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『メリリー・ウィー・ロール・アロング』感想※2021年5月新国立劇場 

新国立劇場へ『メリリー・ウィー・ロール・アロング』を観劇してきました。

曲がソンドハイムらしく難解な部分もありましたが全体的にテンポ良く、ストーリーが非常に面白くて素敵な舞台でした。

『メリリー・ウィー・ロール・アロング』は、ホリプロのHPにも書いてある通り時系列を逆に遡っていく「逆再生」ストーリーです。

何もかも手に入れたように見えるが人生に虚しさを感じている男・・・この姿が物語の結末で、舞台ではここが出発点になっています。

プログラムで確認すると最初から最後までの9場面を時間を逆にたどっていきます。

時間軸を逆にみてるので、例えば最初は、主人公のフランクが「名声やお金で仕事を選んでいる」ように感じても、時間を遡ってみれば、フランクがそう決断する理由が見えてくる。

結果がどうであれどの瞬間も登場人物たちは悩みながら生きていて、つい自分の人生はどうだったか想い出してしまう瞬間もありました。

この舞台は「逆再生」していく話である事を抑えておく程度にして、内容を深く知らない方が最初は楽しめると思います。

以下感想を書きますがネタバレ含むので初見の方は、次の「登場人物解説」まで読んでいただいて、以降の感想は読まない方が良いと思います。

追記:2回目観劇を終え、記憶があやふやで間違えて書いていた箇所を訂正しました。

目次

登場人物解説

メイン3人

  • フランク(平方元基)
  • メアリー(笹本玲奈)
  • チャーリー(ウエンツ瑛士)

メインとなるのはこの3人ですが、ストーリーの軸になっているのはフランクの人生です。

フランクとチャーリーは友人同士。フランクはチャーリーのいるアパートで一緒に住むことになり、そこにはやはり同じアパートに住むメアリーがいた所から3人の人生が始まります。(つまりこの作品ではここがラスト)

フランクが語る2人の性格

チャーリー・・・短気で頑固
メアリー・・・意気地なしで口うるさい、ロマンチスト

フランクの人生に大きな影響を与える人

  • プロデュ-サーのジョー(今井清隆)
  • ガッシー(朝夏まなと)

ジョーとガッシーは夫婦でしたが、2人は別れガッシーはフランクと結婚します。

ジョーがフランクと出会った時は有名ハリウッドプロデューサーでいかにも成功者風なのに、ガッシーと別れてからは落ちぶれてしまいます。

私たちは落ちぶれたジョーの姿から見るのですが、今井清隆さんが最初しょぼくれた人物なのが、だんだん成功者の貫禄をつけていくのが面白かったです。

ガッシーも最初は嫌な人物にみえるのですが、どんどん時間を巻き戻して最初のガッシーをみると、ガッシーも必死だったんだろうなと感じます。

  • フランクの妻ベス(昆 夏美)

私たちがベスを初めてみるのは冒頭を除き離婚裁判のシーンから。昆ちゃんがいきなりボルテージ全開で出てきます。時系列に演じることができない役者さん、いきなりクライマクスから演じるの大変でしょうね・・・

『メリリー・ウィー・ロール・アロング』あらすじと感想

再観劇後、間違えて書いた箇所があり、修正しました。

1976年(40歳)

ロサンゼルスにあるフランクの豪邸。映画プロデューサーとして成功し周囲からもてはやされる。アメリカンドリームを体現した男である。パーティーには20年来の親友でベストセラー作家のメアリーもいたが、彼女は酒を浴びるように飲みフランクへの皮肉や批判ばかりいう。

客の1人がピューリッツァ賞をとったチャーリー・クリンガスの名前を出すと、メアリーは「私たち3人は親友だった」と叫びパーティーから出ていく。

苦々しい思いをするフランク。次の映画のヒロインに抜擢した愛人もパーティーに来ていたが、フランクの妻で女優のガッシーが薬品を愛人の顔にかける。

成功は手に入れた。でも自分の人生が嫌いだというフランク。

見た時点での感想
このシーンは、ビジネスで成功を収めたものの心から望んだものではなく人生に満足できていない成功者フランクの姿が描かれています。この時点でそれが良いか悪いか私は判断できず、どちらかというと、フランクにつっかかるメアリーにやっかみを感じ、なんだか面倒な人だなと思いました。

フランクは妻のガッシーがいるのにパーティーに愛人を同席させちゃって、ガッシーが気の毒。

この時点での朝夏まなとさんガッシー、大女優感でありながら「旬」ではない絶妙な雰囲気があります。

パーティーで、客の新米脚本家人に「どうやったらあなたのような作品を書けるのですか?」と聞かれ、フランクは「ここ(頭)で知ったことじゃなく、ここ(心)で知ったことを書くんだ」と言います。

