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2019年東宝帝劇ミュージカル・エリザベート感想まとめ

2019年帝劇エリザベートが終わりました~!

と思ったら、千秋楽には2020年のエリザ全国公演の発表が!

来年は日本エリザ20周年ですものね~。

ああぁ、キャストさんはどうなるんだろう。

目次

エリザベートのチケット

エリザベートはとても好きな演目。でも過去の公演ではあまり多く劇場へ足を運べていませんでした。

時間や金銭的な問題もありましたが、2016年の公演では、転売が増えて本当にチケットが買えなかった😅

今年はなんとしてでも観るぞ!と心に決めていたので、各種先行抽選に申し込みまくり、

結果、獲れたのは18公演。

今まで1~2公演がほとんどで、自分のエリザベート観劇史上過去最高です。
 

・・・でも本音では、先行抽選などに手を出したくはないです。

席選べなかったし、当たったらキャンセルできないし・・・

公式(東宝)での購入、またはファンクラブ経由での購入が基本で(私はファンクラブ入っていないですが)、観たいときに当日券も買えちゃうのが理想。

早くチケットを売りたい公演側の都合もあるだろうけれど、チケット発売日に東宝のHPへ入ってもつながらず、つながった時は全席売り切れってどういうこと・・・

でも観劇できないのが一番困るから、私含めてお客さんは先行に手を出し始めちゃう。

私は行ける日だけ応募しましたが、自分が行けるかどうか別にして、とりあえずチケットを抑えちゃおうという人も多いと思います。

そうすると、その日じゃないと行けない人にチケットがますます行きにくくなり、本当に悪循環😱

今回、先行に手を出しまくった私が言えることじゃないかもしれませんが。

 
通っているネイルサロンの担当の方との世間話的なトークで、私がミュージカル好きと伝えてあったのですが、この時期はエリザベートをみていると伝えたら、自分が担当するお客さんで他にもエリザベート好きがいたらしく(!)、話を聞いていくうちに、普段ミュージカル観劇をしない担当さんも「エリザベートみてみたい!」ってなったんですよね。

ちょうどタイミングよく、ワイドショーで古田さんトートを観る機会があったらしく、美しい姿にますます想いが燃え上がったそうです(笑)

こんな時、新しく興味を持ってくれた人に、やっぱり見て欲しいじゃないですか。

でも、チケットはなし。

転売屋の温床になっているチケットストリートなどにはあったそうですが、そこは買ってはダメと伝えました。。

買う事自体もダメだけれど、高いお金払っても、転売席だとわかると観劇できなくなりますしね。

私のチケットを1枚譲っても良かったのかもしれないけれど、そこは譲れなかった🥺

2020年のエリザベートは全国(東京、大阪、名古屋、福岡)で計4ヶ月間ありますが、東京が1ヶ月だとすると、今年以上にチケット争奪戦になるかもしれない

どうしたものですかね~

 
さて、2019年のエリザベート、キャストさんたちがとにかく素晴らしかった。

最初の頃感じた、2016年からの変更で、トート登場シーンの光る羽根などへの違和感も慣れました。

何度か書いているけれど、2015年の時にみた井上トートは、自分の好みとは違うと思ったのに、もしかしたら、2019年の井上さんは、世界一好きなトートかもしれない。

自分の中でウィーン版を超えたかも💓

井上トートの最後のダンスだけで、公演チケット分の元がとれて、おつりがくる。

自分がみたラストの公演では、拍手が鳴りやまず、自分も手のひらが痛くなるほど叩いてしまいました。

あと、2016年みられなかった成河さんも圧巻!

舞台にいるとつい目で追ってしまうルキーニでした。

存在感がありながら、登場人物の邪魔をするのではなく、なんとも絶妙で芝居のうまいルキーニでした。

DVDでしかしらなかった成河さんルキーニ、思っていた以上に声に深みがあって、歌も超絶うまかった。

いきなり、井上さんと成河さんについて書いてしまいましたが、以下、感想です。

2019帝劇エリザベートキャスト感想

トートダンサー

乾 直樹、五十嵐耕司、岡崎大樹、小南竜平、鈴木凌平、谷森雄次、楢木和也、渡辺謙典

エリザベートを観て10年以上たっているのに、今更ですが、トートダンサーってこんなに美しくて格好良かったの???と気づかされました。

今回、前の方の席で観劇できた事が3回あり、冒頭の「我ら息絶えし者ども」で舞台前面で踊るトートダンサーの迫力といったら。

でも、無駄な動きや音がなくて、まさに黄泉の世界。

前方席でみると、舞台横の照明で少し明るくなっている箇所に、トートダンサーの影が映るので、これも悪魔の羽根のように見えて、ゾクゾクしました。

「♪愛と死の輪舞」でシシィを持ち上げてトートの近くへ運び降ろす一連の流れや、ルドルフを棺に運ぶ場面で、音がしないのがすごい。どれだけインナーマッスル使っているだろう。

