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ミュージカル・フランケンシュタインの感想(2017・日生劇場)

2017年初のミュージカルはフランケンシュタイン!

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フランケンシュタイン 中川晃教、柿澤勇人
アンリ(怪物)加藤和樹、小西遼生

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Wキャストそれぞれ見てきました。

1回目見たときは、重厚で迫力のあるオーケストラ、それに負けない俳優さんたちの歌声、熱量にただただ圧倒されて物語を追っていく余裕がなかったのですが、2回目でようやく全体の流れがつかめました。

フランケンシュタイン、子供のころアニメで見た記憶がありますが、おぞましい怪物の姿に勝手に作られ人々から嫌われ孤独の中で生きていく怪物がかわいそうすぎて、ものすごい嫌な後味だった記憶があります。

勝手に作って邪魔者扱いするなよなー。

ミュージカルのフランケンシュタインも、やはり怪物が哀れです。

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まずはアンリ・怪物役の加藤和樹さんの感想から。
(ネタばれあります。)

ミュージカルフランケンシュタインは、メインキャストが主に1幕と2幕で別の人物を演じる1人2役形式です。

みなさん、まったくの別人格を演じているのですが、怪物役だけ<アンリ→アンリの死後の怪物>へとつながりのある役です。

アンリは戦場でフランケンシュタインに出会い、友人・よき理解者となる人物。フランケンシュタインの罪をかぶり死刑にまでなってしまう、いい人というか達観した人。

普通そんなことないだろう、もっと取り乱すだろう、というのを無理なく納得できてしまうのが加藤和樹さんの仏のようなほほえみを持つアンリでした。いい人柄全開で無垢。

加藤和樹さんのフランケンは1回目で観たので、ストーリーを追う必要があり、あまりじっくり見る事が出来なかったのですが、再度見たら、結末を知っているだけに、アンリ時代の加藤さんのほほえみをみたら泣いてしまいそう。エリザベートの「夜のボート」を知っているから「あなたが側にいれば」が泣けるように...

怪物になってからの加藤さんからも随所に無垢さを感じ、「純粋な心をもった怪物が人間に虐げられている感」が出て、つらくて見ている方が罪悪感を感じてしまいました。

 
そしてもう一人のアンリ/怪物、小西遼生さん。

死刑になったあと、フランケンシュタインの実験により怪物として生まれ変わったあとの化け物感が半端なく、1幕ラストは鳥肌がぶわーっとたってしまったほどでした。表情、オーラすべてがすごく怖い。

小西さんの怪物も哀れなのですが、加藤さん怪物とはちょっと違う印象です。加藤さんのような無垢さは感じず、底まで沈んでしまった感じ。なんだろうなー。この違いw

二人とも美男子さんですが、小西さんは怪物の時にあえて美しさを出さず、えぐさを出しているようにも感じました。

 
次に、フランケンシュタイン/ジャック役の中川晃教さんことアッキー。

アッキーは、アッキーだから最高に上手だろうと思っていたら本当にその通りでした。アッキーの舞台を多くみているわけではないけれど、この方のすごさって、何をやっても最高のパフォーマンスになることかしら。。。無難になんでもマルチプレーヤーという事ではなく、役そのものに乗り移ったようにもなるし、歌も演技も抜群にうまいから、本当にすごいとしかいいようがない。

フランケンシュタイン役は、歌が多く音楽のアップダウンが激しくめちゃ低音と高音を出す必要があり、歌い上げるのが本当に難しそうですが、アッキーはもちろん完璧に歌っていました。

 
そして、Wキャストの柿澤勇人さん。

今回驚いたのが柿澤さんのクオリティの高さ!(こんな風に書くのも失礼かもしれませんが、本当に素晴らしくてびっくりでした。フランケンシュタインの低音、高音の歌、2幕のジャックは全くの別人かと思うほど発声、演技がガラッとかわり、今までなんで存じ上げなかったのだろうとそれも驚きました。

いやぁ、素晴らしいミュージカル俳優さん、多くて本当に楽しい

 
歌唱力といえば濱田めぐみさんも(当然だけれど)圧巻でした。

ビクターフランケンシュタインの姉、エレン役の時は、劇場の空気を柔らかく包み込むような歌唱力で、2幕のエヴァの時はピリッと舞台にメリハリを与え、いやぁ・・・はまめぐさん、うまいなぁ。。。と改めて思ったし、今日のミュージカルの帰り後ろにいた女性二人もそんな話題をされていました。

ミュージカルフランケンシュタインの曲が、わりとオーケストラでガンガン!という感じで、素敵な曲だけれど、音がちょっとうるさく感じる部分もあったのですが、そこをうまく中和してくれたのが、濱めぐさんでした。

 
そして執事のルンゲとイゴール役の鈴木壮麻さん。。

とても端正なたたずまいな方ですが、2幕は言葉がありません....

 
全体的にみなさん、歌がとても素晴らしく見応え、聴きごたえのあるミュージカルでした。

2度見て、怪物の哀れさが今の自分には印象的ですが、怪物を創造したフランケンシュタインの悲しみや哀れさも、もっと観ていくといろいろと感じる事があるかもしれません。柿澤さんのフランケンシュタインは、「生命の創造をする」という研究に情熱を燃やすだけでなく、うっすらと狂気のようなものも感じました。

ラスト、フランケンシュタインと怪物が対峙するのですが、怪物が亡くなるときフランケンシュタインが「アンリー!」と友人の名前を叫ぶのも、気になります。怪物になっても、たぶんフランケンシュタインは怪物に対し愛情を持っていたのかなと。。

考え出すと、止まらなくなります。

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