貴婦人の訪問。時間を置くとまたわからなくなる

貴婦人の訪問、プレビュー公演を見た時はそれなりに結末に納得していたのに、時間が経つにつれて???が増えてきました。

貴婦人の訪問は、大富豪の未亡人となったクレアが、かつての恋人アルフレッドやギュレン市民に復讐をする話ですが、そもそもアルフレッドがクレアにした事がひどすぎて、復讐とはいえクレアがそこまでアルフレッドに気持ちを残しているのが、いまいち納得いかず。

 
といったもやもやを抱えたまま、プレビューから約3週間。11月24日、26日の公演に行ってきました。

 

私だけかもしれないのですが、登場人物の個々の気持ち、感情の変化は舞台から伝わるのに、全体を通してみるとよくわからない部分があるんですよね。

役者さんの伝え方が上手な事に加えて、もしかしたら演出の意図があるのかもしれないのですが、最後はやっぱり???となってしまう。

自分でも考えがまとまっていないので、書き散らす感じですが、登場人物から受けた印象は次の通りです。

(ネタばれを含むので、未見の方は読まない方が良いかも)

クレア

大好きなアルフレッドと過ごした10代。幸せいっぱい。アルフレッドと一緒に過ごす将来を信じて疑っていないが、そのアルフレッドに裏切られ、アルフレッドは他の女性と結婚してしまう。

それだけでなく、アルフレッドの子を妊娠していたのに、アルフレッドからは「他の男とも寝ていた」と法廷でウソの証言をされ、アルフレッドの友人もグルになり、クレアは誰とでも寝る女という烙印を押され、ギュレン市民からさげずまれ町を追い出される。

さらにお腹の子は納屋から落ちた事で流産してしまう。

アルフレッドがとにかく最低、といえるエピソードですが、数十年後、復讐しに戻ってきたクレアは、まだアルフレッドに気持ちが残っています。

初回、プレビューを見たときは、クレアの気持ちに?となりつつも、クレアを演じる涼風真世さんの歌、演技が素晴らしく納得させられた気になっていました。

でも時間をたつと、やっぱりなんでアルフレッドに想いが残っているのかなーwと。

自分なりの解釈では、クレアがアルフレッドに恋したのは10代で、そのあと娼婦となり大富豪に見染められ、おそらくアルフレッド以外、恋や愛といった感情をもった事はなく、10代の純粋な恋愛観のまま年をとったのかな、と。

ひどい事をした自分本位なアルフレッドですが、耳障りの良い事はすらすらというからたぶん一緒にいて夢見心地でいられたんだろうなと思います。

舞台上ではエピソードとしてがっつり伝えられている事ではないけれども、クレアに対して「母親と同じ娼婦」とギュレン市民が下げずむシーンがあるから、クレアは幸せな家庭で育ったのではなさそう。

だからアルフレッドと過ごした時間は、クレアにとって当時もそのあともかけがえのない時間だったのだろうと思います。

でないと、最後に「あなたと一緒だったらどんなに素敵な人生だったでしょう」というクレアのセリフは出なかったのでは。

自分なりの推測をかいてみましたが、じゃあ、クレアは何をしたかったのかというと、正直わかりません。

アルフレッドの死を願いつつ、アルフレッドが死ぬと、ギュレン市民にしたいして「人殺し」とののしるクレア。

これはなんなんだろうなぁ….もうちょっと見ればわかるのかな(;’∀’)

アルフレッド

クレアという恋人がいながら、お金に目がくらんで雑貨屋の娘、マチルデと結婚してしまいます。

マチルデと結婚するために、クレアのお腹に出来た子を自分の子とは認めず、友人と共謀して誰とでも寝る女だと法廷で偽証します。

実にひどいですが、クレアがギュレンを去ったあとは、町の人気ものとして長年、マチルデと雑貨屋を営んでいます。

このアルフレッドのエピソードはクレアが復讐したくなるのも無理はない、と思える一方、

町の人気ものであったり、クレアがずっと想い続けている男性であったりとすごい人たらしなんだろうな、と感じる人物。

アルフレッドの過去に犯した罪と、クレアのアルフレッドの想いが、この物語をわかりにくくしている気がするのですが(アルフレッドが嫌な人間だったら、ストーリー的にはわかりやすいと思います)、実際にはアルフレッドみたいな男性ってすごく多そう。というよりわりとふつうにいるかも。

プレビューを見終わって数日してから「アルフレッドはほんとうにクレアを愛してたのかしら」と疑問がふつふつと沸いてきたのですが、2回、3回とみていくと、そもそもクレアとアルフレッドで愛の分量が違う気がしました。

クレアはアルフレッドを愛していたし、アルフレッドもたしかにクレアを愛していたけれども、アルフレッドはよくも悪くも自分本位で、まず自分の幸せが最初にきてしまう。

町中の人に命を狙われている!という場面で、家族を放って一人で逃げようとするアルフレッドですが、ここもかなり違和感を感じました。自分の事をあんなに心配してくれる妻のマチルデ、そして子供をおいていくの?って。でも、このシーンもアルフレッドの身勝手な本質を表しているような。

また、クレアと別れたのはまだ10代で、マチルデと一緒になればいい生活ができそう、とあまり深く考えず行動しただけに感じます。

アルフレッドは身勝手なだけで悪人ではないから、最後はクレアも自分の人生も受け入れて、潔く最期を迎えます。

でもここでアルフレッドが死ななくても、きっと再びクレアを傷つけてしまう出来事が起こりそう。

自分がかわいいアルフレッドだから、その場その場を楽しく過ごすために、相手にとって耳障りの良いセリフがすらすらでてきて、クレアはアルフレッドと一緒にいてすごく心地よかったし町の人気でもあった、というのが自分の印象です。

違うかもしれませんがw

今、自分の感想をまとめるのに、ここに書き散らしているのですが、書けば書くほどアルフレッド役はとても難しい気がします。

マチルデ

アルフレッドの妻で、個人的にはこのストーリーで一番つらい役。

アルフレッドを愛し、自分も愛されていると思っているから、アルフレッドが窮地に陥っているときに強く励ましますが(ここら辺、レベッカの「わたし」っぽい)、実はアルフレッドがお金のために自分と結婚したと知って、愛から憎しみへと変わります。

マチルデの気持ちの変化はとてもわかりやすく、ギュレン市民やアルフレッドの友人たちのように打算がないから、本当に気の毒。

これも今書きながら思ったのですが、このマチルデの打算のなさも、他の登場人物との対比を表しているのかなぁ..

貴婦人の訪問は登場人物のキャラクターにとても深い意味がありそう。

アルフレッドの友人たちとギュレン市民

まとめてになってしまいますが、アルフレッドと子供のころから一緒に過ごしてきた、市長、教師、警察署長、聖職者、そしてギュレン市民も、クレアの提案(20億ユーロ寄付する条件として、アルフレッドが死ぬこと)を最初はとんでもない、と拒否していたのに、だんだんその提案を受けるために、「お金のためでなく正義のため」とこじつけていってしまう。

友人やギュレン市民たちの、要求を受け入れるためのこじつけが恐ろしく、貴婦人の訪問のストーリーで一番言いたかった事は、こういった人間心理の醜さなのかなー。

 
最初に戻りますが、貴婦人の訪問は、個々のキャラクターの心情の変化はそれなりに解釈したり見て取れるのだけれど、全体を通すとまだ???が残ります。

うーむ。深い…

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