そして、シシィ絶頂期の「私が踊る時」で、トートダンサーたちが蹴散らされるように消えていくシーン。

強すぎる光の前では、消えざる得ないのか、トートダンサーさんお一人お一人の動きが、「人」ではなく、完全に「影」だけのように感じ、とても印象に残りました。

それにしても、シシィとフランツの婚礼でウェディングドレスをシシィに着せるのがトートダンサーで、オーストリア=ハンガリー帝国成立のシーンで、舞台前面に出ているのもトートダンサー。

シシィの不幸、ハプスブルク家の崩壊へとつながるシーンで、トートダンサーが出ているのをみると、なんともうまい演出だなと思います。

エリザベート(シシィ)

花總まり

私が花總まりさんのシシィに出合えたのは、本当に幸運ですが、

花總さんにとっては、もしかしたらシシィを演じ続けるのは、しんどいことなのかもしれない...

少女時代の屈託のない笑顔が、宮廷入り以降すっかり消えてしまい、以降は心を閉ざしてしまう。

公演日がすすむにつれ、花總さんシシィは周囲への怒りを強く感じるようになりました。

公演日終盤では、新婚翌朝ゾフィーに責められ、フランツからは「母の言う事は君のためになる」と言われたとき、

「一人にしてください」のセリフが、即出てきて、さらにフランツを突き放すような言い方になっていました。

7月ごろにみた公演だと、フランツへの甘えがとても可愛くて、感情豊かなシシィだなーなんて思っていたのに、演じ続けることで、花總さんの心もシシィ同様、硬くなになったのかもしれない(と私の勝手な妄想です)

やはり最後の方の公演で、ルドルフ死後、泣きながら棺にすがるも、トートから「死」を拒絶され、「はははは...」と乾いた笑い声を出すようになり、錯乱してしまったかのよう。

夜のボートの、悲しみを超えた境地にいる表情が、とても切なくて、辛い生涯を生きたエリザベートという女性を演じ切る壮絶さを感じました。

私の印象だと、花總さんは「死」と隣り合わせで、いつ黄泉の世界へ行ってもおかしくないシシィ。でもトート(死)が目の前に現れるおかげで、抗って、生きようとする。

トートがいるからこそ、生きてきたと思えるシシィです。

宮廷で感情を押し殺しているのに、トートの前では感情的になれる。むしろ強く生きられる。

トートが、シシィが生み出した鏡だとしたら、ずっと自分自身の中で闘ってきたんだよね...と泣きそうになってしまう。

井上トートと花總さんシシィの「私が踊る時」。

闘い続けてきたシシィと黄泉の帝王が、重低音のこの曲に負けない重々しいデュエットも最高でした。

闘って闘って、いっぱいいっぱいになり、この世に自分はもういるべきではない。

ルドルフ死後は、「死」を待ち焦がれ、トートへの愛が深まった時、「その時」が訪れる・・・

花總さんシシィが迎える最期が、トートへの愛が伝わるものでした。

花總さんのシシィが大好きだし、2020年でもまた会えたらほんとうにうれしいですが、これだけシシィとして生き切ってしまうと、何度も演じるのも大変なのかもしれないです。

愛希れいか

個人的に、トートが少女時代のシシィに惹かれたのは、

花總さんシシィの「生きる喜び」
愛希さんシシィの「生きる強さ」

なのかなーなんて感じました。

トートが思わず惹かれてしまった、自分と対局にある「生」の強さが、愛希さんにはある。

愛希さんシシィは、自分の好きなものが何か、よくわかっている強さを感じます。劇中ではバイエルンで育ったシシィを「田舎育ち」なんて評していますが、良い意味で野性味があり、都会のウィーンと合わないことがよくわかります。

