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上野のフレンチでGOTOイート&ロンドン・ナショナル・ギャラリー展で美術な一日

上野の国立西洋美術館へ会期終了間近のロンドン・ナショナル・ギャラリー展へ行ってきました。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展は、西洋美術で今年(2020年)一番と言われる美術展。

イギリスのロンドン、トラファルガー広場にあるナショナル・ギャラリーより史上最大規模の貸し出しが行われるということで、訪問するのを心待ちにしていました。しかしウィルス感染拡大により会期が延び、さらに入場が日時・時間制となり、行きそびれ💦

でも全61作品日本初公開でこの規模で再び日本にやってくることはないだろうし、とりわけゴッホが描いたひまわり(ゴッホが「この」ひまわりをセルフコピーした作品は日本にもありますが)を観ることはこの先無いだろうと、急きょチケットを確保。なかなか空いている日時が無くて焦りましたが、木曜夕方の入場チケットを抑えることができました。

目次

美術展の前に・・・GOTOイートで上野でランチ

美術展に行く前にせっかくだからと、Goto eatキャンぺーンを使って上野でフレンチランチ。

口コミが良かったペペルモコさんに行きました。地元の人から愛され35年の老舗レストランです。

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最寄り駅は根津駅のようだったので千代田線を利用して根津駅から行きましたが、上野駅から上野公園を通って行っても、さほど変わらなそうな距離です。

場所は東京藝術大学の近く。芸大、美術館に近いレストランに相応しく、フェルメールの「真珠の首飾りの少女」やいくつか素敵な絵画が飾ってあり、食器も恐らくウェッジウッドのお皿を使っていて、料理のおいしさと相まってとても素敵な時間でした。お店の人も親切でありながら、つかず離れずの距離感も心地よかったです。

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ロンドンのナショナルギャラリーについて

会期前にBS日テレでロンドン・ナショナル・ギャラリー展を2回に渡って放送していたのですが、それによるとロンドンのナショナルギャラリーは、

  • 時代順に作品を紹介した恐らく初めての美術館で、今の美術館の展示のお手本になっている
  • イギリスでは無料で見られる

と案内していました。

たいていの美術展では年代ごとに作品の移り変わりを紹介してくれているものだと思っていましたが、それが当たり前になったのは、ナショナルギャラリーの功績が大きいようです。

そして他国の有名な美術館、例えばフランスのルーブル美術館はフランソワ一世、イタリアのウフィツィ美術館はメディチ家のコレクションですが、ロンドン・ナショナル・ギャラリーは国が市民のために集めたもので、そのために無料で公開されているそうです。

大作の数々を展示・保管するのも大変だと思いますが、それを無料で鑑賞できるのはすごいですね。

印象に残ったロンドン・ナショナル・ギャラリー展の作品

聖エミディウスを伴う受胎告知/カルロ ・クリヴェッリ

受胎告知は多くの画家が描いているけど、これは面白い受胎告知。

絵画など芸術が神の教えを伝える手段だった時代から、ありのままの人間らしさを求めるようになった、イタリア初期ルネサンスの作品です。

告知するガブリエルの頭にある光輪?が帽子のような被り物になっていて、宗教絵画を人間に説明がつくように描かれているのが面白いです。(光輪は説明がつかないけど、帽子なら説明がつくよね、という意味)

向かって左がガブリエル。被り物をしています。

ガブリエルの右側にいるのが、絵画に描かれている町アスコリ・ピチェーノの守護聖人、聖エミディウス。この町では受胎告知の日は祝日である一方、ローマ教皇から自治権を与えられた日でもあるので、2つの祝いが結び付けられて描かれています。

天井からマリアへまっすぐ光が伸びているのは、聖霊の鳩がマリアのもとにやってきたことを示しているのですが、空から光が出ているところをわざわざ渦みたいにしているのもルネサンス期らしい作品といえるのでしょうか。

だまし絵の手法で絵から飛び出すようにウリとリンゴも描かれています。

色彩豊かでやりすぎ感があるのに、受胎告知のストーリーはすんなりと伝わっていて、なんともいえない魅力があります。右上に描かれた不死の象徴である孔雀が美しい。

今回、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展の図録は2種類の表紙があり、一つがゴッホのひまわりで、もう一つがこの聖エミディウスを伴う受胎告知だったことを考えると、この展示会の目玉的作品なのでしょう。

