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ミュージカル『レベッカ』2018~2019感想まとめ

レベッカ観劇2018~2019

2018年12月4日【大塚x保坂】シアター1010
2019年1月8日【大塚x保坂】シアターククリエ
2019年1月19日【平野x涼風】シアターククリエ
2019年1月26日【平野x涼風】シアターククリエ
2019年1月28日【桜井x涼風】シアターククリエ
2019年1月31日【大塚x保坂】シアターククリエ

ミュージカル『レベッカ』今回は合計6回の観劇でした!

大塚千弘さんと涼風真世さんの組み合わせで観られなかったことが本当に残念。チケットとるのが厳しかった(><)

今回、<わたし>がトリプルキャスト、<ダンヴァース夫人>がダブルキャストという事もあり、各キャストさんの違いを探しているうちに、あっという間に公演が終わってしまった感じです。

どの公演も素晴らしいものでしたが、初演のシングルキャストで観た時の方が、キャストさんを比較する事もなく、ストーリーに集中できたかもしれないと思いました。

今回の私が観た最終日に、私にとってこの作品は「ダンヴァース夫人の愛の話」と思えたのですが、確か10年前にもこんな風に思っていった事を突然思い出しました。

ここからさらに公演を重ねて観劇できれば、また感想も深まるとも思うのですが、明後日には千秋楽だしチケットないし、ほんと残念。

とはいえ、キャストさん毎に違いを発見するとその分、受取る量も豊かになる部分もあるので、とても楽しい時間を過ごせました。

目次

レベッカキャストさん感想

わたし:大塚千弘/平野綾/桜井玲香

初演、再演とずっとシングルキャストで<わたし>を演じてきたちーちゃん(大塚千弘さん)。

自分にとっては、レベッカの<わたし>と言えばちーちゃんと思えるほどの人で、マキシムに出会った時の初々しさから、真実を知った後の凛とした強さまで、納得感のある<わたし>でした。

透明感があり、レベッカとは真逆を表す純真さが伝わる声、マキシムを想う健気さ。マキシムの親友「フランク」が歌う、理想の女性像にぴったり当てはまる<わたし>

ちーちゃんの<わたし>は、ある意味すごく正論で、「ミセス・ダ・ヴィンターはわたしよ!」と歌うシーンでは、ダンヴァース夫人に反論を許さない「正しい」強さがあり、個人的にはこの曲で、ダンヴァース夫人が可愛そうに思えてならなかったのは、ちーちゃんの<わたし>でした。

ちーちゃんは、脚本を書いたミヒャエル・クンツェさんと作曲したシルヴェスター・リーヴァイさんが描きたかった<わたし>なんじゃないかと想像しています。

あと、ちーちゃんは相手をみつめる「目」の演技が素晴らしかった。怯え、戸惑い、恐怖....特に、ダンヴァース夫人が「レベッカ1」を歌っている時の、得たいのしれないジワジワとした恐怖を、目線で表現していたのが印象に残っています。

 

綾ちゃん(平野 綾さん)は、原作の<わたし>にとても近いと思えました。原作の<わたし>は、妄想癖がひどく自分に自信が全くない人間で、この人物像を前半部分でとりわけ強く伝えていたのが綾ちゃんかなと思えました。

マキシムが思わず惹かれてしまった、絶世の美女レベッカとは真逆の、良い意味での垢ぬけなさが際立っていました。

そして原作同様、とにかくマキシムが全てで他があまり見えていない役作りな印象を受けます。

綾ちゃんの、審問会でマキシムが心配で倒れそうになりながらベアトリスにしがみつく姿や、お屋敷でファヴェルに脅されている時に、必死でマキシムを守ろうと、細い腕でマキシムを抱きしめるようにしている姿が、マキシムに一途で必死な女の子、と伝わってきます。

マキシムの告白の後の演技もそれぞれ違って、

一番頼もしくなるのが、ちーちゃん。子供だった<わたし>が大人になり、<わたし>に「まるで子供だね」と言っていマキシムが、告白以降は<わたし>の前では子供になる。

ちーちゃんの<わたし>は、心の奥底に強さを持った女性だったけれど、育ちのせいで隠れていた。でもこの一件で見事に強い女性へ変身を遂げ、弱ったマキシムを導いていくように人生を歩んでいく姿が目に浮かびます。

一方綾ちゃんは、レベッカとの一件でマキシムの愛が自分にあると確信し、自信を持ったけれども、まだ人間的な弱さがある。マキシムと弱い人間同士、手探りで2人歩調を合わせて幸せな人生を歩んでいくという印象を受けました。