愛希さんシシィの大好きなシーンは、最後のダンス。運動神経がとても良いようで、トートに操られる動きが、すごく綺麗です。

あと、肌の色やプロポーションによるのか、精神病院の落ち着いたすみれ色のドレス姿が、とても美しいです。

歌もパワフルで、「私だけに」「私が踊る時」のシシィの強さは、花總さんとは違った魅力がありました。

花總さんシシィがトートを自ら呼び寄せていたとすれば、愛希さんシシィは、トートが自分にはない輝きを持つシシィにほれ込んで付きまとったという印象かな。

トートが冒頭の「♪私を燃やす愛」で「 ただひとつの過ちは 皇后への愛だ」というのが、しっくりきます。

そういえばルドルフ死後、シシィを抱きしめようとしたフランツを一度、払いのけた事がありました。

フランツを責めているのではなく、自分を許せなくて抱擁されるのを拒否したように思えましたが、その後に続く夜のボートのフランツを考えるとせつない。

トート

井上芳雄

歌で殺されました・・・さっきも書きましたが、2019年の井上さんは世界一好きなトートかもしれないです。

最後のダンスでの圧倒的帝王感、私が踊る時の重厚感。

四方八方から、井上トートの波動に押しつぶされそうで、歌に圧倒される幸福をただただ噛みしめていました。

そして井上さん、自分が引くところはさっと引くところも見事。

最後のダンスは、ショーストップ気味に拍手が続くこともあったのに、さっとマントを翻して、自分自身の余韻を残さないんですよね。

相手のことをよくみたお芝居をし、圧倒的な存在感がありながら、出過ぎずバランスの良いトートでした。

指先まで神経を張り巡らせるから、動きの一つ一つも美しい。

独立運動でルドルフが捕まり、フランツ・ヨーゼフに咎められるシーンでは、顔を上に向け目をギュッとつぶり、恍惚の表情を浮かべていました。う・・・美しい。

私が観に行った公演では、調子を崩すことなく、常に素晴らしいクオリティでみせてくれ、ミュージカルに興味をもってくれた人全てに観てもらいたいです。

公演中にツイッター上にあがったこちらのインタビュー記事が良かったです。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190818-00000001-nikkeisty-ent

  • 2015年は情熱的な感じで演じていた
  • 2019年は動きや表情が乏しくなっている
  • 2年前に歌唱指導を受け、安定して声が出せるようになった
  • マントの使い方を意識するようになった

マント捌き、確かにすごい恰好良かった。娘のゾフィーが亡くなるシーンで、シシィを黄泉のマントでくるんでしまうのも、トートが支配しようとしているのが伝わって、とても好きなシーンになりました。

この中で、歌が凄いといわれるのは、エコー(音響)のおかげと言っていますが・・・謙遜だと知っていますよ。閣下。

古川雄大

花總さんシシィが、トート(死)が現れることで、抗い生き続けたように、

古川さんトートは、シシィによって「生」を与えられてしまったように見えました。「死」なんだけれど。

古川さんの「♪愛と死の輪舞」がとても好きで、シシィへの止められない感情にあふれているようでした。

最初の頃は、顔が美しすぎて怖くみえたり、シシィの生き写しに見えたり、みている私が錯乱していたのですが、古川さんの美しい顔になれていくにつれ(?)シシィに命を吹き込まれ、「生・光(=シシィ)」を追い求める闇の存在に思えました。

光あってこその闇なので、光が消えろといえば、すっと消えていく(体操室の場面とか)、黄泉の帝王というより、シシィあってのトートなんだなぁ...

体操室のシーンで、ベンチにジャンプしながら飛び乗るのが格好良かった。

そういえば、シシィの最期、古川さんトートの眼がきらりと涙を浮かべたように光って見えたことがありました。その後、涙を流す姿をみた方がいるので、歴代で初めて泣くトート?