天の川の起源/ヤコポ・ティントレット

天の川(ミルキーウェイ)誕生にまつわるギリシア神話を題材にした絵画。神の王であるユピテルが息子ヘラクレスに永遠の命を与えようと、妻である神々の女王ユノの母乳を飲ませようとしたところ、ヘラクレスがあまりに強く吸うのでユノが目を覚まし、ヘラクレスを引き離そうとする。すると母乳が吹き出し天の川(ミルキーウェイ)が出来た..という話。大声で話すのがはばかられるような神話の内容ですが、このモチーフを飾りたいからと絵画の依頼した医師のトンマーゾ・ランゴーネはどういう気持ちで依頼したのでしょうw

34歳の自画像/レンブラント

巨匠レンブラントの自画像。レンブラント絶頂期のときの絵で、肖像画の表情からも自信がうかがえます。身に着けている衣装は、この時代よりさらに100年ほど前のもの。画像からはわかりづらいですが、右下に自筆のサインがあり「レンブラント」とファ―スネームを記しています。西洋美術の歴史上、ファーストネームのみで知られている画家は数が少なく、レンブラントの他、ラファエロ、ミケランジェロ、ティツィアーノなど選び抜かれた人たちのみ。自身のファーストネームを記すことで、レンブラントの自信のほどがうかがえます。

ヴァージナルの前に座る若い女性/ヨハネス・フェルメール

フェルメール晩年の作品。フェルメールというと窓から差し込む光が印象的ですが、この作品には窓から入る光がなく、フェルメールが再模索をしていたのではないかと言われています。

女性の背景の絵画に描かれる、女性、老女、男性は売春宿を指しているそう。(売春宿の情景を主題にしたフェルメールの「取り持ち女」のオリジナルまたは模写のようです)

「ヴァージナルの前に座る若い女性」が何を訴えている絵なのか意図についてはさまざまな解釈があるようですが、フェルメールの絵の前にたつと、こちらを向いている女性と語り合えそうな、でも理解し合えることはできなそうな、不思議な感覚があります。

ヴェネツィア:大運河のレガッタ/カナレット

イギリスの裕福な貴族の子弟が、学業終了時に行った国外旅行「グランド・ツアー」。日本でいうところの卒業旅行にあたり、その主な旅先がイタリア。イギリス人たちに人気だったのが旅の思い出に買える絵画で、現在のポストカードにあたるものでした。

イギリス人たちが訪れた旅先で目にした情景を細かく躍動感あふれる作品に仕立て上げたカナレットの絵画は大変人気が高かったようです。ぶら美では、その描写の正確さから街を再興する際の資料にも使われたと説明がありました。

「ヴェネツィア:大運河のレガッタ」を間近でみると、窓から身を乗り出す見物人など町の活気に満ち溢れており、自分もその場にいるかのような気持ちになります。

もし自分が当時のイギリス人でヴェネツィアの運河を訪れていたら、この絵で観光の再現が出来る..ホームビデオを鑑賞している気持ちになり、再びヴェネツィアを訪れたい気持ちが高まりそうです。

ヴェネツィア:サン・マルコ広場/グアルディ


モネやターナーに影響を与えたグアルディ。奥にみえるサン・マルコ大聖堂は細かく描いているのに、手前の人々はささっと荒めのタッチで不思議な印象が残る絵画。

印象派に影響を与えたように、絵画の正確さというよりも「雰囲気」を伝えている絵かなと思います。

ウェリントン公爵/ゴヤ

ゴヤの絵は面白い!王族とはいえブサイクに描くし、嫌いな人物はその内面の嫌らしさまで描いてしまう。

今回のゴヤのモデルは、スペイン独立戦争で活躍し、ワーテルローの戦いではナポレオンを打ち負かしたウェリントン公爵。肖像画には多くの勲章が描かれていますが、表情は少しほうけた疲れた様子をみせています。

肩書や地位ではなく内面を描くゴヤは、ウェリントン公爵の苦労や疲れを感じ取ったのでしょうか。

もっともウェリントン公爵はこの絵を気に入らず身内にあげてしまったようですw もっと自分の功績をたたええる絵が欲しかったのかもしれないですね。

ゴヤの絵はだいたいこういう感じなので、昔から絵を見て心地よいと感じたことはないのですが、モデルのことをより知りたくなります。

ぶら美で放送されていたのですが、この絵はロンドンで展示して19日後に盗難事件にあったそうです。犯人は年金暮らしのバスの運転手。テレビ受信料(日本でいうとNHK)に腹がたっての行為で、のちに絵は返却しています。(イギリスの裁判では、絵の盗難ではなく額縁の盗難扱いにして、罪を軽くしてあげています)