ただこれは、もしかしたらなんですが、ちーちゃんは<わたし>歴が長く、相手マキシム役の山口さんもちーちゃん相手なら安心して、甘えたマキシム像が出てきたのかもしれません(笑)

初演の綾ちゃんや、玲香ちゃんに対しては、自分もしっかりしなくてはというマキシム像が出てきたのかな、なんて。

玲香ちゃんの<わたし>については、1度しか観劇していないこともあり、演技面ではあまり印象が残っていないのですが、ちーちゃんのような透明感のある声が美しく役柄にあっていると思いました。歌も上手だし、華もあるのでぜひ今後も舞台で活躍されると良いですね。玲香ちゃん回は、ここで感想を書いています。

ダンヴァース夫人:涼風真世/保坂知寿

観れば観るほど自分にとって、この作品はダンヴァース夫人の愛の話に思えてならなくなりました。

観劇を重ねるにつれて偏った見方をするようになったと自覚しましたが、愛なんてそんなもん(笑)

例えば、今回から追加となった、幕開け前の海のコポコポという音。

これは、暗い海にたゆたう行き場のないダンヴァース夫人の心の声に聴こえるし

やはり今回追加になった、最後にカトレアの花を投げるシーンでは、

ダンヴァース夫人の投げた花だけ自立するのは、ダンヴァース夫人の心の中で決してしおれない花(=レベッカ)と見えます。

 

この作品はそれぞれの愛の形を伝えているものだと思いますが、

レベッカを想うダンヴァース夫人の愛と、マキシムを想う<わたし>の愛がとりわけ強くて、

両者の最後の結果が全く違うものになり、(本当は真実でない)真相を知った時のダンヴァース夫人が可愛そうで可哀そうでなりません。

ネタバレになりますが、

  • レベッカがガンだったこと
  • その事を自分が知らなかったこと
  • レベッカが自殺を選んだこと(とダンヴァース夫人は思った)

強くて絶対に自殺なんてありえなかったレベッカが自殺を選び、なおかつレベッカが真実を打ち明けるに値する人間ではなかった、という事実がどれほどダンヴァース夫人を打ちのめしたのか。

私は、レベッカがダンヴァース夫人に思いを打ち明けなかったのは、レベッカは誰一人信用していなかったからだと思っていましたが、

最後に観劇した日にふと、ダンヴァース夫人が想うように、レベッカにとってもやっぱりダニー(ダンヴァース夫人)だけは特別で、ダニーが自分が死んだあとに悲しまないように、ダニーの理想である強くて美しい自分のまま逝きたかったのかな、とも思いました。

というよりも、「きっとそうなんだよ」とダンヴァース夫人に伝えてあげたい。じゃないとダンヴァース夫人がむくわれなさすぎる。

と自分がここまであれこれ妄想しちゃうのも、ダンヴァース夫人を演じた涼風真世さん保坂知寿さんのお2人がやはり素晴らしかったからだなと思います。

 
涼風さんダンヴァース夫人は、元宝塚トップスターだけあって、黒ずくめの衣装がよけい美しさを際立たせてはっとするほど綺麗。

レベッカに恋愛感情を持っていたんじゃないかと思えるダンヴァース夫人で、生前のレベッカとすごく楽しい時間をたくさん過ごしたんだろうな...と目に浮かびます。

美しいといわれるレベッカですが、自分に仕える涼風ダンヴァース夫人の美しさもレベッカは自慢だったのじゃないかしら。

2人で次は男性をどうコテンパにしようか、女子トークで盛り上がっていそう。

個人的には、ダンヴァース夫人は何を考えているのかわからない不気味さや、<わたし>なんて歯牙にもかけない無関心さがある役作りが好きなのですが、その真逆である涼風さんダンヴァース夫人もとても好きになりました。

<わたし>に敵意剥き出しで、意地でもミセス・ド・ウィンターの地位は渡さないという強固な意志が感じられます。

あと、涼風さんダンヴァース夫人の歌がとにかく凄かった。音圧で<わたし>が吹き飛びそう。

めずらしく乾燥か風邪かで涼風さんの声が割れていた時があったのですが、その調子が悪い時ですら、音が弱まることもなくすごい気迫で歌っておられ、ただただ感服していました....涼風さん初見の人は、調子の悪さすら気付かなかったと思う。

知寿さんダンヴァース夫人は、何を考えているかわからない無表情さが怖いのに、ふとした瞬間に出るレベッカの熱い想いに泣きそうになりました。

<わたし>に対しては対等に嫉妬するのではなく、ただその存在は認めていない。涼風さんダンヴァース夫人が<わたし>に、「あなたとレベッカとでは格が違うのよ」と言葉や態度で伝えているとしたら、知寿さんは<わたし>をほぼスルーする態度で伝えているような感じです。