2020年恐らく続投されると思いますが、ここからのさらなる進化がとても楽しみです。

フランツ・ヨーゼフ

田代万里生

田代さんは、実在のフランツ・ヨーゼフにとてもとても近い気がします。

シシィのことを愛しているのに、噛み合わない。

フランツ・ヨーゼフに関連する本を読むと、シシィへの愛情はありながらも、繊細さや柔軟さに欠けていたフランツ・ヨーゼフ像と万里生さんフランツが重なります。

18歳で皇帝となり、よくも悪くも考えも行動も宮廷生活がベースになっているので、シシィの訴えを理解できない。

「♪皇后の務め」「♪初めての諍い」でゾフィーから逃れ、フランツに縋りつくシシィを、「母の言う事は君のためになる」と、本心から悪気なく言っちゃっているし、

もっと前の「♪皇帝の義務」では、ゾフィーの教えを疑いもなく守る良き息子で、だからこそ当初、シシィも義務は守るべきという考えが根底にあった気がします。

ただシシィに出合う前、フランツ自身も皇帝の義務の重さは負担に感じていて、ささやかな幸せもつかめないと諦めの境地にいた。

そしてバートイシュルでシシィに出会い、自由を愛する屈託のないシシィをみて、シシィが幸せの扉を開けてくれるように思えたんじゃないかな...

と、「♪あなたが側にいれば」でくるくる表情が変わる万里生フランツをみて思いました。

このシーンは、とりわけ万里生フランツにとって人生の絶頂時に見える。

フランツにとって、シシィは自分を幸せにしてくれる女性で、だからずっと追い求め、最後の夜のボートにいきつく。

そしてシシィに「愛している」と伝えるも「無理よ」といわれてしまう。

田代さんフランツがここで眼を見開き驚いてしまう表情をみると、どんなに想いがあっても、万里生フランツがシシィの本心がわかることはなく、やはり別々のゴールしか結末にない、と思えました。うぅ

そういえば、バートイシュルで紅茶を飲む、万里生さんフランツ、コップの飲み方、たたずまいが美しくて、ロイヤル感にあふれていました

平方元基

平方さんフランツは、皇帝の立場とシシィへの愛とのはざまで苦しむ姿が人間的で、とても好きなフランツでした。

「よき皇帝であろうとした」青年皇帝という印象。

「♪皇帝の義務」で、大人しくゾフィーの教えを請い、わからない事は、グリュネン伯爵を頼る。

自分では判断を下せない初々しさが、「ゾフィーこそが宮廷でただ一人の男」と言われた事実を、浮き上がらせるような青年皇帝。

自分が好きになったことで、シシィが苦しむこともわかっていて、シシィの心の痛みが、フランツの痛みにもなっているようで、シシィとフランツくっついて!と何度願ったことか。

公演が進むにつれ、フランツの人間らしい感情がより出てきたように感じます。

ゾフィーとの嫁姑の諍いの際、助けを求めるシシィを、階段の途中まで降りて身をかがめながら思わず抱きしめちゃった時もありました。

シシィとゾフィーの間に争いが起こることを、予感出来ていたフランツだと思います。

「僕は君の味方だ」と言い、嬉しそうにうなずくシシィを慌ててなだめるように抱きしめるのも、その後、シシィにとって嬉しくないことを言わなくてはいけない、とよくわかっているから。

シシィの気持ちに寄り添える皇帝なので、平方フランツなら違う未来があったかもしれないのに。

平方さんフランツの「夜のボート」が大好きで、フランツ「愛しているよ」シシィ「無理よ」で、平方フランツ、うなづくんですよね。シシィの答えが既にわかっていたって。

平方フランツはシシィの気持ちがわかっていながら、それでも気持ちを伝えずにはいられなかった。

もう、夜のボートは毎回、涙が止まりませんでしたね。。

田代さんフランツがあまりに自然に老けていくので、当初、平方さんは老けた声を出すのが大変そうと思っていましたが、それも自然になってきて、後半は本当に見事でした。

最初から好きなフランツだったけれど、後半、ますます好きになった。シシィと幸せになってほしいフランツでした。

ルキーニ

山崎育三郎

何度か2019年の山崎さんのルキーニをみていくうちに、ふと思いだしたのがクイーンのフレディ・マーキュリーさん。

といっても、去年のボヘミアン・ラプソディ―でちょこっと興味をもったニワカですが😅

ステージ上のフレディはとてつもなくパワフルで魅力的だけれど、彼の作る曲や彼のパフォーマンスを、周りがどう思おうと構わない、というか、達観して意図的に自分と周囲を切り離しているように感じます。