盗難の翌年に公開された007/ドクター・ノオでは、当時盗難のままだった「ウェリントン公爵」の肖像画が登場し、ドクター・ノオがこの絵を盗んだという設定にしたそうです。

幼い洗礼者聖ヨハネと子羊、窓枠に身を乗り出した農民の少年/ムリーリョ


スペインの画家ムリーリョは、スペインでは宗教画家として知られているのですが、イギリスでは人物画が人気だそう。あどけない子供の姿で描かれた洗礼者ヨハネと、可愛らしい農民の少年。描かれた子供が愛らしく、画家のまなざしの優しさをふと感じます。恐らく貧しいであろう農民の少年を哀れに書くのではなく、少年の溌溂さが伝わってくる絵なのが良いです。

海港/クロード・ロラン


今回の展示品の中で、もしかしたら一番好きだったかもしれない作品。(ゴッホのひまわりやモネももちろん良かったけれど)

ロランは初めて光の粒子を描いた画家らしく、絵の前に立つだけで陽の温かみとノスタルジーを感じさせる一枚。ロランの絵がターナーに影響を与え、イギリスを訪れたモネがターナーの作品をみて開眼したという流れを聞くと、ロランこそ印象派の師と言えるのかも。

この絵はそのままの風景を描いたのではなく、古代の建物と自然を組み合わせたもの。ある意味、理想の風景を描いているのかもしれないですね。私はこの光は夕日だと思いましたが、朝日の可能性もあるみたいです。

今回、日本には来ていないのですがロンドン・ナショナル・ギャラリーにはロランの描いた「海港 シバの女王の船出」があり、この作品でも繊細に煌めく太陽と水面が描かれているので実物を見たいものです。

ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス/ターナー


ターナーはロランに影響を受け、そしてモネに影響を与えた画家。

これは有名な神話を表した絵。神話は絵画で何度も描かれているけれど、光と色と空気でこんな風に表現するなんて、思わず惚けた感じで見とれてしまいました。ぼわっとした空気感の中に漂う荒々しさ。ロランに影響を受けたとはいえ、ターナーの絵画が現れた時はきっと世間も驚いたでしょうね。

睡蓮の池/モネ


モネ自邸の睡蓮の池にかけられた太鼓橋と、緑豊かな睡蓮に覆われた美しい絵。日本の浮世絵の大罪に使われた、亀戸天神の太鼓橋を思わせる構図です。睡蓮の連作初期の1枚で、後年の睡蓮よりも全体の構図がわかりやすく個人的にも好み。

ひまわり/ゴッホ

ゴッホが画家の理想郷を求めたアルルで、黄色い家に飾るために描いたひまわりの絵。アルル時代に花瓶に挿したひまわりを7点描き、1点が神戸空襲で焼失し現存するのは6点。背景に黄色の補色のブルーを使っていたが、黄色を取り入れたところゴーギャンにすごく褒められたのがこの一枚。この絵を欲しがるゴーギャンに、これを渡さず、代わりにゴッホ自身がセルフコピーをしたひまわりの一つが、日本の新宿にあるSOMPO美術館に展示されています。

今回ロンドンから来たのは、ひまわり現物をモデルにゴッホが描いたもので、先入観もあるかもしれませんが、ひまわりの生命力が、他の「ひまわり」よりも強く伝わってくるように感じます。金色にきらめく黄色はゴッホの喜びがひまわりに投影されているかのよう。現物を通してじゃないと伝わらないゴッホの力強さ。

ガイドは古川雄大さん

音声ガイドは古川雄大さん。落ち着いた語り口でした。

最近はテレビですごい活躍ですね。この前古川さんがイケメンで気になる~ってわざわざいとこから連絡がありました。

来年M!での2度目のヴォルフガング楽しみにしています。

グッズは可愛い栞を購入

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展は、画家に扮したすみっこ暮らしも可愛かったですが、購入したのは絵をモチーフとした栞。ゴッホのひまわりを購入しました。すごく可愛い!カルロ ・クリヴェッリの聖エミディウスを伴う受胎告知の栞もあり、これも素敵でした。こちらも購入すれば良かったかな。

あと購入は見合わせましたが、絵をモチーフにしたコンパクトミラーも可愛かったです。

他にはいつも購入している大きい図録。大きくて場所をとるのだけど、やっぱりミニ図録ではなく大きい方を欲しくなってしまう。

会期ぎりぎりまで行くか迷っていましたが、やっぱり訪れて大満足な美術展でした。

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