2021年ミュージカル「マリー・アントワネット(MA)」キャスト感想

東急シアターオーブに「マリー・アントワネット(MA)」を観に行きました。

新演出版になって2度目の公演です。確か感染症拡大で、去年次々と公演中止となる中、急きょ公演が決まったMAでした。

新演出版MAのあらすじ、旧演出と新演出の違いは2018年の記事を参考にしてください↓

マリー・アントワネット(MA)ミュージカルのあらすじと感想。初演との比較など

2021年の「マリー・アントワネット」は、おおまかな流れは2018年とほぼ同じ。ただ、セリフのカットなどでテンポがよくなった面もあるのですが、「間」がなくなって残念に思うシーンも。

あと、2幕のマリーとフェルセンのデュエット「私たちは泣かない(リプライズ)」が、「あなたを愛したことだけが(リプライズ)」に変更になりました。このシーンの歌の変更は結構印象が違ってくる感じです。

キャスト感想 2021年2月13日マチネ/2月14日ソワレ

2021年2月13日マチネ

2021年2月14日ソワレ

2月13日マチネはイープラス貸切り、2月14日ソワレはおけぴとLUXAの貸し切りでした。

笹本玲奈さんマリーと小野田さんオルレアンを今回都合がつかず観ることができなくて残念。笹本さんのマリーも大好きだったし、小野田さんの美声オルレアン観たかったなぁ。

マリー・アントワネット:花總まり

こんな説得力のあるマリー・アントワネットいる??と思えるくらい、本当に花總さんにぴったりな役だと思います。

本人は一切悪気がなく、あまりにも他の人間とは違う存在で、「神に選ばれた王妃だからよ」とマルグリットと諍いの場面で出てくるセリフがしっくりくる王妃。

他の人とは違う世界にいる存在感が終始一貫していています。

1幕では、フェルセンに「現実をみるんだ!」と言われてしまう、浮世離れした少女のような王妃。

2幕では、捕えられ夫を殺され息子を奪われ白髪頭にみすぼらしい洋服に身を包んだ、悲壮といえる革命裁判下で、誰も彼女を脅かすことのできない誇り高き姿を見せます。

花總さんマリーは王妃だから素敵な衣装に身を包みどれもため息が出るほど美しいのだけど、2021年のマリー・アントワネットで一番花總さんマリーが美しいと感じたのは、みすぼらしい服に身を包んだ革命裁判のシーンです。

誰にも犯す事のできない威厳と気品を漂わせ、下界の騒ぎには目もくれず、ほのかな笑みすら浮かべて存在するその姿はまるで聖女のようでした。

色々と2018年の公演と比べるために、DVDで確認したいと思いつつ、2021年の公演を上書きされるのが嫌で、見ることが出来ないでいます。

そういえばマリー初登場のオルレアンの舞踏会でのシーンは、登場時に客席から大きな拍手がありました。MY初日に大きな拍手と共に豪華絢爛な花總マリーが登場したとき、なぜか涙がでました。

マルグリット・アルノー:ソニン・昆夏美

MAは歌がめちゃくちゃ上手な人が揃っていて、キャストさんに恵まれている公演と思うのですが、中でもソニンさん、昆夏美さんマルグリット・アルノーは圧巻。

Wキャストだと、ある程度個人の好みが別れることがあると思いますが、マルグリット・アルノーは、どちらも良すぎて選べません!

間違いなくこの作品を魅力的にしている大きな力のお2人です。逆にいうと、歌えないマルグリットが万が一にもキャスティングされたら、作品が台無しになっちゃう。

劇場が吹き飛びそうな爆発的な歌唱や存在感は2人に共通していますが、マルグリットの心の過程が異なる気がします。

ソニンさんは、前回も思いましたが、怒りを通り越して倦んでいるいるマルグリットというのか、冷めた部分がちらほら見えるから、怒りに火が付いた時の爆発力がすごくて。

でも、マリーの想いや信じていた正義が違う方向にいくことに、自分自身もすごく苦しむ。マリー処刑のシーンで、舞台下手でボロボロと泣いていていました。

マリーは処刑された事で苦しみのない世界へ行くことができたけれど、ソニンさんマルグリットは苦しみを背負って生きていく。その苦しみに耐えられるのか?と不安になるほどでした。

 

昆夏美さんマルグリットはマリーと初対面の舞踏会乱入時、今年の公演では、マリーのことを嫌いつつも、民衆たちの窮状を訴えれば聞いてくれる、と期待感があったように思えました。

