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ミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」2018年3月27日マチネ感想

日生劇場へ、「ラ・カージュ・オ・フォール籠の中の道化たち」を観に行きました。

日生劇場を訪れるのは、去年年明けのフランケンシュタイン以来。

「ラ・カージュ・オ・フォール」はもう何年も前から上演されていたのは知っていましたが、私は今回初めての観劇です。

きっかけは、BS-TBSの「Sound Inn “S”」。

去年、ミュージカルスペシャルが放映され、その時、「デートにミュージカルを選ぶなら?」というお題で、新妻聖子さんが、この「ラ・カージュ・オ・フォール」を挙げていたからです。

デートでミュージカルを観るなら・・・

  • 新妻聖子さん ラ・カージュ・オ・フォール
  • 城田優さん スウィーニートッド
  • 昆夏美さん ミスサイゴン
  • 山崎育三郎さん 回答忘れた

育三郎くんの答えを忘れてしまいましたが、他の皆さんは確かこのように回答していました。

という事で、デートじゃなくおひとり様ですが、聖子ちゃん推薦のラ・カージュ・オ・フォール!

観終わった感想としては、・・・愛が溢れる素敵な舞台!

私だったら、デートでもいいけれど、親子や友達と観るのもいいかなと思いました。つまり最高♪

舞台だけでなく、オケピも客席もあったかくて、心のポカポカがずっと続くような幸せに包まれました。

目次

ラ・カージュ・オ・フォールのあらすじ

舞台は南仏。ゲイクラブのオーナージョルジュ(鹿賀丈史)と、看板スターザザことアルバン(市村正親)の同性カップルが主人公。

20年間一緒に暮らしている2人には、ジョルジュの一夜の過ちで出来た息子のジャン・ミッシェル(木村達成)がいる。このジャン・ミッシェルを20年間、母親代わりに育てたのがアルバン。

3人は家族として暮らしてきたのだが、ある日、ジャン・ミッシェルに好きな女性(アンヌ)ができて婚約することに。アンヌの親が、ゲイクラブを厳しく取り締まるべきという保守派の政治家であるから、そんな古い価値観の人間に、父親がゲイクラブのオーナーであったり、親がゲイカップルという事がばれては一大事。

ジャン・ミッシェルは、一夜だけでいいから、母親代わりに育ててくれたアルバンに、どこか出て行ってほしい、代わりに実の母親を呼んでほしい、と父親のジョルジュに頼む。

当然、アルバンは傷つき・・・

というのが、おおまかなストーリーです。ここにゲイクラブでの豪華なショーなども加わります。

主な出演者

ジョルジュ:鹿賀丈史
ザザことアルバン:市村正親
ジャン・ミッシェル:木村達成
アンヌ:愛原実花
ハンナ:真島茂樹
シャンタル:新納慎也
ジャクリーヌ:香寿たつき
エドワール・ダンドン:今井清隆
マリー・ダンドン:森公美子

ラ・カージュ・オ・フォールの感想

ラ・カージュ・オ・フォールでは、ゲイカップルの親と息子がテーマになっていると思うのですが、個人的には、

「子供が親を隠したい心理」という点から考えると、どの家庭でも起こりえるなーと思いました。

例えば、親の職業、金銭的なこと、学歴などなど

特に若いうちは親の苦労なんてわからないし、婚約者相手や相手の親に恥ずかしくて、つい嘘をつきたくなってしまう事もきっとありますよね。

理由がなんであれ、息子のジャン・ミッシェルが、

  • 母親代わりに自分を育ててくれたアルバンを、これから家族になる相手には隠そうとする
  • 自分に会いにきてくれたことすらなかった実の母親を、両家顔合わせの日に呼びたいと願う