山崎さんのルキーニは、エリザベートの生涯と観客をつなぐ橋渡しをしているようで、観客が舞台のことをどう思うと構わない、と突き放したような印象でした。

私は読んでいないですが、フレディの伝記本に「「孤独な道化」というタイトルがありますが、山崎さんのルキーニにも当てはまる言葉だと感じます。

なんか、孤独感というかルキーニの寂しさを感じるんですよね。

成河

2016年公演で拝めなかった成河さんルキーニ。期待以上の芝居と歌でした。

舞台上にいるとつい目で追っちゃう。2019年公演の最初の頃の感想で、「狂気」「狂喜」などと書いていますが、今思うと、物語をクローズアップしてみせたり、または俯瞰してみせたりと、成河さんルキーニのしぐさ1つで、作品がガラリと違ってみえたことが、今までとは全く違ったことかなと思います。

舞台なんだけれど、映画のような映像作品にもみえるようになったというか。

観ていくうちに気になったのが、成河さんルキーニの視線。

冒頭、マックスパパと家庭教師がいちゃいちゃしているシーンで、じーっとマックスパパの方を観ているのは、彼を責めているのか。

結婚式の舞踏会シーンでも、マックス公とルドヴィカをじーっと観ているんですよね。。

ルドヴィカはヘレネでなくても、シシィが皇后になることに喜んでばかりだし、マックス公は結婚に反対とはいえ、結果的にシシィを嫁がせてしまった。そこから不幸が始まるというのに。

そんな2人をじーっとみる、成河さんルキーニの考えていることがとても気になりました。

成河さんルキーニに引き込まれながらすすむ物語ですが、ルドルフ死後、ルキーニに写真をとられて叫ぶシシィの真似をして「ぎゃーーー」と金切り声をあげるルキーニの残酷さに、その後に続くキッチュは、あぜんとしたままいつも座り呆けていました。

ここで、叫んだのは成河さんが初めて?山崎さんルキーニは叫ばない。

活き活きと嬉しそうに物語をみせているのに、獄中のシーンになると途端におどおどし、シシィを刺したあとは、軍隊歩き?というのか、胸を極端にはり、腕を勢いよく振ってあるく。実在したルキーニの逮捕時の写真を参考にしたのか。

「舞台で繰り広げられるエリザベートは成河さんルキーニの物語」そんな風に感じる面白さ(さらに歌もうまい)に、まだまだ続投してもらいたいですが、成河さんがまた演じてくれるのかなぁ。それが心配です。

ゾフィー

香寿たつき

威厳に満ちた皇太后で、「宮廷で唯一人の男」の納得感もすごかったし、同時にオーストリー帝国の「国母」にも見えました。

軍服ドレス姿が、帝国を統治していく覚悟を決め姿のようで、すごくお似合いです。

声の深みと歌が相変わらず素晴らしく、大好き。7月末がラストで早抜けされてしまったのが残念ですが、また香寿さんのゾフィーに会いたいです。

涼風真世

香寿さんに比べると「女性」を感じるゾフィー。フランツが皇帝の仕事をしている時は、フランツに対して厳しいが、プライベートになると甘くなっちゃう。バート・イシュルで息子の名前を呼ぶとき「フランツ💖」ってハートマークがついていますからね。

とても感情的な人なのに、政治を行う為に冷たい仮面をつけていた涼風ゾフィー。フランツに「もうあなたの言う事は聞かない」と言われ、ショックをうけ、涙を流しつつも自分が行ってきた事に間違いはないと、誇りをもって最期を迎える「♪ゾフィーの死」

とてもドラマチックなゾフィーでした。

老けた時の声や演技がとても自然で、おばあちゃんになった時のコミカルな演技も面白かったです。

剣 幸

初めてみた剣さんゾフィー。すごく面白かった。

ゾフィーが3名も??と今回驚いたのですが、3名観劇できて良かったよー。

「肉親」を感じるゾフィーで、フランツの母、シシィの叔母、ルドヴィカの姉、というのが舞台上から伝わってきました。

結婚式翌日の朝、寝室にやってきたゾフィーがまだ寝ているシシィを責めるシーンがありますが、香寿さん、涼風さんはおっかなくて、シシィに逃げ場がありません。涼風さんゾフィーが朝5時に起こしてくるとわかったら、私なら正座して待っているw もちろん顔は洗って。

でも剣さんゾフィーは、無作法な姪を諭している印象でした。

「顔は洗ったの?」の言い方が、責めているというより、ヤレヤレ・・・といった表情で、シシィが姪だから余計、阻喪があってはならないと叔母目線で接しているみたい。

家族感が強くて、もし没落していくハプスブルク家にいなかったら、シシィとはたまの諍いはありつつも、楽しく暮らしていけたんではないか、と思えるゾフィーでした。

ルドルフ

京本大我

すごすぎて記憶が飛びました。。

ようやく観られた京本さんルドルフ...でも7月末で抜けてしまった事もあり、回数が足りない!来年はニュージーズへの出演あるから、ルドルフとしての参加は今回で終わりなんだろうな...