でも飢えていることを訴えたのに、マリーのシャンパンをすすめられ、あきれた表情をしマリーにシャンパンをかける。

今までマルグリットがマリーにシャンパンをかけるシーンが唐突すぎるように思っていましたが、昆さんマルグリットの表情をみて、このシーンでマリーへの気持ちが100%軽蔑と憎しみに切り替わったのがみてとれ、納得できました。

個人的に昆さんマルグリットは獣のように感じることもあって、マリーへの敵意剥き出しが激しい。でも、タンプル塔でランバル公爵夫人が惨殺された時、「なんてひどいことをするの」と泣き崩れるマリーに「何百年もあんたたちが私たちを人間扱いしてこなかった(確かこんなセリフ)」とマルグリットが言うセリフに、人間ではないように扱われてきた人たちの姿というのがしっくりきます。

でも、マルグリットには9歳までの幸せな記憶があって、お父さんの歌よと母から教えられた「明日はしあわせ」をマリーが歌っているのを聞き、嬉しそうに涙を流す。

基本的には正義感の強いマルグリットで、革命裁判がおかしな方向へすすむとき、マリーへの同情だけでなく、正義感から阻止したいという気持ちがあるように感じました。

昆さんマルグリットも、自分が行ったことで恐らく自分を責め続けるのだろうけど、自分自身を罰しながらも静かに生きていきそうな気がします。

フェルセン:田代万里生・甲斐翔真

初めての甲斐翔真さん。若い!フレッシュ!

なんかこう、若さゆえの「マリーを守りたい!」というのがひしひしと伝わってきて、花總さんマリーとだとファンタジーの世界にいる2人みたい。

特に1幕の夢見る少女な花總マリーとぴったりで、甘やかな時間が続くといいね…と願わずにはいられないかわいいカップルでした。

そして田代万里生さん。

2018年も思ったけど、格好よすぎる~。歌もほんとうに上手。

エリザのフランツ・ヨーゼフの印象も強いけど、フェルセンの田代万里生さんの方が好き。

2018年の古川雄大さんも今回の甲斐翔真さんもマリーには甘くて(それもいいけど!)、田代万里生さんの場合、もう少しバランスがとれていて、雰囲気的に、マリーを愛しつつ全部マリーの言うことを聞く男ではない、という感じがよい…

それなのに、「あなたへ続く道」で、ちょっと厳しいことを言いつつ、マリーに「現実はあなたよ~」と言われた途端、甘い笑みを浮かべるのがよい…

しっかり切れ者なのに、なんだかんだマリーには甘くなっちゃう田代フェルセンがいいのです!!

ルイ16世の原田優一さんは、甲斐翔真さんフェルセンには全然嫉妬を感じなかったのですが、田代フェルセンに対しては、ヴァレンヌ逃亡のシーンで、付き添うというフェルセンに対し、「私にだって地図くらい読める!」と強い口調で言ったセリフに少し嫉妬を感じました。

2018年公演では感じなかったことですが、ただのマリーの恋人としてだけでなく、重大な計画を仕切っている出来る男フェルセンに嫉妬したのかな~という印象です。

マルグリットに対する優しい言葉も、甲斐翔真さんは心から言っている気がしたけど、田代フェルセンは、なんとなくマリーを助けるために言っている気がしないでもないW

とにかくマリーのために生きる、その為になら鬼にだってなれるというのが田代フェルセン。

ルイ16世が処刑され、白髪になったマリーに会ったとき、マリーが「私をみないで」というセリフに対し、優しく髪に口づけをして抱きしめる姿には、涙涙です。

ルイ16世:原田優一

優しくて人が良さそうで、マリーのこと大切に思っていて、原田さんのルイ16世大好き。

2018年のとき、丸くなった…と思っていたら役作りのため10kgほど体重増やして、公演終了から2か月で12kg落したそうです。さすがプロ。

今回はパーソナルトレーニングで筋肉で体を大きくしたとのことですが、筋肉とは思えない、まるっこいルイ16世が愛しい(笑)

聖母マリアの被昇天の日、豪華な正装姿で着付けされているルイ16世の姿が舞台に現れるのですが、「着せられている感」がすごくて、確かに地位は国王だけど、国王らしい力強さが伴っていない、というのが強く伝わってきました。

しかもこの時、マリーの首飾り事件が裏で着々と進んでいるから、この後巻き込まれている国王夫妻のこと思うと、豪華な姿も哀れで。花總マリーもそうだけど、原田ルイ16世もピュアに見えるんですよね。

ヴェルサイユを追われ、タンプル塔で家族と暮らしている時、マリーが「明日は幸せ」を歌うシーン。

この時、いつもマリーとマリーの歌に気づくマルグリットの表情ばかりみていたけど、ここで原田ルイ16世が涙を吹く姿を初めてみました…自分にふがいなさを覚え、悲しむ優しい国王。。。

