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ミュージカル「アリージャンス(Allegiance)~忠誠~」あらすじと感想@2021年国際フォーラムC

東京国際フォーラムCへ「アリージャンス(Allegiance)~忠誠~」を観てきました。

初日観劇だったのですが、濱田めぐみさん、海宝直人さんのミュージカル界の宝のようなお2人がメインだけあって、初日なのに公演後何日も経っているような完成度!

素晴らしい歌の土台に演技が加わり、お2人が歌うと、奥行や世界が深まるんだなぁ...

す~っと、アリージャンスの世界に引き込まれるようでした。

そして存在感やセリフで圧倒されたのが、上條恒彦さんと今井朋彦さん。テレビでは拝見してましたが舞台は初めて。

上條恒彦さんは、役によっては、くっきりしゃべっているのではなく、ひょうひょうとセリフを紡いでいるだけなのに、一つ一つクリアに聴こえる。

今井朋彦さんは、評価の難しい人物をあえてこうだ、と決めつけない演技が凄かった。名優というのはこういう俳優さんを言うのだな...

ストーリーは、難しい話かと思っていましたが、非常にわかりやすく作られていたと思います。

価値観の違いによる選択がもたらした、仲間や家族の分断がメインのストーリーといった印象でした。

目次

あらすじと感想

大まかなストーリーはホリプロから引用しています↓

ホリプロの公式ページには用語説明など解説が充実しています。

予習と思うと面倒な気がするけど、舞台は予習しなくても大丈夫。復習や二度目の観劇向けに解説ページをみると良いかと思います。

ホリプロから引用:https://horipro-stage.jp/stage/allegiance2021/#story

2001年12月7日、80歳の退役軍人サム・キムラのもとに一人の女性が訪ねてきた。

遺言執行人と名乗る彼女は、サムの姉ケイが亡くなり、サムに封筒を遺したことを告げる。
50年間会うことのなかった姉、そして過去の記憶が蘇るー。
日系アメリカ人のキムラ家は、カリフォルニア州サリナスで平和に暮らしていた。

1941年12月7日に真珠湾攻撃が勃発、米国の宣戦布告により第二次世界大戦に突入し、日本の血をひく日系アメリカ人たちは敵性外国人扱いをされてしまう。
翌年8月にキムラ家は自宅から強制的に追い出され、収容所へと移送される。
日系の人々は厳しい収容所生活を送りながら日本人の精神にも通じる耐え忍ぶ“我慢”に想いを重ね希望を失わずに暮らしていた。
一方、ワシントンDCではマイク・マサオカが日系人の社会的地位向上のためアメリカ軍との交渉に当たっていた。

ある日、収容所でアメリカへの忠誠を問う忠誠登録質問票(Loyalty Questionnaire)が配られる。
一体どう答えるべきなのか、家族それぞれの考え方の違いが露わになる。
父タツオは不当な強制収容に抵抗し、「No」を貫く。
姉のケイは収容所で出会ったフランキー・スズキと共に強制収容と徴兵の不当性を訴え、日系人の人権を求める運動に参加する。
弟のサミーは家族の反対を跳ね除けて、アメリカへの忠誠を示そうと軍に志願。
恋仲になった看護婦のハナ・キャンベルに家族を託し、日系人で構成された第442部隊の一員として戦場へと赴く。
己の信じる忠誠を胸に、戦時下を生き抜こうとした家族。その行く末はー

あらすじと感想

冒頭登場する退役軍人サム・キムラ。

上條恒彦さん演じるサム・キムラは家族を拒否し一人生きてきた老人。その頑なさには理由があった。

彼は過去へ遡る。



カリフォルニア州サリナスで暮らすキムラ一家。

家族構成は、おじいちゃん(上條恒彦)、父タツオ(渡辺徹)、長女ケイ(濱田めぐみ)、長男イサム/サミー(海宝直人)。

おじいちゃんと父タツオは、日本からアメリカに移り住んだ日系1世です。

武家制度が廃止された日本では、長男以外の男性は稼ぎづらく、また徴兵制度から逃れるため、当時ハワイへ移住する人が多く、ハワイに次いでカリフォルニアへの集団移民があったそうです。

