトリス:出雲 綾

マキシムの姉のベアトリス。とても温かみがあってよかった。シリアスなこの作品で、出雲さんのベアトリスが出てくるとホッとする感じ。初演の伊東弘美さんも良かったし出雲さんも好き。

ヴァン・ホッパー夫人:森 公美子

明るくて面白いヴァン・ホッパー夫人にぴったり。ただ森さんはそのまま普通に演じるだけで、ヴァン・ホッパー夫人の魅力が十分伝わるはずなんんだけれど、ちょっと悪ノリしてしまうのが気になりました。わざと面白さを出すために漫画のような声を出しちゃったり。

ほんと役の通りで十分なはずなので、これからやり過ぎないでくれたらいいなぁと思っています(^^;

舞台での存在感や歌はさすがでした。

ジュリアン大佐:今 拓哉

ジュリアン大佐は、マンダレイの仮装舞踏会にきたヴァン・ホッパー夫人に見初められてしまう場面があるのですが、初演のジュリアン大佐だった阿部裕さんは、やや恰幅があり夫人といてもバランスよかったのが、今回、痩せて見える今さんと森くみさんの夫人との組み合わせがアンバランスで面白かったw

ひょろひょろのジュリアン大佐が、ヴァン・ホッパー夫人に圧倒されています(笑

ただ、せっかくの今さんなのに、ジュリアン大佐のソロがないのが惜しすぎるー

演出変更で気になった点

ちょこちょこ変わっていました。初演の思い出にひきづられているので、どうしても気になる点がいくつか。

ネタバレ嫌な人はスルーしてください。

肖像

今回、レベッカの肖像が飾られています。これはかなり嫌。。一応顔は隠されているのだけれど、姿が現れないからこそ、「わたし」にとって異様に大きな存在になると思うので。

最後に、この肖像画がカラクリ仕掛けみたいになるのですが、そこからダンヴァース夫人の高笑いもあり、それもすっごく違和感があります。なんでこうしたんだろうw

ハネムーンの箇所がカット

わたしとマキシムが結婚し、マンダレイの屋敷へ到着する前、二人のハネムーン中の写真(人だったか風景だったか)がいくつか以前は出ていたはず。写真はうろ覚えですが、温かい音楽が流れていたのがカットされていました。

この幸せな場面があるから、マンダレイの到着した後の「わたし」の不安が際立つと思うので、このカットも個人的にとても残念。

階段

以前は、レベッカⅢ(リプライズ)で、階段が崖のような役割をして、ダンヴァース夫人が階段をのぼりながら「わたし」を追い詰めていたのがなくなりました。

ウィーンや韓国版の映像みても、階段をこんな風に使っていないから、初演のこの演出は、日本だけのものだったようですが、徐々に追いつめていく怖さがあって、好きだったのになー。

エピローグで、登場人物が花をなぜか一つずつ舞台に落としていくのですが、これはどんな意味があるんだろう。

「わたし」が昔を思い出して、レベッカが好きだったカトレアの花のことを歌っているから、「わたし」が好きなつつじを落しているのか?とも思いましたが、よくわからん。。。

ラスト、以前はみんな舞台にいたけれど今回はマキシムとわたしだけになっていて、これはこれで良いと思いました。

いろいろ思うところを書いてしまったけれど、大好きな作品なので、また東京に帰ってくるのが楽しみ!まだ見ていない涼風さん、平野さん、桜井さんのチケットも抑えているので、ワクワクしながら待っています!

ミュージカル『レベッカ』2018~2019感想まとめ