そして家族から引き離され コンシェルジュリーへ連れられるシーンでは、突然の悪い知らせと自分への無礼に驚きつつ、妻のマリーには不安をみせないよう大丈夫だよ、と言いたげな笑顔をむけ、ここも涙なしでは見られませんでした。

フェルセンがいるとはいえ、マリーは国王も大切に思っていて、フェルセンには少女のように接する花總マリーも、ルイ16世には同士として向き合い、国王夫妻としてお互いに革命という辛い日々を過ごした2人のカップルも素敵でした。

ルイ16世は、ベルばらやベルばらの元になったツヴァイクの伝記小説が理由で凡庸な人物に見られることが多く、このミュージカルの原作になった遠藤周作氏の王妃マリー・アントワネットもその路線を引き継いでいるけど、実際には有能でもあったらしく、どんな人物だったのか調べたくなるなぁ。

マリーも可哀想だけれど、フェルセンという存在は大きく救いであっただろうし、でもルイ16世に救いはあったのだろうか…

オルレアン公:上原理生

上原さん、期待通りのオルレアン公でした。低音美声がオルレアンの曲にぴったり。悪人役もぴったり(笑)

仲間のエベールたちが敵意剥き出しで王妃たちに歯向かうのに対し、上原オルレアンは自己陶酔して余裕しゃくしゃくなのがまたよかったです。

小野田さんのオルレアンもみたかったな!

このオルレアン公の息子は「フランス王」ルイ=フィリップ。レミゼのアンジョルラスたちが立ち向かった人物だそうです。アンジョルラス役者の上原さん、小野田さん、上山さん(今回エベール役)が揃っているのも不思議な縁。

ジャック・エベール:上山竜治・川口竜也

個人的に、この作品で一番嫌いな人物。

下劣で、2018年公演の坂元健児さんエベールが役作りとはいえ、むかついてむかついて仕方がなかった…DVDでも飛ばしたいくらいです。

実在したエベールは、革命裁判でマリーが寝ている息子にXXXした、と下劣な嘘をでっち上げた人物で、MAでもそのシーンはでてきます。

ここら辺が、このミュージカルの革命を綺麗ごとにしない特徴と思うのですが、どうしても見ていてしんどい。

でも、上山竜治さんエベールは、若干嫌らしさや下劣さが薄まって、個人的にとても見やすかったです。

反対に川口竜也さんエベールは、想像もしていたのですが、サカケンさん路線の嫌なエベールで、しんどかった….(川口さんもサカケンさんも大好きな役者さんですが!)

役柄的にはサカケンさんや川口さんは大正解で、恐らく上山さんはご本人のもつ上品な(サカケンさんや川口さんが下品ということではない)雰囲気が、エベールの下劣さを柔らかくしたように思えたのかなと思います。

とはいえ、川口エベールはたいそうな美声で、ジャベールやフロローで川口さんの美声を堪能してきた自分にとっては、耳福な場面も多数。

特に、革命家ジャコバン派が集まる集会で、川口エベールの艶やかな美声、上原オルレアンの低音ボイス、そしてダントン役の原慎一郎さんの美声が飛び交うシーンは、不協和音ながら耳にはやたら心地のよい声が残りました。

ランバル公爵夫人:彩乃かなみ

2018年に引き続きとても素敵なランバル公爵夫人。歌も素晴らしいので、初演でアニエスが歌った「神は愛してくださる」を歌ってくれるのは嬉しいけれど、もう1曲くらい欲しかったなぁ。

マリーとルイ16世への忠誠心に加え、深い愛情、とりわけマリーに対しては特別な愛情を抱いているように思えました。

ロベスピエール:青山航士

今回、オペラグラスの焦点をあてたお1人が、ロベスピエール役の青山航士さん。DVD見ていた時から気になっていたのですが、冷たい眼差しのロベスピエールが最高すぎる。

出番は少ないけれど氷のような表情で、視線だけですごい存在感。いかにも切れ者という感じです。

青山航士さんは、ダンサーでミュージカルでは振付としても活躍され、今回のマリー・アントワネットでも振付助手としてお名前がありました。

原慎一郎さんの暑苦しそうなダントンと青山航士さんのロベルピエールで何か作品作ってほしい~

 
 