「日本で稼ぐのは大変だから、それだったらハワイやアメリカに行って一旗揚げよう」

このような人たちが父タツオ達のような日系1世。

もちろんアメリカで成功した人もいるし、そうじゃない人もいる。

父タツオは成功した日系人で、20代で日本からアメリカへ渡り、カリフォルニアで農場経営者となった人です。

母親はサミー出産後に亡くなっています。サミーの母親代わりになったのが姉のケイ。

タツオは息子サミーには安定した将来のため、ロースクールへの進学を願っている。

私は日系人の歴史に詳しいわけではないですが、キムラ家は、知っている範囲での日系人家族のモデル的な描かれ方をしているように思えます。

日系1世は安い賃金で働く肉体労働者が多く、異国の地で成功を収めるのに大変苦労したため、彼らの子供たちには高い教育を受けさせることが多かったと聞きます。

アメリカだけでなく、ブラジルなど他の日系人家族も同様で、2世は大学進学率が高く、成績が良い人も多かったそうです。

アリージャンスでも、父タツオは息子のサミーにロースクールへ進学させたいと願う。しかし2世の息子は成績がいまいち。

この作品ではそこまで詳しく伝えていないけれど、1世である父タツオは、キムラ家の未来を息子サミーに託すくらいの気持ちで、がむしゃらに働いたのではないかな?と思います。

一方日本人のアイデンティティーを持っている父に対して、アメリカ生まれアメリカ育ちのサミーは、見た目は日本人でも心はアメリカ人。

家族のことはとても大切に思っているけど、純粋にアメリカ人として生きている...海宝さんのサミーにはそんな印象を受けました。

渡辺徹さんの父タツオは終始、海宝直人さんサミーに厳しく当たっているように見えます。

サミーの気持ちになると何やっても父から認められない寂しさを感じるのですが、慣れない英語で苦労しながらアメリカ社会で成功を収めた1世のタツオからすると、サミーはぬるく物足りなく見えたのかもしれないですね。

タツオの肩を持つわけではないけれど、日系人の番組を見ると、2世が努力して政界へ進出した話などが紹介されていたりもするので。
 

ピリピリする父と息子の間をとりもとうとするのが、濱田めぐみさんの姉ケイです。

優しくて暖かいめぐさんケイ。

サミーが生まれてから母親代わり。父も弟も守りたくて、いつも自分は後回し。キムラ家で幸せに暮らしてはいるのは間違いないのだけど、自分の気持ちを抑えて生きている人物です。

そんなケイに、(舞台中盤で)小さな女の子の表情をさせるのが、上條恒彦さんのおじいちゃん。

おじいちゃんの存在がものすごく良くて、価値観が違いピリピリしがちな家族にふわっと柔らかい空気をもたらします。

息子に厳しい父、父に認めてもらえず反発する息子、2人の間で葛藤する姉。ここまで書くとモーツァルト!のレオポルト、ヴォルフガング、ナンネールみたいw

日系1世、2世と世代間の違いはあるとはいえ、よくある家族と言えるかもしれないです。

もし日本軍が真珠湾攻撃をしなければ...忠誠登録がなければ...

喧嘩をしながらも家族でまとまっていたかもしれないキムラ家。しかし忠誠登録により価値観の違いが浮彫になり、一家は分断してしまいます。

日本軍の真珠湾攻撃後、アメリカに住む日系アメリカ人に対して排除の感情が広まります。加えてスパイ容疑もかけられる。

そのため西海岸に住む日系アメリカ人は、突然、今まで住んできた場所から退去命令を受け、強制収容所へと連行されてしまいます。

キムラ家も、父タツオがアメリカで苦労し築き上げた農地や家を二束三文で強制的に売られ、みすぼらしい収容所へとやってくる。

男女同じ部屋で着替えを命じられ、トイレには仕切りもない収容所。

人間の尊厳が何も守られていないような場所で、戦争捕虜でもなく、今までアメリカ社会で普通に暮らしてきた人たちへの仕打ちに、観劇しながら私がショックを受けた位だから、当時の人々の気持ちはいかばかりか。

アリージャンスは、ジョージ・タケイさんの話を元にしたフィクション(一部ノンフィクション)ですが、実際の収容所もこのような感じだったそうです。

彼らの立場にたってみると、

まず、前提として何も悪いことはやっていない。

それに加え

日系1世:慣れない土地で苦労しながら収めた成功が無かったことになってしまった
日系2世:アメリカ生まれでアメリカ人として教育を受けているのに、いきなり敵扱いされた

