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日本公演『キンキーブーツ』の感想とあらすじ!2019年東急シアターオーブ

再演の『キンキーブーツ(Kinky Boots )』を東急シアターオーブで観てきました。(2019年4月17日ソワレ)

2年半前の日本初演の時はチケット売り切れで観に行けませんでした💦 しかし来日版『キンキーブーツ』(ローラ:J.ハリソン.ジー、チャーリー:アダム・カプラン)を観劇したら驚くほど良くて即リピートしたので、日本人キャストでも絶対みたいと思っていたのでした。

今回、再演の2日目に観たのですが、千秋楽間近かと思えるくらいの熱い舞台と客席で、初演でこの作品は多くのお客さんに愛されたんだなーとわかりました。「Land of Lola」「Sex is in the Heel」ですぐに手拍子が始まり、皆さん良く分かっていらっしゃる(笑)

youtubeで散々みてきた三浦春馬ローラとエンジェルス。舞台でみると一層華やかで美しく、これぞドラァグクイーン!これぞキンキーブーツ!

そして華やかさだけでなく、男性の格好(=自分らしくいられない服装)になった時の三浦ローラ(サイモン)の心許ない表情や、父親の期待に応えられなかったかった葛藤が切なくて、心に残りました。

小池チャーリーの焦りからくる従業員との争いなど、全キャストさんのお芝居が繊細で素晴らしく、ほんっとうにいい作品&いい役者さんが揃った最高のエンターテイメントだなという感想です。

舞台を観終わってみると、プログラムに書かれていた脚本のハーヴェイ・ファイアスタインの「自分たちを苦しめる固定観念を取り去り、心の赴くまま喜びにあふれる未来へ向かう」という優しいメッセージが確実に伝わり、短時間で目で耳で楽しんで、明日への希望を胸に生きていけるのは、この作品ならではの醍醐味だなと思うのでした。

ちなみに、ハーヴェイ・ファイアスタインは、ミュージカル『ヘアスプレー』で主人公の母親エドナ役を務め、トニ―賞で主演男優賞を受賞した方。『ラ・カージュ・オ・フォール』では脚本を書き、トニー賞ミュージカル部門脚本賞を受賞しています。

目次

ミュージカル『キンキーブーツ』あらすじ

イギリスの田舎町ノーサンプトン。老舗の靴工場「プライス&サン」では、社長が息子のチャーリーに工場を継がせたいと願うが、チャーリーは興味がなく、恋人の二コラとロンドンへ行く。

しかしロンドンにいたチャーリーに父親が亡くなったという知らせが入り、急遽チャーリーが「プライス&サン」を引き継ぐこととなった。

そこでチャーリーが知ったのは、実は工場は倒産寸前だったという事実。大量のキャンセル品が届き、その在庫処理にチャーリーは再びロンドンへ向かう。

その夜、フーリガンに絡まれていた”女性”を助けようとしたチャーリーは、ザ・ブルー・エンジェル・クラブの美しきドラァグクイーン、ローラに出会う。

彼女が手にしていたブーツをみて、「体格の良い男性が履いても壊れない」女装用のブーツを、倒産寸前の工場で作ろうと思いつく。

今のままでは会社再生の道は厳しいが、幼なじみで工場に長く勤務勤務しているローレンから「ニッチな市場を探したら」とはっぱをかけられていたのだ。

さっそく工場で頑丈なブーツを作るチャーリー。

それをみたローラは、話にならない!と一蹴。

頑丈でも武骨であずき色のブーツなんていらないのだ。鮮烈な赤とピンヒールでないと!とローラは力説。

チャーリーはローラに靴デザイナーとして工場に残ってほしいと懇願。

そしてチャーリーは、「女装の男性がはくブーツ(キンキーブーツ)」を製造することを従業員たちに宣言する。

以前とは違い、前向きになったチャーリーをみて恋する幼なじみのローレン。

チャーリーとの協力のため、工場に残ることにしたローラは、周囲になじむために女装ではなく男性の格好をしてあらわれる。

しかし、彼女を受け入れられない古株の従業員ドンに屈辱的なことをいわれ、トイレにこもってしまう。

かけつけたチャーリーに、ボクサーだった父親の期待に応えられず、それが苦しみとなっている事を伝えるローラ。

チャーリーも父親の理想の息子ではなかったと同じような葛藤を抱え、2人はお互いに共通点を見出し友情が芽生える。

そしてついに、ゴージャスでデンジャラスな「キンキーブーツ」が完成する!