このセリフ、最後にまた出てきて泣けます・・・

1973年(37歳)

NBC報道番組のスタジオ。スタジオに入る前、メアリーがチャーリーと話している。チャーリーはフランクに不満があるが、メアリーはまた元の3人のように仲良くやりたい。「君はまだあいつに恋しているのか?」「だったら救ってよ」という会話あり。

フランクは新しい映画の仕事が3本決まる。しかしフランクとチャーリーは次に上演するミュージカル「左向け左」を控えている。フランクの映画の仕事のせいでチャーリーとの仕事がずっと延期になっているので、フランクはチャーリーに自分の口からちゃんと伝えたい。

しかしインタビュアーがフランクの新しい仕事について口を漏らしてしまい、チャーリーはテレビの前で不満を爆発させる。

チャーリーがとても強い言葉でフランクを責めるのは、2人の約束を映画の仕事のせいでフランクが守らないからだが、正義を盾にフランクを徹底的に打ちのめし、サウンドバック状態だったフランクもここで切れる。最初のシーンでフランクは「自分の人生が嫌い」と言ってたが、ここでは「自分の人生に満足している」と言う。

見た時点での感想
立て続けにヒット作を出し1人で先をすすむフランク、過去の良き時代が忘れられないメアリー、もはやフランクとは仕事や人生のタイミングが合わないチャーリー。

この3人がこの先上手くいくことが想像できない。

フランクの妻ガッシーの所に元夫のジョーがお金を無心にくる。

2回目観劇後追記
3人がこの後上手くいくかどうか・・・じゃなくて、フランクはここでチャーリーの元から去る。チャーリーはまだフランクと一緒に仕事をしたい気持ちがあるけど、フランクは生放送で自分に恥をかかせたチャーリーが許せない。アフリカ部族の男は自分を裏切った男をいないものとして扱うと言い、チャーリーを切り捨てたように見えました。

説明させれくれとチャーリーは言うが、フランクは去って、2人の友情はここまで。

1968年(31歳)

セントラル・パークにあるフランクの部屋。クルーズ旅行から帰ってきたフランクの所へチャーリーとメアリーが訪れる。そこにはフランクの息子フランキーもいる。久しぶりの息子との再会を喜ぶフランク。

フランクは、チャーリーとのヒットミュージカル「ブロードウェイの恋人」の新しい映画の契約化の話をする。難色を示すチャーリー。2人で上演したかった「左向け左」が先に伸びてしまうことになる。

フランクの部屋に訪れるガッシーとジョー夫妻。ガッシーはフランクと一緒にいたい素振りを隠そうとしない。ジョーはすでに2人の仲に気付いているが、ガッシーの気持ちが自分に戻るまで静観を決めている。

実はフランクのクルーズ旅行にガッシーも同行していた。

ショックを受けるメアリー。お酒は飲まないといっていたが、ここでアルコールを口にする。

チャーリーはフランクに、メアリーが賞を受賞以来筆をとっていないから、2人で話を聞いてあげなきゃ、メアリーには僕たち2人が必要だというが、フランクはガッシーからの電話を待たなきゃと迷う。

しかしチャーリーからガッシーとは深入りするなと言われ、そう決める。だがその夜ガッシーがフランクを再び訪れる。「今夜あなたを失いそうだから」と。

見た時点での感想

フランクの心の弱さというのか、自分を気に入ってるガッシーが見せてくれる世界や売れて成功していく喜びに心惹かれている様子が見られました。

ガッシーが現れる直前まで3人、映画化の話で揉めそうになりながらも、なんだかんだと仲よし。いい雰囲気なのにガッシーが部屋を訪れると空気が悪くなる。

結局メアリーは出て行って、フランクをなんとかガッシーに飲み込まれないよう説得するのがチャーリー。フランクとチャーリーはお互い君が好きだと伝えあっているのに、ここから壊れていっちゃうんだなぁ。。

ガッシーが勝手気ままな女性で、夫のジョーをないがしろにするし、なんだかなーって感じなのですが、フランクのところに「今夜あなたを失いそうだから」とやってくる姿は、捨て身で必死に生きている女性に見えました。

1967年(30歳)

マンハッタン裁判所。フランクは、ベスから離婚裁判を起こされる。フランクを支えようとするメアリーとチャーリー。

見た時点での感想
いきなり怒り全開で登場する昆ちゃんベス。俳優さんってすごい。息子フランキーと離れたくないフランクは取り乱し、彼をメアリーとチャーリーは支えようとするのですが、ここでのメアリーがやたら元気。