なんかもう、夢のような皇太子で、あわあわしているうちに終わってしまったw

覚えているのは、ルドルフの純粋で美しい魂を体現しているような皇太子。死に魅了されてしまう儚さと、それに抗う葛藤する姿。

事情があるとはいえ、京本大我さんルドルフを映像に残さないのはもったいなさすぎる。。

三浦涼介

公演を重ねるにつれて、大きく変って行ったルドルだと思います。初期の頃は、帝国の将来を憂う熱血の青年と、ママを請う幼いままのルドルフを内面に抱えている印象でしたが、徐々に、孤独感が増していったように思えました。

もろさ・孤独・耽美・・・

三浦さんルドルフで特に印象に残るのが、「♪ママは僕の鏡だから」で、シシィに「わからないわ」と拒絶されるシーン。

「え?」と、シシィが何を言っているかわからない、と驚いて、一瞬間が空きます。

その後、気を取り直そうとして、シシィに再び笑顔を向けて、訴え続ける三浦さんルドルフの姿、胸が痛かったなぁ。

母親のシシィに期待しているのに、拒絶されて、すぐに納得しちゃう。

このことに、彼が幼少の頃からどれだけ長く孤独に過ごしていたか想像できちゃうから。彼の中で理想のママは、現実にはいなくて、ずっと想像の世界にいた人なんだよね。

トートに「死にたいのか」と言われ、銃に向かって手を伸ばすとき、泣いているんですよね。

本当は死にたいわけじゃない。でも、この世界に自分の居場所はない。。。

死は彼を救ったのか?

エリザベートの冒頭で、ルドルフが叫ぶ「ママは僕と似ている」と言うセリフ、

結局、ルドルフは死後もママを追い求めて言えるのかと思うと、辛い。

木村達成

京本さん、三浦さんルドルフとは、ある意味対局になるのか、儚さのないルドルフ。

父のフランツ・ヨーゼフに似た、一直線の真面目さと頑固さを感じます。

前回も書いたけれど、性質はフランツ・ヨーゼフに近いのに、シシィの自由主義思想を叩きこまれちゃっているから、父と対立してしまう。父と似た物同士がゆえに、お互いに歩み寄れない。

でも「ちちうえー」の叫び方が、少しあどけなくて、フランツ・ヨーゼフに家族としての気持があるんだなあ。

とても現実的なルドルフだから、本当ならトートが忍び寄る隙なんてなかったはずなのに、シシィに拒絶された絶望から、トートを呼んでしまう。

真面目な人ほど騙されやすいとも言うけれど、トートからみた木村さんルドルフは、手玉にとりやすい相手だった。

本当なら死ななくて良かったはずなのに、ボタンの掛け違いで、黄泉の世界へ行ってしまった....

そんな風に思えます。

ルドルフの心の変化をとても丁寧に演じていて、大好きなルドルフでした。

他に印象的だったこと。

原慎一郎さんマックス公がほんと好き。歌が上手なのもあるけれど、シシィのことを心配して、婚礼の舞踏会で最後までシシィをみている姿が心に残りました。母親よりもシシィのことを気にかけていたから、コルフ島のシーンで登場したのかな。

女官長のリヒテンシュタイン役の秋園美緒さん。国王一家の臣下で位の高い女官長の雰囲気が良く出ていて素敵~!嫁いできたシシィの側にいるけれど、お仕えしているのはゾフィー様!とばかりに、新婚翌朝の嫁姑戦争では、シシィの言動に顔をしかめてばかり。ゾフィーの言う事には大きくうなずくリヒテンシュタイン様でした。

舞踏会のシーンでは、みんな美しいドレスに身をまとってますが、リヒテンシュタインのドレスは一段と格調が高いような?詳しくはわからないので、秋園美緒さんの雰囲気によるものかもしれませんが。宮廷でお仕えしている時の軍服ドレスもゾフィー様同様、美しいです。

