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韓国版モーツァルト感想※パク・ウンテ、キム・ジュンス、パク・ガンヒョンさん出演

配信で韓国版モーツァルト!を日本語字幕付きでみることができました。

2020年の韓国M!10周年公演。

2016年の韓国M!は日本の小池先生が演出されていますが、2020年は別の方です。

今回の配信は、3日間、主役ヴォルフガング役をパク・ウンテさん、キム・ジュンスさん、パク・ガンヒョンさん日替わりで観劇という贅沢な内容。

韓国のミュージカル俳優さんたちは歌ウマーなイメージがありましたが、期待を裏切らない歌唱パワー!

最初の日は、キャストさんの歌にも演技にも日本版とは違うストーリーにも衝撃を受けすぎて夜寝付けないほどでした。

目次

ストーリー全体感想

機能不全家族の話?

韓国版モーツァルト!は機能不全家族の話...な気がしました。

幼い時の天才性しか愛さない父親の条件付き愛情。

父のレオポルトは自分と息子の境界線が欠如していて、息子を使って自分の幸せを叶えることしか考えていない。

でも、自分の意見の押しつけを本気で息子への愛情と思っている。ヴォルフガングも父の愛情を疑っていないから、自分自身のことを身勝手と責めてしまう。

弟に自分の将来を託さざる得なかった姉ナンネールも父親の犠牲者なんだけど、

「お前のせいで 姉さんは毎日泣いている」とレオポルトはつぶやいていて、いやー...ヴォルフガング可哀想すぎる...

 

日本版の父レオポルトも息子への過度な干渉や支配がみられる人物ですが、初演から演じている市村正親さんフィルターがかかるのか、成長したヴォルフガングへの愛も感じる父親でした。

日本版レオポルトは、「アマデ」を望んでいるけどダメ(にみえる)な今の息子ヴォルフガングも目に入っているというか。

ヴォルフガングがウィーンの演奏会で成功したあと、ヴォルフガングはパパから喜んでもらえるはずと思っていたのに、「お前の成功はお前ひとりだけのものなのか」「曲が複雑すぎる」とパパから責められる場面では、日本版では成長する息子についていけない父親というイメージ。

でも韓国版のこのシーンは「私は息子の影に隠れた」とまで言っていて、息子の成功を喜ばないどころか嫉妬している。

ヴォルフガングのこと責めているけど、その直前、恍惚とした表情浮かべ息子の演奏にあわせ指揮していたし。まるで息子の才能が自分のものみたいに。

 

レオポルトの部屋に幼いヴォルフガングが着ていた赤い礼服が飾ってあり、それに話しかけている時点で韓国版レオポルトは、「ありのままのヴォルフガングをみていない」ことを示している気がします。

ヴォルフガングがどんなに「何故、愛せないの?」と聞いても、問題はヴォルフガングではなくレオポルトにあるから、父親が自分自身の問題に気づかない限り、2人は分かり合えないんだよなぁ。。
 

こんな調子で描かれる父と息子が迎えるラストが衝撃で。

ネタバレになるので行をあけます

 
 
 

ラストでは、1人で歩くヴォルフガングの目の前を、舞台の左右からレオポルトと小さい赤い服を着た男の子が駆け寄って、抱き合って終わります。

 
一瞬、ヴォルフガング求めていた父親の愛情をようやく手に入れたラスト、にみえて号泣しました。

でもすぐにレオポルトはヴォルフガングを無視して幼い頃の天才性「アマデ」を抱きしめているようにも見えるから、もしかしたらヴォルフガングにとって地獄のラストなのか???

混乱して、一体どういうことなのか??その夜は寝付けなかったです。

もんもんとしていたのですが、ジュンスさんのインタビュー記事で、救われました。

「私が二人を眺める感情は死ぬ瞬間の歓迎です。死ぬ直前に見て、おそらく天才ではなく、「子供モーツァルト」という気がします」とのこと。引用:http://m.viva100.com/view.php?key=20200810010001647

本編ラストの解釈は、はっきり明示されていないようですが、そうであって欲しいです。

男爵夫人、大司教がわかりやすい

ヴァルトシュテッテン男爵夫人の「星から降る金」の歌詞がとてもわかりやすかったです。

日本版では「愛とは手放すこと」と、父レオポルトの息子への愛情は認めつつも、息子を閉じ込めるのではなく、大きく羽ばたかせなさいという意味の曲だと思っていました。

でも韓国版を聞くと、これは主にヴォルフガングへの歌。「金の星が降ってくるときは、世に向かって旅に出なければならない」。つまり才能が授けられたものは、それを全うする事が運命と言っていることがわかりました。

日本版も大まかにはそのような事をいっているっぽいけど、ふんわりしていてわかりづらいw

で、ウィーン版のCDチェックしたら、やっぱりこちらもドイツ語で「~しなければいけない」と書いてあるから、意味的には力強い歌だったのね...と今更気づきました。

そして、ラストにヴォルフガングが「金の星を求めて焼き尽くされた」と言っているので(ウィーン版も同じ)、この歌の結末が示されている。

ヴァルトシュテッテン男爵夫人は、家族からヴォルフガングを引き離す存在で、良い人なのか悪い人なのかいまいちわからない人でしたが、韓国版に関していえば、レオポルトの抑圧からヴォルフガングを解放する人に見えます。