キンキーブーツをミラノの展示会に出品するため、会社は大忙し。

偏見から何かとローラへつっかかるドンに対して、ローラは対決を持ちかける。

2人はボクシングで勝負をすることになった。結果はドンの勝利。

しかし、ボクサーの父親から訓練を受けていたローラは、実はドンに勝利を譲っていたのだった。それに気づくドン。

そんなドンに対して、ローラは「あるがままの他人を受け入れて」と提案する。

従業員と絆を深めるローラ。一方のチャーリーは、ミラノの展示会へのプレッシャーに潰されそうになる。

工場で出来上がってくるブーツの出来がチャーリーの理想に追い付かず、従業員たちを追い詰めるような言葉を口にするチャーリー。

そしてついに、ローラを傷つける決定的な言葉を投げつけてしまう。

チャーリーの元から去っていくローラや従業員たち。

ローラはある老人ホームの慰問コンサートにでる。そこにはかつてローラを拒絶した父親がいた。コンサートの最後、父親はローラの手に自分の手を重ねる。

ミラノの展示会直前。ローラに謝罪の電話を入れるチャーリー。

その後、ローレンと工場長のジョージとの3人でミラノへ。出品するキンキーブーツを履いてくれる人がいないので、チャーリー自身が履いてランウェイに出る。

ブーツを履きこなせずよろよろのチャーリー。そこに現れたのが、ローラ率いるエンジェルスたちだった。

全体的な感想

2016年に来日版をみた時は、前知識なくて英語だったので、ローラ&エンジェルスの華やかさばかり目がいきました。実際に、当時の感想をみると「華やか」ばかり書いているw

今回2019年の日本人キャストも、華やかさは変わらないのだけれど、日本語で理解できる分、ローラの葛藤やチャーリーの辛さがより大きく伝わってきました。

小池チャーリーがミラノ展示会のためのブーツを作っている時、従業員へプレッシャーからいら立ちをまき散らすシーンで、パット役の飯野めぐみさんが、お芝居でなく本気でむかついてセリフをしゃべっているように聞こえました。

チャーリーが物語を推し進めている点もわかりやすかったです。

継ぐ気のなかった倒産寸前の会社の社長になってしまい、はじめは従業員をリストラする方向で考えていたけれど、やはり会社を立て直そうと奮い立つ。女装する男性用のブーツという変わった商品で起死回生を図るという決死の覚悟。会社のためにもミラノの展示会へ出品したいのに、社長からみればまだまだ甘い従業員たち。

チャーリーは試練続きで、その彼の気持ちと一緒に私たちはこの物語を見ていくわけで、まさにこの作品の根底といえる存在です。

あと、言うまでもなくシンディ・ローパーのキャッチャーな曲がとても良いです。1~2曲だけじゃなくて全部いい。

そして、構成に無駄がないというか、作品の言わんとしていることはこれか?あれか?と見終わった後に、無理やり脳内で補完をしたくなるようなものではなく、スッキリ納得感のある作品で、2013年トニー賞13部門ノミネート6部門受賞も納得の舞台でした。

キャスト感想

チャーリー:小池徹平

チャーリーはローラと違って、いわゆる普通の人代表。演じるのは難しい役どころだと思うのですが、ローラに負けずにとても印象に残るチャーリー役でした。

お芝居が本当にいい...最初はちょっとヘタレっぽくて、なんで自分が会社継ぐことになっちゃったんだ、面倒だなーという感じなのに、だんだんやる気が出てきて、でも、やる気が空回りしてプレッシャーに押しつぶされていて...