と、とまどい、怒り、悲しみ、不安...と様々な感情があったかと思います。

ちなみに日系1世にはアメリカ国籍は与えられていないけれど、日系2世にはアメリカ国籍が与えられています。

サミーがそうだけど、自分のことアメリカ人と思っていた人たちが、突然お前は敵だと認定されたわけで、アメリカに裏切られたと感じる人も多かったことでしょう。

 

突然陥った状況の中「我慢」の精神で耐えようとするケイたち。

しかし父タツオと息子サミーの考えは真逆で、父タツオは、アメリカに何を言ってもダメだろうというスタンス。

というより、何も言う気が起きなかったのかもしれない。アメリカという主張することが大切な文化に暮らしながら、とても日本的に見えます。

一方サミーは、自分をアメリカ人と思っているから、収容所のみんなの意見をまとめて訴えればわかってくれると思っている。

そして、自分たちはアメリカに忠誠心を示さなければいけないと。

おじいちゃんが、収容所の部屋に風鈴を飾ろうとして、アメリカ軍に見咎められるのですが、サミーは風鈴ではなく星条旗を部屋に掲げますと言って事なきを得る。しかし父タツオは、おじいちゃんをないがしろにしたと息子を叱る。

ここでも、日本の家父長制度的な価値観を持ち出す父と、自分の意見をはっきりいう息子で、日本とアメリカ文化の違いが出ているように見えました。

全く分かり合えない2人。

この後、おじいちゃんが星条旗に風鈴をかけたのはほっこりしました。

ひょうひょうとして、舞台の空気がふっと変わる。救いになる上條恒彦さんの存在感が本当にすごいです。

収容所に来た当初は絶望していた日系人たちだけど、徐々に順応していってダンスパーティーなど楽しみもみつけるようになります。

キムラ一家が来る前からハートマウンテン収容所にいたフランキー・スズキ(中河内雅貴)とケイが打ち解け、2人はやがて恋仲に。

中河内雅貴さんのフランキーのケイへの接し方が好きです。

ケイの心を受け止める暖かい声と、軽やかな接し方で、ケイの心の重しを取り除いているのがわかって、「ケイ、フランキーに出会えてよかったね😭」と思いました。

ケイは強制収容所に来る前から、我慢慣れし過ぎている女性で、彼女の心を軽くしてあげられるのが、おじいちゃんとフランキーです。

中河内雅貴さんのフランキー、ダンスパーティーのシーンは流石。身体が綺麗でひときわ目立ちます。

フランキー・ズズキも、ケイやサミー同様、日系2世ではあるけど、真珠湾攻撃後に日本学校の教師をしていた両親が逮捕され、アメリカに対し怒りがある。サミーとは考えが違います。

ケイとフランキーの出会いがあったように、サミーにも出会いが訪れます。

サミーは、おじいちゃんの薬をもらいにアメリカ軍の白人看護師のハナ・キャンベルの元へ訪れる。薬はアメリカ軍には出せるけど、収容されている日系人には包帯は出せても薬は出せないと知り、ハナに反感を覚えますが、次第に2人は引かれあいます。

ハナは親の反対を押切り志願した女性。当初は日系人とは距離を置いていたハナですが、サミーに惹かれたことで日系人を助けるために尽力します。

小南満佑子さんのハナと海宝さんサミーのやりとりは楽しく、2人のデュエットも素晴らしい。

しかし、姉のケイは弟のサミーがアメリカ人と恋仲になることをよく思わない。

ケイはサミー同様アメリカ国籍を持つ2世なのだけど、アメリカへの気持ちはサミーのような一直線なものではなく、もっと複雑。日系人をこんな収容所に押し込めたアメリカに対し反感を持っています。

それだけでなく、弟に突然大切な人ができた戸惑いもあるのかな?