ヴィンデッシュ嬢の真瀬はるかさん。「私はえりざべーーーと!」と叫ぶ精神病院でのシーン。毎回、素晴らしい美声を響かせてくれ、いつか真瀬はるかさんのシシィを見せて欲しいです。

ハンガリー貴族エルマー役の植原卓也さん。年の取り方が上手で、最初は若々しいのに、ルドルフと独立運動を目指している時は初老の雰囲気が良く出ていました。ルドルフが警察に捕まり「ハプスブルク」と名乗らざるを得なかったとき、すまなそうな顔をしているんですよね。。。

シュヴァルツェンベルク伯爵の朝隈濯朗さん。「わーが国は ロシアに~」と毎回、美しい低音を響かせてくれていました。

シシィの姉、ヘレネ役の彩花まりさん。親戚の集まりでフランツとのお見合いを発表されたとき、腕がぷるぷる震え、王家に嫁ぐプレッシャーと恐れ多さに押しつぶされているようにみえました。シシィと違って、事前にオーストリア皇后になる覚悟を持とうと頑張っていたんじゃないか....と思えます。

マデレーネ役の美麗さん。マダム・ヴォルフのコレクションに登場する女性アンサンブルさんたち、全員美しい身体をしているのですが、美麗さんのスレンダーさには、眼を奪われました。8頭身?9頭身。高級娼婦感がすごく出ています。

ここのシーン、華やかですが衣装の色味を抑えているので下品にならず、美しく思える大好きなシーンでした。

そして衣装といえば、宮廷での舞踏会シーンで、豪華ながら抑えた色味の衣装をまとうウィーン宮廷の女性たちと、バイエルンの自然を思わせる、淡い色合いに身を包む、シシィ一家の衣装の対比も素晴らしかったです。

あ~3ヶ月楽しかったなー。エリザベート。

キャスト、オーケストラ、スタッフの皆さんありがとうございました。

2020年もチケットとれますように。

2019年東宝帝劇エリザベートキャスト

エリザベート:花總まり/愛希れいか
トート:井上芳雄/古川雄大
ルイジ・ルキーニ:山崎育三郎/成河
フランツ・ヨーゼフ:田代万里生/平方元基
ルドルフ:京本大我(SixTONES)/三浦涼介/木村達成
ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ:未来優希
ゾフィー:剣幸/涼風真世/香寿たつき

エルマー:植原卓也
マックス:原慎一郎
ツェップス:松井工
リヒテンシュタイン:秋園美緒
ヴィンデッシュ:真瀬はるか

アンサンブル
朝隈濯朗、安部誠司、石川剛、奥山寛、川口大地、後藤晋彦、佐々木崇、白山博基、田中秀哉、福永悠二、港幸樹、山田元、横沢健司、天野朋子、彩花まり、池谷祐子、石原絵理、伊東典子、彩月つくし、七瀬りりこ、美麗(原広実さん休演により)、松田未莉亜、安岡千夏、山田裕美子

トートダンサー
乾直樹、五十嵐耕司、岡崎大樹、小南竜平、鈴木凌平、谷森雄次、楢木和也、渡辺謙典

少年ルドルフ
大河原爽介、大橋冬惟、加藤憲史郎、陣 慶昭

脚本/歌詞 ミヒャエル・クンツェ
音楽/編曲 シルヴェスター・リーヴァイ
演出/訳詞 小池修一郎
音楽監督 甲斐正人
美術 二村周作
照明 笠原俊幸
衣裳 生澤美子
振付 小尻健太/桜木涼介
歌唱指導 山口正義/やまぐちあきこ
音響 渡邉邦男
映像 奥 秀太郎
ヘアメイク 富岡克之(スタジオAD)
演出助手 小川美也子/末永陽一
舞台監督 廣田 進
稽古ピアノ 中條純子/宇賀村直佳/石川花蓮
オーケストラ東宝ミュージック/ ダット・ミュージック
指揮 上垣 聡/宇賀神典子
翻訳協力 迫 光
プロダクション・コーディネイター 小熊節子
制作助手廣木由美/土器屋利行
プロデューサー 岡本義次/坂本義和/篠﨑勇己
宣伝写真 Leslie Kee
宣伝美術/アートディレクション 服部浩臣(COM Works)
デザインCOM Works
製作 東宝

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