これって、育ての母親であるアルバンからしたら、とても残酷なこと。

実の子供を育てるのだって大変なのに、血のつながりのない子をずっと育ててきて、大切な日には自分じゃなく、彼を捨てた母親が良いというなんて。

ゲイだからとかではなく、こういう話ってありそうです。

で、育ての親のアルバンの気持を考えると、本当につらくなるんですけれど、、、

ここが、ラ・カージュ・オ・フォールという作品と役者さんたちの凄さだと感じたんですが、しめっぽくならないんですよね。

いい意味で軽いというのか、話は軽くないんですけれど。

まず、息子のジャン・ミッシェル(木村)が、「アルバンはまずい。実のお母さんを呼んでほしい」という言い方や演技が、

「とにかく自分の幸せのために、アルバンにはちょっと我慢してもらわなきゃ。」
「だって僕のこと大切に思ってるはずだから、それくらい当然してくれるでしょ?」

という、疑問もなく残酷なことを言えちゃう、ちゃっかりさんな子供っぽさがあって憎めない。

で、こういう風に言えるのって、アルバンが惜しみなく愛情を注いで育てたから、ジャン・ミッシェルは愛情に疑う事なく言えるわけで。

アルバンには残酷なんだけれど、ここでジャン・ミッシェルって、すごい愛情を注いでもらって育ったんだなと感じました。

ジャン・ミッシェルがひどいセリフを言っていても、こちらが「おいおいおいーーー」とツッコミながら観れちゃうのは、演じる木村さんの「だってさ、僕が頼んでいるんだよ?」と親の愛情を疑わない子供っぽさが感じられたから、という気がします。

そして息子のジャン・ミッシェルに、アルバンには当日家を出てもらうようにして、と頼まれた父親のジョルジュ(鹿賀)。

「お前を母親代わりにずっと育ててきた男に出ていけというのかい?」

こんな風にお説教もするのですが、恐らくジョルジュは全人類に深い愛を抱いている人で(と、鹿賀さんジョルジュを観て感じた)、そんな勝手をいう息子も尊重するし、

でも息子がアルバンに言うとアルバンを傷つけちゃうから、自分がその役目を、と引き受けます。

ジョルジュ、優しくてかっこいいーーー!!

鹿賀ジョルジュの飄々とした軽さが、あちこちに出ていて、深刻になりそうなテーマをさらっと軽やかにしているように感じました。

そして、ジャン・ミッシェルの気持を知ってしまったアルバン(市村)。

ここ、もし自分だったらと思うと。

すごくつらくて立ち直れないところです。

アルバンは身近な人への愛情がすごい人で、ジョルジュとジャン・ミッシェルに自分の全てをささげているような人。

だからとてつもなく落ち込むのですが、落ち込み方や拗ね方、全てアルバンは終始可愛いんですよね。

愛情に傷つくけれど、愛があれば立ち直れるチャーミングな人。

だから、すごく救いがあるし、何か嫌な思いをしても可愛いらしさを失わないって、自分も周りも救うんだな、とものすごく勉強になりました。

市村アルバン、心の底から可愛いです。

もう、何を書いているのかわからなくなったけれど、深刻にも描けるテーマを、愛と笑いに溢れたものにした、作品の力や役者さんたちの力が本当に素晴らしいと思いました。

他に、ジャン・ミッシェルの婚約者役アンナ愛原実花さんの、美しいバレエの動きや、

ダントン役の今井清隆さん、妻のマリー役の森公美子さんの面白さ、

そしてジャクリーヌ役の香寿たつきさんの艶のある美声など、周りを固めている役者さんも素敵で。

今井さん、森さん、香寿さんは、もっと出番あってもいいのに!もったいないという気もしますが、舞台に出た時の存在感はさすがでした。

また、ゲイダンサーの方たちの美しさや、カンカンダンスの迫力は、これがなきゃラ・カージュ・オ・フォールは成立しないと言えるほど。

ハンナの真島茂樹さんのキレ、シャンタルの新納慎也の美しさ、、、ショーとしてのミュージカルも存分に楽しめました。

ストーリーが収集つかなそうになったら、まあ、踊っちゃえ!的ミュージカルの力でねじ伏せるような終わり方もすごく良かったです。

ほんと。愛にあふれた舞台だったと思います。

鹿賀ジョルジュと市村アルバンのお互いを思いやったカップルも最高に素敵でした。

最後に。幕が明けてから、ぴょんぴょん飛びながら指揮をしていた塩田さんも最高でした!

あ、あともう1つ。

楽が近いからか、開始早々から拍手が多くて、客席が温かくこの日の公演に来れて心から良かったと思っています。

とても幸せな時間でした~!

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