レオナール役の駒田一さん、ローズ・ベルタン役の彩吹真央さんコンビは相変わらず、安心してみてられます。

ロアン大司教の中山 昇さん、2018年よりもラ・モット夫人への甘さがあるような?ベルタンのお店にやってきたとき、そんな所に出入りする大司教の姿を見せたくないからか、2018年はずいぶん尊大な態度をとっていたような気がしますが、今年はラ・モット夫人にもっと素直に愛情を見せていましたね。

ギヨタン博士の朝隈濯朗さん、べメール役の中西勝之さんの美声も心地よく、本当にこの公演はキャストさん素晴らしい。

そして子役ちゃんたちもみんなよかったです。

中でも印象に残ったのは、14日マチネのマリー・テレーズ役、石倉 雫さん。

ルイ・シャルルを連れられ半狂乱になった母マリーを、自分も泣きそうにながら必死に抱きしめる姿が目に焼き付きました。

変更点

今回、かなりテンポがよくなった気がします。セリフがカットされているところや間がなくなったところが所々。

全体的には2018年より見やすくなったように思えます。ただ残念なのは、タンプル塔にマリー救出にきたフェルセンとの会話部分。

「子供たちも一緒に?」と問うマリーに「お子さんたちは後で必ず…」と答えるフェルセン。このあと2018年では、マリーがしばし言葉を失って、しばらくしたのち行かないと伝えるのですが、この「間」が無くなっていました。

子供を捨てられないから、フェルセンとは今が、今生の別れになるとマリーが悟る大切な「間」だと思うので、あっさり流れるようになってしまったのが残念。

もしかしたら、今の状況下で、できるだけ公演時間を抑えるように演出側がやりくりしたのかもしれないですけれど…

そしてこの後に続く、2018年では「私たちは泣かない(リプライズ)」が、「あなたを愛したことだけが(リプライズ)」へと変更になっていました。

今回、初めて変更になったバージョンを聞いたときはわりとショックでした。

今生の別れになる2人の、泣かずにはいられないシーンでの「私たちは泣かない(リプライズ)」が好きだったので。

でも2回目にみたときは、「あなたを愛したことだけが(リプライズ)」もアリかもと思えました。王妃が夢の世界に生きる少女ではなく、王妃として自覚をして死を迎える、という流れでいうとこっちの方がいいかなと。

キャストさんによって、しっくりくる度合いが変わると思うのですが、マリーでいうと、今回観ていないけれど、花總さんよりも笹本さんは「あなたを愛したことだけが(リプライズ)」があうかも。

「私たちは泣かない(リプライズ)」があうのは、個人的には断トツで花總X古川コンビかな~

なにはともあれ、旧バージョンがDVDに残っているのはありがたい。

 
 

2つとも貸切公演だったのでカテコでは花總さんと両マルグリットの昆さん、ソニンさんから挨拶がありました。

お2人とも客席の拍手がとても温かい。今の状況の中で舞台にたてることに感謝、最後まで責任をもって務めさせて頂く・・・などの言葉がありました。いつもなら、「また○○でチケットをとって劇場へお越しください」という言葉があるものですが、今回、劇場へ足を運ぶようにお願いする言葉がなかったので、安易にお客さんにお願いできるものではない、という想いがあるのかもしれないですね。

でも、何より危険にさらされているのはマスクなしで舞台にいる役者さんたち。こんな中、舞台に立たれている皆さんの存在に感謝です。

緊急事態宣言で公演時間が繰り上がったからか、ソワレの公演でも子役ちゃんたちがカテコで挨拶してくれました。遅くまでお客さんに付き合ってくれてありがとう!

無事に千秋楽まで全員欠けることなく駆け抜けられますように!

2021年マリー・アントワネット全キャスト
マリー・アントワネット:花總まり、笹本玲奈
マルグリット・アルノー:ソニン、昆夏美
フェルセン伯爵:田代万里生、甲斐翔真
オルレアン公:上原理生、小野田龍之介
ルイ16世:原田優一
レオナール:駒田一
ローズ・ベルタン:彩吹真央
ジャック・エベール:上山竜治、川口竜也
ランバル公爵夫人:彩乃かなみ
ロアン大司教:中山 昇
べメール:中西勝之
ギヨタン博士:朝隈濯朗
ロベスピエール:青山航士
ダントン:原 慎一郎
ラ・モット夫人:家塚敦子
マリー・テレーズ:石倉 雫、桑名萌々花、山本花帆
ルイ・シャルル:田中誠人、土屋飛鳥、西田理人

荒田至法、石川 剛、榎本成志、小原和彦、川口大地、扇国 遼、横沢健司、りんたろう、天野朋子、石原絵理、今込 楓、岩﨑亜希子、大竹萌絵、島田 彩、堤 梨菜、遠山さやか、舩山智香子、山中美奈、吉田玲菜