涼風さんのようにストレートな表現をしない分、その気持ちの奥底を想像するとより可哀想にも感じ、先ほど書いた幕が開く前のコポコポした音は、知寿さんダンヴァース夫人の行き場のない心に思えます。。勝手に感じているだけですが。。

ファヴェルがマキシムをゆすりに来て、レベッカが婦人科へ行ったことがわかった時、涼風ダンヴァース夫人はマキシムと<わたし>を射るような目つきでみているのだけれど、知寿さんは逆方向を向いていて、突然自分の知らなかったレベッカの情報が入ってきて、受け止めきれず混乱しているように見えました。

そして、ロンドンからの電話で「レベッカが自殺した」と知らされた時、知寿さんはそっとレベッカの肖像画を見上げる...この時、何を考えていたんでしょう。。。

「レベッカが歌う」の時、最後にみた涼風ダンヴァース夫人は涙がポロポロ流れていましたが、最後の知寿さんは歌い終わったあと、ろうそくに目を落としました。この後のことを決意しているかのように。

この作品では、ほんとうに報われないダンヴァース夫人だけれど、きっと彼女の愛の深さを表現したくて、主演ではない助演のダンヴァース夫人にタイトル曲「レベッカ」をリーバイさんもクンツェさんも歌わせているはず。

だからこんなに心に残るキャラクターなんでしょうね。お2人とも最高のダンヴァース夫人でした。また早く会いたい。

マキシム・ド・ウィンター:山口祐一郎

初演の時のマキシムは、山口さんだから見に行っていたけれど、キャラクター的には好きではなく、ダンヴァース夫人やわたしに共感はできても、マキシムへの共感はとてもじゃないができませんでした。

マンダレイに連れてきた<わたし>に突然切れたり拒絶したり。事情があるとはいえ、慣れない生活の<わたし>を不安にさせて、なんてひどいんだろうって。

挙句の果てに、奥さん殺しちゃったー!!!ばれちゃう。びぇぇぇぇええええ

と、<わたし>に甘える、しょうもないイメージだったのです。

しかし再再演の今回は、マキシムにも共感できました。

自分が10歳分年をとった事もあるかもしれませんが、山口さんの演技がたぶんとても丁寧になった。

マキシムがメインで歌う、「神よ なぜ」や「凍りつく微笑み」はメロディーにのって気持ちよく歌える歌ではなく、セリフがとても大切な演技力が求められるナンバーだから、この2曲の説得感が10倍くらい増した気がします。

「凍りつく微笑み」では、マキシムをあざ笑うレベッカが登場し、そのレベッカに激怒して思わず突き飛ばすマキシム、それを語る現在のマキシム....と一人芝居を演じながら歌い通し、追い詰められたマキシムの心情が良く伝わり、間違いなくマキシムも被害者なんだな...と思うことができました。

育ちがよくて人の悪意に鈍感なマキシムは、レベッカのように人を傷つけても平気な人を理解する事などできなかったんだろうなー。

ただ、マキシムが<わたし>を選んだのは、レベッカの事があったからだよね..と思うと少しもやもやも残ります。

レベッカの美しさに目がくらみ妻にできた事が誇らしかったと言っていたから、最初に出会ったのが<わたし>だったら、たぶん<わたし>は選ばれなかったと思う。

フランク・クロウリー:石川禅

禅さんのフランクが今回すごーーく良かった。2幕は禅さんにオペラグラスをあてることも多かったです。

今回は初演の時と違って笑いを取りに行かず、観客に余韻を残してくれる演技ばかりでした。

原作では全てを知っていて、かつレベッカの被害者でもあったフランク。

ミュージカルではレベッカと関係があったのかは語られず、またフランクがどう思っていたのかは、直接的には伝えてきませんでしたが、そことなく想像させる箇所がいくつか。

<わたし>にボートハウスの事を聞かれたとき、

「あそこ(ボートハウス)は、レベッカが.....寝泊りしていました」と、含みを持たせた言い方をするのは、そこで何が行われていたか知っているから。

レベッカと<わたし>を対比して歌う「誠実さと信頼」では、ごうまんな・・・とレベッカのことを表す言葉が強く発せられたり、フランクがレベッカをどう思っているのか、わかるんですよね。決してレベッカの悪口を直接言っていないのですが。

ロンドンから電話がかかってきて、マキシムが

「自殺だった」と言うと、フランクもじっとマキシムを見つめて「ええ...自殺だったんです(ね)」と何もかもわかっているよ、という雰囲気で返答するのも、すごく良かった。