フランクが「メアリーは意気地なし」と言っているように、メアリーはフランクに自分の気もちを伝えられず見守ることしかできない女性。でもここで元気なのは、弱っているフランクを支えることでようやく自分の存在価値を見つけているような。

でもそしたら後でフランクがガッシーと結婚してしまうの、辛いですね・・・

1964年(27歳)

アルヴィン劇場。ジョーがプロデューサーを努め、ガッシーが出演するフランクとチャーリーの初ブロードウェイ作品の公開初日。観客の反応にドキドキする2人、そしてメアリーとフランクの妻ベス。みんなが聞いたのは割れんばかりの拍手だった。ベスはフランクに「ジョーの仕事をまたしてほしい」と伝える。ジョーは売れる作品を知っている。そしてフランクが稼げば生活が楽になるとベスは考えている。

公演の後は初日のパーティーが控えていた。

チャーリーの妻イヴリンは産気づいて病院にいるので、チャーリーは病院に向かおうとする。ベスは前もイヴリンのお産に付き添ったので今回も付き添いたいとフランクに伝える。メアリーはベスに「ガッシーがいるからフランクを1人にしない方がいい」と言うが「夫を信じなきゃ」とベス。メアリーは「信じちゃいけないときもある」と答えるがベスは一瞬迷ったあと「信じられない夫なんていらない」と劇場を後にする。

見た時点での感想
フランクとチャーリー、2人が作りたかった作品(左向け左)ではなかったけれど、ここで2人は最初の成功を収めます。

観客の拍手がまだ鳴らず成功かどうかわからない時、ベスはフランクにジョーと一緒に仕事をしてと頼む。ショービジネスで何が大切かわかっているジョーと組めばお金を稼げるからと。

ベスは大金が欲しいというより、子供もいるし親が不安定な職のフランクにいい感情を持っていないしで、やはり夫に成功(=お金を稼ぐ)してほしい。

フランクは「自分の書きたいものはわかっている」と、この時点ではショービジネスにどっぷり染まらなそうなのに観客の拍手を聞いたら表情が変わっちゃう。

観客の熱狂と称賛、貧乏暮らしからの脱出...脳にアドレナリンでまくっているのがよくわかりました。

観客の拍手とベスのお願いとお金。フランクはベスとの間に子供もいて、お金を稼がなきゃいけない。そっちに意識が向くのは当然といえば当然。

チャーリーですら「よし、ジョーともう一本だけ作品を作ろう」と言葉にするくらいだから、称賛されるって魔物のようだと思いました...

ただチャーリーは、次の1本までで、その次こそ本当に作りたい「左向け左」にとりかかろうと思っています。チャーリーの方が子だくさんなんだけど、フランクがチャーリーを「頑固」というように、やりたい事を一貫して曲げず強い。

ベスの願った、フランクがジョーと一緒に仕事する=フランクとガッシーと接点が増える=のちに離婚とつながるので、ここも大きな分岐点。

それでもベスはフランクを信じパーティーに1人で行かせるけど、それを阻止しようとするメアリーはフランクの弱さを分かっていたのかもなぁ。

1962年(25歳)

サットン・プレイスのガッシーとジョーの邸宅。ガッシーから呼び出されたフランクとチャーリーは自分たちのミュージカルに興味を持ってもらえたと思い、ベスを伴って彼女のパーティーを訪れる。

フランクと同行したベスは大女優ガッシーの迫力に太刀打ちできず、「私が旦那さんを気に入ってもいいかしら?」なんてガッシーに言われ反論できない。

フランクとチャーリーは自分たちの作品「左向け左」を上演したいが、ジョーからは「政治的思想の作品をいきなり上演するのは難しい。まずは成功を収めてから」と言われる。

2人は作品の中からある曲を演奏する。ガッシーにもう一度と言われ同じ曲を演奏するが、チャーリーは引き際が大事だと反対。そのまま演奏を続けるフランクだが、客たちは飽きて他のことに意識を向け始める。

見た時点での感想

ガッシーのふるまいが気まぐれでエキセントリック。欲しいものは絶対に手に入れる、自分の側にはいて欲しくないタイプ。でも「私は自分を作り上げた」というセリフがあり、彼女が強い意志でこのようにふるまっているのだと気付きます。

メアリーもガッシーにいいように使われ、ガッシーに対し良い感情を以降持てない。

勝手なふるまいをするガッシーだけど、フランクとチャーリーが同じ曲を歌う2回目、客たちは飽きて他のことに意識を向ける中、ガッシーだけが一生懸命聞いているんですよね。

