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モーツァルト!(古川雄大ヴォルフX生田絵梨花コンス)2018年6月1日マチネ感想

帝国劇場で「モーツァルト!」を観てきました。

4年ぶりの上演、新演出のモーツァルト!そして4人目の新ヴォルフガング・モーツァルト「古川雄大さん」登場ということで、とても楽しみにしていました。

あと、久しぶりの山口祐一郎さんコロレド猊下も...!

 

旧演出よりも新演出は舞台が華やかに感じました。

古川さんヴォルフもよかった。とても心に残るヴォルフガングでした。

そしてヴォルフガングとコロレド猊下の新曲が加わった事により、ヴォルフガングの事を一番理解していたのは、ヴォルフガングが嫌っていたコロレド猊下だったのでは?と旧演出では、思いもしなかったことも感じました。

目次

キャストさん感想

ヴォルフガング・モーツァルト:古川雄大

エキセントリックではなく、等身大の普通の青年、といったヴォルフガング。

登場シーンは、今まで観てきたヴォルフの中で一番、普通っぽさを感じたかも。

それが、だんだん自分自身に追い詰められ、最後は猛スピードで破滅へと向かっていくように見えました。

古川さんは、「残酷な人生」「影を逃れて」といった、暗いナンバーでみせる、追いつめられた表情が印象的。

古川さんの演技だからか、新演出になったからか、今まで観てきたモーツァルトで、唐突に思えた最後の悲劇が、とてもすとんと腑に落ちる流れでした。

あと、アマデ(自分自身)と少し距離のあるヴォルフにもみえました。なんでだろう?

井上さんのヴォルフは、アマデ(自分自身)とうまくやっているうように見えたのですが、古川さんヴォルフはちょっと違う。言語化できないのが難しい。。。

歌に関しては、もっと上手になっていくのではないかな、と思いました。

主役のヴォルフガングの歌は多いし、高音になったり低音になったり、歴代のヴォルフガングみんな苦労してきたし(あっきー除く)、大変ですよね。

高音にいくときに、身体に力をこめて出しているのが見えたので、苦労されているのかなとは思いましたが、声が裏返ったり、外すということがなかったので、今後歌いこんでいけば、伸びていくじゃないかなと思いました。

歴代ヴォルフガングとはまた違う、古川さんのヴォルフ。とても良かったです。

もう少し公演を重ねてからの古川ヴォルフを観たいけれど、もうチケットがないんだなぁ。。。モーツァルト。

コンスタンツェ:生田絵梨花

とても丁寧に演じていた生田コンスタンツェ。

普通のセリフは、「演じてしゃべろうとする」ような、不自然さをほんの少し感じる部分もあったのですが、コンスタンツェとしての表現はとても自然でした。

ヴォルフガングが愛したであろう、コンスタンツェの可愛らしさは、さすが。

個人的に生田コンスタンツェで好きなのは、ヴォルフガングと距離が出来た時の寂しさの表現です。

今まで観てきたコンスタンツェは、感情を爆発させるタイプが多い印象なのですが、生田コンスタンツェは、ぽっかり空いた心の穴を、寂し気な表情と声で上手に表現していると思いました。

「ダンスはやめられない」も、感情的ではあるんだけれど、ヒステリックにならずとても好き。

~魔笛を書き上げるために、ヴォルフガングに一人になりたいといわれ、家に戻ってきたら女性といちゃいちゃする夫を目撃してしまう~

このシーンで見せる涙に、コンスタンツェが結局、夫の死後きちんと埋葬せず別の男性と結婚してしまった、というのも納得できました。生田コンスタンツェは表現がとても自然。

コンスタンツェを生きようとしているのが伝わり、良かったです。

歌は、古川ヴォルフ同様、まだ声が細い印象ですが、外したり裏返ったりしないので、続けていくとさらに素敵なコンスタンツェになるんじゃないかと思います。

ナンネール:和音美桜

和音ナンネール、、、美声すぎる。天使の声ですか?というくらい高音が特に綺麗で、歌もとても上手です。

レミゼのファンテーヌ、レディ・ベスのアン・ブーリンと和音美桜さんの歌のすばらしさは知っていましたが、この歌声の美しさは主役級なのではないかしら。

「終わりのない音楽」で、市村レオポルドとのやりとりする所では、和音さんの透明感のある声が、市村レオポルドの苦悩に満ちた声をより一層引き立たせる気がします。

和音ナンネールでCD欲しいなぁ

ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世

モーツァルトの舞台で、誰よりも輝いていた涼風さん男爵夫人。どの場面も文字通りまばゆいというか、お一人本当にまぶしかったのですが、圧巻だったのが「星から降る金」。

涼風さんの「星から降る金」は、歌っている本人のパワーもビシビシと感じるのですが、と同時にこの歌の伝えるべきことを演技で伝えてくるんですよね。これは旧演出当時から変わらず。

特に印象的なのが、観客の目線を、ヴォルフガングとレオポルドにもっていくように、涼風さんの身体の動きと目線も動くこと。

「星から降る金」はビッグナンバーで私も大好きですし、モーツァルト!という作品の中で1番好きという方も多いと思います。

この美しい歌詞と旋律の歌を、ご本人がリサイタルのように気持ちよく歌い上げることも、もちろんありかもしれませんが、涼風さんは、あくまでお芝居ベースで歌われていて、観客の目線を自分から外す。

そしてこういう事をしても圧倒的な存在感!