そういえば、初演の時のフランクって<わたし>が屋敷にやってきた時、いい人全開で出迎えていたんだけれど、今回はそうでなくなったんですよね。あくまでもマキシムの親友で屋敷の管理人の立場で<わたし>をみています。

この件は禅さんのインタビューにものっていました。

つまり......、ご主人が新しい奥さんを連れてくるときいて、前妻のレベッカのように華やかな女性が来ると思ったら、雨で濡れそぼった若い娘が来たらどう思うか、というのをリアルに考えたんです。そうしたら、フランクはこの家の財産を管理する立場ですし、やっぱり「財産狙いか?」って思うはず。そう考えたら腑に落ちることがいっぱい出てきたんです。初演の時に僕が気にしていた、すぐ次の出番で "いい人ソング" になるという点については「わたし」の演技とお客さまの想像力にお任せする。フランクは(舞台上で「わたし」に)一切会ってませんが、そこまでの物語でお客さまは「けなげな女の子ね」って思って観てくれているはずなので。逆に言えば「この人、いい人だよね......ほら、こういう歌を歌った」より、「この人どっちの味方なんだろう」って思っていたのが「あ、こっちの味方ね」ってあの歌でわかる、というところに持っていきたかったんです。そこまで引っ張って欲しいというのも山田さんのリクエストでした」参考:げきぴあ

ジャック・ファヴェル:吉野圭吾

先ほどのインタビューにもあったのですが、今回、ダンヴァース夫人とファヴェルの関係が少し変わっていました。

前はダンヴァース夫人はファヴェルに冷たかったのに、レベッカの従兄という身分を敬うようになっている。知らなかったのですが、ファヴェルはレベッカと一緒にダンヴァース夫人に育てられたんですね!

確かに、レベッカのベッドでレベッカのガウン抱えてごろごろするなんて、小さい頃から知っているダンヴァース夫人の前じゃないと出来ないかもwこんな行儀の悪い事は以前はやっていなかったと記憶しています。

「持ちつ持たれつ」の、要はラクしてお金が欲しいーというイヤらしいナンバーを、一人で華麗に踊って歌えるのは圭吾さんならでは。悪い事をしているのにいけしゃーしゃーとふるまう様は、レベッカとの血のつながりを感じさせられます。

ヴァン・ホッパー夫人:森 公美子

初見をみている人間からすると、森さんのヴァン・ホッパー夫人はちょっとふざけ過ぎ。特に貸切公演の時は品がなくてうーむ...と思ってしまいました。

ただ、森さんのヴァン・ホッパー夫人で毎回笑っている人も多かったから、これもありなのかも。逆に初見が森公美子さんのヴァン・ホッパー夫人だと他が物足りなくなるのかもなぁ....

歌は素晴らしかったです。

ベアトリス:出雲 綾

出雲さんのベアトリス大好き!温かみがあって、<わたし>の救いになる存在で。

原作のベアトリスは、悪気はないけれど気がきかなすぎて<わたし>を追い詰めちゃうところあるから、舞台ではそういう部分がなくなってよかったと思います。

ジャイルズ:KENTARO

KENTAROさんのジャイルズも明るくて好きでした。出雲さんベアトリスと合わせて太陽みたいな存在。

レミゼも楽しみにしています~

ジュリアン大佐:今 拓哉

ジュリアン大佐は出番少ないし、他にアンサンブルとして出てはいましたが、今さんにはこの役もったいなくない...?というのが正直なところ。。。

もうちょっと歌う役で観たかったです!!

ベン:tekkan

tekkanさんの声がとても好きでした。浜辺でベンが登場した時、ぐっと引き込まれて世界が変わるのがわかる。他の人とは違うベンの世界があるというのが伝わっています。

審問会のあと、ベンが<わたし>の目をみて本当のことを言うのをやめるシーンがすごく気になっていて、ここの真相を知りたいなぁ。

たぶん、<わたし>のために口をつぐむんだよね。

気になるけれど、真相は闇の中で良いのかもしれない。

アンサンブル

レベッカの音楽を彩る重要な存在がアンサンブルさんたちの影コーラス。

この作品の曲はリーヴァイさんの中でも屈指の美しさがあると思いますが、影コーラスあっての美しさだと思います。

アンサンブルさんたちの召使ソングもリズム感があって好きでした。

 
 
次のレベッカ公演はいつになるんでしょうね。

美しい旋律のレベッカ、夜を超えてや、簡単には歌わせてくれないマキシムの難しい2つのナンバー、アメリカンウーマンのような楽しい曲、召使が歌う新しいミセス・ド・ウィーンターなど、リーヴァイさん作品の中でもとりわけ名曲揃いで、ほんとうに大好きな作品です。

はやくまた観たい!!

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