だんだん、従業員にとって嫌なトップになってしまうのだけれど、でも最後にみんなついてきてくれるのは、子供時代からの付き合いがあるからだよね。そしてチャーリーの必死さもみんなに伝わったのだと思います。

「The Soul of a Man」はチャーリーの魂の曲、と言う感じで、泣きそうになりました。

ローラ:三浦春馬

日本でこんなに素敵なローラを観られるなんて、神様に感謝しかないです。。

WOWWOWで東野圭吾さん原作の「ダイイングアイ」に主役で三浦春馬さんが出ていて、ちょうどいま見ているのですが、ほんとうにおんなじ役者さん...?

ドラァグクイーンのローラになった時の、美しさ、筋肉のたくましさ、威勢の良さ...あー美しい。高いヒールを履いたダンスも歌も最高です。

でも、ああああ!となったのは、サイモン(ローラの本名)となり男性用スーツで出てきた時の、不安で頼りなげな雰囲気をみたとき。

三浦春馬さんは男性だから、男性用のスーツ着るとしっくりくるはず...なのに「本当の自分でいられなくて心地が悪い」感がめちゃ伝わってくるんです。すごい。

女装のローラの時は、威勢がよくて無敵感があるのに。

でもこのサイモンの姿を見る事で、ローラも葛藤をかかえて乗り越えて強くなってきた、どんな人でも受け入れる広い器を持ったのだと勇気をもらえます。

老人ホームで父親の前で歌う「Hold Me in Your Heart(心で抱きしめて)」は、ローラの魂の歌。思いをぶつけて歌う三浦ローラの姿が美しく、いつまでも心にのこります。

ちなみに、作品上でローラがゲイなのかどうかは触れられず、演出のジェリー・ミッチェルはそれは演じる役者に任せているとのこと。

作品のメッセージは「ありのままの自分と他人を受け入れること」だから、そこにこだわる必要はないんですね。

ローレン:ソニン

面白くておっちょこちょいで、素直で、可愛くて、好きにならずにはいられないローレン。チャーリーもローラも好きだけれど、キンキー観た翌日、「ローレンに会いたい」と思っちゃったくらいです。

歌と演技のうまさが土台にあってのお笑いで、ソニンちゃんという役者さんは、革命に身を投じるパワフルさから、コミカルまで幅が広く、ほんと素晴らしい。

小池徹平さんとの組み合わせ、サイズ感が好きです。

他にも、エンジェルスの皆さんの踊りの大迫力、工場長ジョージ役のひのあらたさんの、美声(ブーツ履いた時の足の美しさにも目を奪われた!)、偏見野郎だけれど、工場を救う時は救うぜ!のドン勝也さん、小池チャーリーとだんだん距離が出来ていく恋人役のニコラ、と素晴らしいキャストさんばかり。

最後は最高にハッピーな気持ちで劇場を後にできました。

photoスポット
混雑していました💦

キャスト
チャーリー・プライス:小池徹平
ローラ:三浦春馬
ローレン:ソニン
ニコラ:玉置成美
ドン:勝矢
ジョージ:ひのあらた
パット:飯野めぐみ
トリッシュ:白木美貴子
ハリー:施鐘泰(ジョンテ)
エンジェルス:穴沢裕介、森雄基、風間由次郎、森川次郎、遠山裕介、浅川文也
エンジェルス/スウィング:佐久間雄生
アンサンブル:藤浦功一、佐々木誠、高原紳輔、中村百花、丹波麻由美、舩山智香子、清水隆伍、加藤潤一
ヤングチャーリー:岩間甲樹、山口祐輝、若林大空
ヤングローラ:犾守大空翔、高畑遼大、阿部カノン

作品
脚本:ハーヴェイ・ファイアスタイン
音楽・作詞:シンディ・ローパー
演出・振付:ジェリー・ミッチェル
日本版演出協力/上演台本:岸谷五朗
訳詞:森 雪之丞

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