母のようにずっと見守っていた弟が大人になってしまった、そんな心中も伺えるようなめぐさんケイの表情が心に残っています。

ハナとサミーはアメリカ人と収容された日系アメリカ人とで立場的には真逆だけれど、「家族の反対を押し切って行動する」ところが、とても似ている2人です。

ケイはアメリカへの反発心があり、サミーよりもフランキーの考えが近い。

・・・と、どんどん家族間の価値観の違いが浮彫りになってきます。

家族同士で考えの違いがあるのは当然としても、それが決定的な別離をもたらす選択をもたらしてしまうのが辛いです。

 

家族の話をメインに、実在した人物も登場します。

当時、日系人の地位向上を目指しアメリカ政府と渡り合った今井朋彦さんが演じるマイク・マサオカです。

今井朋彦さんはテレビでは何度も拝見していますが、舞台では初めてでした。

マイク・マサオカは評価のわかれる人物で、日系人にはアメリカ政府に忠誠心をみせるよう呼びかけた事で日系人の分断を招いたとも、日系人の地位向上に尽力したとも言われているようです。

アリージャンスではマイク・マサオカを良いとも悪いとも決めつけず、日系人の地位向上に尽力するも、思う通りにいかず苦悩する姿を見せるかと思いきや、

彼のスマートさが(収容所にいれられた人たち目線でいうと)ずるくもみえる。

マイク・マサオカへの評価に、自分の目線が変わっていることに気付き、これは今井朋彦さんのお芝居のなせる技なのかなと思えました。

で、テーマの「アリージャンス(忠誠)」

忠誠登録質問票(Loyalty Questionnaire)
1943年初頭に17歳以上の日系アメリカ人収容者全員に対して行なわれたアメリカ(政府)への忠誠心の調査。この調査の目的は日系人のアメリカへの忠誠心を図り知り、忠誠心を持った収容者に内陸部の地区での住居と仕事を供給すること、2世の男性達に兵役を与えることで日系人に対する世論の改良をはかること、そしてアメリカ政府に不忠実とみられる人物を隔離することだった。
忠誠登録の核となったのは2つの質問だった。

【質問27】
あなたは命令を受けたら、いかなる地域であれ合衆国軍隊の戦闘任務に服しますか?

【質問28】
あなたは合衆国に忠誠を誓い、国内外におけるいかなる攻撃に対しても合衆国を忠実に守り、かつ日本国天皇、外国政府・団体への忠節・従順を誓って否定しますか?

引用:https://horipro-stage.jp/pickup/allegiance20201215/#link05

この忠誠登録質問票を巡り、日系人たちは意見がわかれ、キムラ家でも同じことが起こります。

自分はアメリカ人なのだからアメリカに忠誠を示し、日系人は敵ではないとアピールすることが大切と考えるサミー。

資産をとられアメリカ国籍もないのに、なぜ戦闘任務につかなきゃいけない?と考える父タツオ。

父タツオは、2つの質問に対し、ノーノーと答え、ツールレイク隔離センターに送られてしまう。

ツールレイク隔離センターは、アメリカ政府が不忠誠とした人達のための隔離センターです。

サミーと同じ日系2世でも、フランキーは、両親を逮捕されアメリカに対し不信があるのに、なぜ懲役されなければいけない?と抵抗する。

サミーにとって切ないのは、父タツオはフランキーの考えに近く、自分よりもフランキーの方が気に入っているのではないか?と見えてしまうこと。

これはストーリーの最後まで続きます。

各人それぞれの正義があって、自分が思う正解を選んで歩んでいく。

結果、悲劇が起こる。

収容所で起こった悲劇を知らず、日系人で構成された442連隊戦闘団で最も過酷な戦場で闘ったサミーが本当に気の毒でなりません。

サミーは442連隊戦闘団での活躍でライフ誌の表紙を飾り、サミーの活躍に免じて父タツオはのちに釈放されます。

戦争が終わり、家族の元へ帰ってきたサミー。

再会を喜ぶケイとサミーをみて、本当に愛し合っていた姉弟とわかるけど、その後、サミーにとっては信じられない光景をみることとなります。そして知らされた事実。

改めて観劇の記憶を辿っていくと、キムラ一家の中でも、アメリカへの忠誠心が最も強いサミー1人と、アメリカに対しグレーな感情も持つサミー以外の家族といった感じにみえます。

サミーと同じ2世でもケイは、アメリカへの複雑な感情に加え、お父さんの気持ちに影響される部分と、共感できるフランキーの存在がいて、サミーの事はとても大切だけど、彼と同じ思いを抱くことはできなかったはず。

でもサミーもアメリカへの忠誠心は忠誠心として、ずっと家族への思い(特にケイに対して)は強く、そもそも戦争に行ったのも家族を守るため。

だからこそ、戦争から帰ってきた後の孤独感はすさまじいのものがあったのではないかと思います。

最も犠牲者が出た部隊で戦争を体験した身としては、本当に許せなかったのでしょう....