なんかもう、こんな華やかで素敵な、お芝居も見事な涼風さんを観られて本当に幸せ。。

3月に観たマディソン郡の橋のフランチェスカも良いけれど、豪華な衣装を着て舞台で歌っている涼風さん、やっぱり大好きだ~と思ったのでした。

コロレド大司教:山口祐一郎

圧倒的な声量、美しいマント姿・・・

「神よ、なぜ許される」では、声が劇場を突き抜けていくかのような迫力。。。

こんな山口祐一郎さん猊下が観たかった!!山口さんの歌声を全身に浴びたかった~
待っていました。ほんと大好き。

どのシーンだったか、、、ヴォルフガングを挟んで、上手に山口猊下、下手に涼風男爵夫人がいた時の2人の無双感といったら...!

今回、コロレド大司教とヴォルフガングの新曲が追加になり、銀橋(オーケストラと客席の間にある橋のようになっている部分。客席にとても近い)で歌う猊下がとても格好いいです。

レオポルト:市村正親

市村さんのレオポルトとても好き。

モーツァルト!はレオポルトとヴォルフガングの父子の話でもあると思うのですが、

ヴォルフガングを愛している気持は恐らく世界一なのに、レオポルトはヴォルフガングの才能を本当にはわかっていない。

だから閉じ込めよう、自分の想い通りにしよう、、、
でないと息子が危険に陥るから。
でも、ヴォルフガングはそんな枠にはまる人間ではない、、

結局分かり合えないままレオポルトは亡くなってしまう。

新演出になって、私はモーツァルトの一番の理解者はコロレドだったんでは?と思えたから、なんだか余計にレオポルトとが哀れに寂しく感じるんですよね。

子を想うレオポルトの気持ちに嘘があったわけではなく、あんなに落ち着きのない息子なら、そりゃ心配でたまらないよ、とレオポルトの想いは痛いほどわかるし。

市村さん演じるレオポルトの愛情と、親だからこそもつエゴに、泣けました。

エマヌエル・シカネーダー:遠山裕介

遠山裕介さん、初のシカネーダー。歌もダンスもすごく上手!

以前までシカネーダーは超個性派の吉野圭吾さんが演じられていたので、(今回は吉野さんは1789に出演中)役作りがきっと大変ですよね。

私は、遠山さんはヴォルフガングの悪友のようなシカネーダーだと思いました。これからさらに変化していくかな?2回め観るのを楽しみにしています。

モーツァルト!旧演出と新演出について

全て把握できていないですが、今回気づいた点について

舞台にピアノ(ハープシコード)が置かれている

舞台にぽつんと置かれているのではなく、ハープシコードが舞台そのものといった感じです。ハープシコードの蓋をあけると絵画になっているのがわかります。

鍵盤が階段になっていたり、回転すると、大勢が立つスペース+大階段(という表現が正しいのかわからにけれど、階段)になっていたり。

なかなか面白いです。

心配なのは、階段多いので、出演者さんがケガされないかということ。あの場所にたつだけで、かなり神経を使いそうです。特に鍵盤部分の段差は深く、観ていてヒヤヒヤしました。

削られた曲

いくつかあるのですが、残念と思ったのが、ナンネールのシーンのカット。

ナンネールがザルツブルクの野菜市場へ行った時にアンサンブルさんと歌う「まぁ、モーツァルトの娘さん!」

歌は残っているのですが、アルコ伯爵にやりこめられてしゅんとしたのち、「トマト1ポンド、玉ねぎ3つ~」と歌って元気になっていく箇所が削られていました。

削られたシーン

コロレド大司教のおトイレシーンが無くなりました(泣

馬車に揺られて漏らしそうになり切ない声をあげるコロレド大司教。。。用を足した途端、いばりんぼに戻るところが笑えて大好きなシーンでしたが、残念なことにカットされちゃいました。

DVDに残してくれて本当に良かった。

追加曲

「破滅への道」。ラスト近くにヴォルフガングとコロレド大司教のデュエットが追加。

ずっと威圧的だったコロレド大司教が、ヴォルフガングと対等のような立場になり、両者バチバチで歌う格好いい曲です。

この曲の追加により、コロレド大司教こそモーツァルトの理解者だと思えました。(もともとそういう意図で私が気づかなかっただけかもしれませんが)

ここへの伏線で、印象に残っていたのが、

ウィーンのコロレドの官邸で、ヴォルフガングが「僕はウィーンに残る」と歌っている時(1幕ラスト近く)の、大司教の表情。

旧演出では、無礼にも屋敷へ乗り込んできたヴォルフガングにいら立ちしかなかったように思えたのに、新演出の今回、大司教は笑みを浮かべていたようにみえました。

この笑みがすごく心に残っていて、それが「破滅への道」でデュエットを聴いたとき、あぁ、コロレドはずっとヴォルフガングの才能をこの世の誰よりも認めていたんだなと思えました。

モーツァルト!はもともと大好きな作品で、今回観に行ってやっぱり超好きと再確認。

名曲揃いだな~と思います。

新演出になって猊下のおトイレシーンがなくなったのは残念ですが、舞台が華やかになり見ていてより楽しかったです。

次も楽しみ。

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2018年6月1日マチネキャスト

ヴォルフガング・モーツァルト:古川雄大
コンスタンツェ:生田絵梨花
ナンネール:和音美桜
ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世
コロレド大司教:山口祐一郎
レオポルト:市村正親
エマヌエル・シカネーダー:遠山裕介
セシリア・ウェーバー:阿知波悟美
アルコ伯爵:武岡淳一
アントン・メスマー:戸井勝海
アマデ:大河原爽介

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