このパーティーから、本当はフランクとチャーリーが作りたかった作品から一旦逸れて、ショービジネス向けの観客に受けやすい作品を作ったのが前回の場面。そしてフランクとガッシーが親密になるきっかけとなったのもこのパーティー。

このパーティーにこなかったらどうなったのかな。

1960年(23歳)

グリニッジ・ヴィレッジのナイトクラブ。フランク、チャーリー、メアリーで作ったミュージカルのショーにジョーとガッシーが訪れる。ナイトクラブにはベスの両親もいる。両親は反対しているが、今夜フランクとベスはここで結婚式をあげる。

見た時点での感想
ナイトクラブでのショー。出演はフランクとチャーリー、そしてベス。メアリーは出演者には含まれません。(これもこの後(時系列的には前)の分岐点があった)

和気あいあいとショーを繰り広げる3人。ケネディ一家をパロディー化したものもあり、フランクとチャーリーがずっと作りたいと思っているのは政治色が強いものだとわかりました。この前の場面でも左向け左が政治的思想を訴えているとジョーが話していたし。

そして政治色の強い作品は商業的に大成功を収めるのは簡単ではない。

ベスの両親がクラブにいて「定職につかず稼ぎも安定していないフランク」を厳しい目線でみている。

この時点でのフランクは「作曲で成功したい」と考えていたわけなのだけど、作曲で成功したいことと、自分が作りたいもの(左向け左)が後でうまくリンクしなくなるんだろうな。この時点でベスは妊娠しているので稼がなきゃと意識もあったと思う。

ベスは実際妊娠していたのだけど、妊娠ありきの結婚で、もし妊娠していなければ結婚の話はなかったらしい。ベスは妊娠していなかったと嘘をついてフランクにかまをかけ、それでも結婚すると言ってくれたので、安心して実は妊娠しているのよ、というやりとりがある。

ここのシーンは、フランクはベスのこと好きなんだろうけど、結婚はベスの意志でフランクは流されちゃっているように見えました。

ずっとみているとフランクは流れされやすいですねw

ナイトクラブにはジョーとガッシーも訪れています。クラブのウェイター(留守番電話を発明したタイラー)が最初に声をかけるのは有名プロデューサーのジョーの方。そしてフランクが「来ていただいて光栄です」と挨拶するのもジョーに対して。

一方、ガッシーは、今までの煌びやかな雰囲気とは違う、垢ぬけない姿です。名前もガッシーではない別の名前。ジョーにみつけてもらい、ここからスターになっていく。このガッシーの姿をみたとき、さんざん周りを振り回している将来のガッシーは、この時点で持っていた彼女の何かを捨てたんだろうなと思えました。

メリリー~は主役3人も良いけど、フランクの人生に大きな影響を与え、本人たちも大きく変わった朝夏まなとさんガッシーと今井清隆さんジョー、そしてベス役の昆夏美さんも素晴らしい。

1959年(22歳)、1958年(21歳)

ニューヨーク。2人でミュージカルを書くようになったフランクとチャーリーは、プロデューサーであるジョーのオーディションを受け、作品を売り込もうとする。

彼らの作品のある役のオーディションにきたのが、のちのフランクの妻になるベス。

オーディションシーン、ジョーの横には秘書のガッシーがいる。

見た時点での感想
お金もなく成功もしていないけど、それぞれの夢にむかってがむしゃらな3人。作品を演じるのにメアリーは、その役をやれ!と言われるけど、お酒飲まないとそんなのできないと答えてしまう。

もしそのままメアリーが役をやっていたら、ベスはオーディションに来なかったわけだから、ベスとフランクは出会わなかったんじゃないか?

意気地なしと言われるメアリーの尻込みが、ここでも出てしまう。

メアリーは、フランクのことが好きなのにただ思っているだけなんですよね。

それにしても、このシーンの今井さんジョーの上手さ!