上条さんが、おじいちゃんとしては、柔らかくふわふわな人なのに、老人のイサムになると頑なで、変わり身の素晴らしさがすごい。

そして、本当にラストのラストで、まさかの事実。泣いた~

カーテンコールは写真OKタイムがありました。

一見、難しそうな題材だけど、歌に芝居にと本当に上手な方ばかりで、難なくストーリーを追えることができました。

価値観の違いから今まで親しかった人と異なる「選択」をするということで、少し前に、アマプラでみた「英国総督 最後の家」を思い出しました。


英国総督 最後の家(字幕版)

「英国総督 最後の家」は、イギリス支配下にあったインドの統一を妨げるため、イギリスがヒンズー教とイスラム教の対立を煽り、結果、インドとパキスタンに別れてしまった歴史を描いた映画で、今まで同じインド人として生きてきた人たちが、いきなりインド人になるかパキスタン人になるか選択を迫られる。その中で起きた悲劇を伝える作品です。

アリージャンスの忠誠登録は、日系アメリカ人の分断を招くために行ったものではなさそうだけど、結果的に同じ日系人同士の対立を生み分断を招いてしまう。

両作品とも、歴史の節目で行われる選択がもたらしたもの...じっくり考えさせられる「何か」を与えられた作品のように感じました。

 

それにしても、アメリカでこの作品を公演できた事実を考えると、アメリカの懐の深さは凄いですね。

バイデン大統領が先日、改めて日系人の強制収容所に関し謝罪したニュースをみて、過去の過ちは何度も謝ることが大切なんだと実感。

いろいろ考えさせられます。

これも先日「知られざるブラジル日系人の強制退去」という番組でみたのですが、アメリカで日系人が強制退去を命じられたのち、ブラジルの日系人も同様の目にあったそうです。

ブラジルと日本は戦争状態には無かったのですが、ブラジルは連合国側に加わった事で、日系人に対しアメリカ同様の動きをしたとのこと。

当時まだ幼かった日系2世たちの話を聞くと、突然家を追い出され汽車にのせられ強制収容所へやってきたと。しかし彼らは当時の話に口を噤んだため、アメリカの日系人たちとは違い、ブラジルの日系人強制収容所の話はあまり知られることがなかったそうです。

騒ぎになって生活が脅かされるよりも、黙ることで、戦後自分含め子供や孫がブラジル人社会で暮らしやすくありたいと願った人が多かった、確かこんな話でした。

のちに、当時の退去命令は憲法違反であるとブラジル政府に訴える動きが出てきたようですが、「ブラジルのトランプ」と呼ばれる差別主義者の大統領が登場したことで、一旦政府への訴えを見合わせ。しかしその後またやはり訴えようと動きをしているそうです。

アリージャンスのアメリカの日系人の話は、フランス革命などと比較すると歴史が近く、ブラジル日系人たちは、これから未来に向かって動き始めたくらいだし、「今」の私たちに繋がる話なんだよな~

何はともあれアリージャンス。

一見とっつきにくそうなストーリーをわかりやすく、実力派揃いのキャストで素晴らしい公演に仕立ててくださったと思います。

また行きます!

ジョージ・タケイさんの自伝的小説。

〈敵〉と呼ばれても(They Called Us Enemy)


〈敵〉と呼ばれても

キャスト

ケイ:濱田めぐみ
サミー(1940年代):海宝直人
フランキー・スズキ:中河内雅貴
ハナ・キャンベル:小南満佑子
おじいちゃん/現代のイサム・キムラ(サミー):上條恒彦
マイク・マサオカ:今井朋彦
タツオ・キムラ:渡辺徹

照井裕隆、西野誠、松原剛志、俵和也、村井成仁、大音智海、常川藍里

河合篤子、彩橋みゆ、小島亜莉沙、石井亜早実、髙橋莉瑚

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