軽妙なソンドハイムの旋律が、今井さんの美しい声となめらかなリズムにのって、聴いていてめちゃくちゃ心地よいです。

あまり歌う場面がないのが残念で、今井さんジョーの歌をもっと聞きたかった。

1957年(20歳)

グリニッジ・ヴィレッジの古い安アパート。フランクがチャーリーと一緒に住むアパートの屋上にいる。

「僕に良い作品は作れるかな」と聞くフランクにチャーリーは「君は、ここ(頭)で知ったことじゃなく、ここ(心)で知ったことを書ける人だ」と応える。

フランクは2年の軍隊生活を終えたばかり。無駄だったというフランクにチャーリーは「そんな事はない。(それがあるから)曲をかけた」と反論する。

ベルボーイが上院議員になった話(?)のタイトルを「左向け左」にして出したいというフランク。

ミュージカルで僕らは世界を変えられると。

屋上へ現れたメアリー。同じアパートに住んでいた。物書きのメアリーは2人に共感。3人は人工衛星スプートニクを見ようとしていた。

彼らの上には星空が広がる。

メアリーを呼びにきた女性。名前はイヴリン。

ここからストーリーは始まる。

見た時点での感想

最初のシーンでフランクが新米脚本家にいう「ここ(頭)で知ったことじゃなく、ここ(心)で知ったことを書くんだ」。チャーリーがフランクに向けて伝えた言葉でした。ここは涙腺崩壊しそうでした。

このシーンで「左向け左」も出てきました。最初から2人が作りたかったのはこの作品。でも、作れずに終わってしまう。

なんてことだ。

全部見終わってみて

フランクは結局人生後悔しているけど、じゃあどうすれば良かったのかと言われるとわからない。自分も選択肢があれば同じような事をしてしまうかもしれない。

それにフランクは大事なところで流されちゃうから、やっぱりなるべくしてこうなった気もする。

でも、ずっと息子が大切だったのに最後(舞台では最初)は、息子のことなんか頭に無さそうなのが悲しかったですね。俗世的な成功がフランクを変えちゃった気がして。

周りをぶち壊しながら結ばれたガッシーとの会話も悲しい。

フランクの、成功者のはずなんだけど悔いの多い人生を送っているちょっと弱い男性、というのが平方さんにぴったりでした。

チャーリーは頑固で子供4人もいながら商業ビジネスにそまらず、コツコツとキャリアを積み、ピューリッツィア賞を受賞する。自分のやりたい事を続けて受賞するのだから3人の中で一番の成功者なのかもしれない。でも、チャーリーの頑固さは人を近づけるのが難しそう。フランクのような弱さと柔らかさがないとチャーリーと友人関係を続けるのが難しいかもしれない。

ただ2回目観劇した際、チャーリーはすごくフランクのことが好きで、誰よりも大切に思っているからこそ、ラジオ局で怒りを爆発させちゃったんだと思いました。

場面場面でフランクに対するウェンツさんチャーリーの愛情を感じ、どんどん切なくなります。

メアリーはもう少し勇気があれば人生変わったのかもしれない。もしかしたらフランクと結ばれていたのかもしれない。でもその勇気がなかったから、ずっとフランクの側に居続けることができたのかもしれない。40歳のパーティーで捨て台詞を吐き友情は決別してしまうのだけど、もしかしたらこの先メアリーとフランクは友人に戻るきっかけがあるかもしれない。

ガッシー、何も持たない1人の女の子が成功を掴むが、踏み台、犠牲にした人も多く、結局自分にもそれがかえってきてしまう。

ジョー いい人。

メグ メグは最初のパーティーに出てくる新人女優でフランクの不倫相手。全て観終わり振り返ってみると、自信満々で怖いものなしのメグのふるまいは、フランク、チャーリー、メアリーが20歳の時に持っていた若さなのかもしれない。

あ~本当に面白い作品をみた、と思う。

帰りは自分の過去を思わず振り返ってしまいました。

そういえば、開演前のアナウンスで主演3人が劇場内の会話はお控えくださいと言っていました。機械的なアナウンスよりも出演者さんが話してくれる方が絶対効果高いと思う!

2021年『メリリー・ウィー・ロール・アロング』キャスト

フランク:平方元基
メアリー:笹本玲奈
チャーリー:ウエンツ瑛士
ガッシー(フランクの妻):朝夏まなと
ベス(フランクの前妻):昆 夏美
プロデュ-サーのジョー:今井清隆

岸祐二、上口耕平、渚あき、中別府葵、宮原浩暢 (LE VELVETS)、中井智彦、井阪郁巳、家塚敦子、三木麻衣子、森 加織、雅原 慶、高木裕和  

作曲・作詞:スティーブン・ソンドハイム
脚本:ジョージ・ファース

演出:マリア・フリードマン
振付:ティム・ジャクソン
翻訳:常田景子
訳詞:中條純子
美術・衣裳:スートラ・ギルモア
照明:柏倉淳一
音響:大野美由紀
ヘアメイク:馮 啓孝
音楽監督:竹内 聡
歌唱指導:安崎 求、高野絹也
アクション:渥美 博
演出助手:陶山浩乃
舞台監督:瀧原寿子

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