 
コロレド大司教もわかりやすくて、ヴォルフガングの才能は父レオポルトよりも理解しているけど、彼の天才部分にしか興味がないという事が明示されていたと思います。

2018年に日本でも追加になった新曲「破滅への道」。これは、コロレドはヴォルフガングを認めるけど、2人の求めるものは違う。2人は同じようなことを言っているけど、実はすれ違っている曲、と認識しました。

この曲は日本版では唐突感があるけど、韓国版では一幕終盤の「僕はウィーンに残る」で、「安全な道、楽な道」とヴォルフガングとコロレドのやり取りがあるので、そこからの流れだと思う。

「僕はウィーンに残る」は、「破滅への道」が追加になった時点で、韓国版でもしかしたら歌詞の変更があったのかな?

星金もそうですが、韓国版は伏線を回収していく流れだと思います。

 

キャスト感想

ヴォルフガング:パク・ウンテ、キム・ジュンス、パク・ガンヒョン

ヴォルフガング3名、歌もお芝居もみんな上手!

「僕こそ音楽(ミュージック)」は、日本版では弾けるように歌うヴォルフガングが多いイメージですが、韓国版では3人とも一つ一つの音を愛しむように丁寧に歌っていた印象です。

初日にみたパク・ウンテさんは、歌唱お化けの韓国キャストの中でも抜群の存在でした。声に艶と深みがあり、配信でもすごい美声。劇場で一度、パク・ウンテさんの声を浴びてみたいものです。他の2人のヴォルフガングに比べると、大人っぽくて父から本当の自分が愛されていないことを早い段階でわかっていそう。そして愛を求めるため自爆してしまう天才の姿が悲しかった。

すごく好きなヴォルフガングだったのですが、韓国M!初観劇ということで、細かい記憶が飛び飛び。。。もう一度観たい!!

 
2日目にみたキム・ジュンスさん。無邪気で甘えっ子でやんちゃ。明るくてチャーミングな分、影が色濃くでる。光と影の対比が見事なヴォルフガング。観てから時間がたっているので、こんな風に書いていますが、ジュンスさんのヴォルフガングは憑依したんじゃないかという位、自然で勢いがあったんですよね。でも後で思い返してみると、綿密な演技構成を持っていらしていると思う。アマデが作曲する前に、自分が合図出すような仕草したり、破滅への道でコロレドがのけぞるほどの力強さがあったり、他の人たちとの関係がしっかり描かれ、しゃべるように歌うのも良かった。ジュンスさん東方神起のメンバーだったんですよね。韓国アイドルレベル高い。

 
ラストが新ヴォルフガングのパク・ガンヒョンさん。すごく自然体。アマデが自分の中に同居している事を普通に受け止めている。そして靴紐が結べなそうw 若さからくる傲慢さがありコロレドが嫌うのもよくわかるヴォルフガング。一幕はふてぶてしさがあるのに、二幕で父から完全に拒絶を受けた後、壊れていくのが痛々しかったです。

レオポルト:ユン・ヨンソク、ホン・ギョンス

初日にみたのが、ユン・ヨンソクさんパパ。ホン・ギョンスさんよりも、ずっとヴォルフガングに依存していてかなりの毒親だったと思いますw ユン・ヨンソクさんレオポルトとチョン・スミさんナンネールのコンビが、ひたすらヴォルフガングに恨みつらみを言っている印象が強くて、初日は日本版との大きな違いに戸惑ったものでした。

ホン・ギョンスさんパパは、2日目と3日目にみました。深みのある声が美しいレオポルト。ユン・ヨンソクさんに比べると高潔さがあり毒親度が下がった印象でしたが、次の日にみたらやっぱり愛の呪いの言葉をつぶやいている印象が強くて、結局、韓国レオポルトは息子への抑圧が強いw

でも本人たちは、息子に愛情注いでいるつもりなんですよね。しんどい。

ヴァルトシュテッテン男爵夫人:シン・ヨンスク、キム・ソヒョン

シン・ヨンスクさんは歌唱お化け!配信でも「黄金星」(星から降る金)で、劇場の空気が変わるのがわかるほどでした。wiki情報では、この役で驚異的な歌唱力をみせて「黄金のヨンスク」というニックネームまでできたそう。納得の歌唱でした。

キム・ソヒョンさんはチャーミングで優しい男爵夫人。アマデやヴォルフガングを気にかけてくれるのがよく伝わってきます。コロレド役で出演されたソン・ジュノさんの奥様なんですね。可愛い方です。

コロレド大司教:ソン・ジュノ、ミン・ヨンギ

韓国版のコロレド大司教は、「モーツァルトの才能に抗えない」感がよく出ていてわかりやすかったです。

ソン・ジュノさんは、モーツァルト推しを隠せなくなった大司教
ミン・ヨンギさんは、モーツァルト沼に落ちた大司教

日本版でカットされたおトイレシーンは健在で、ソン・ジュノさんはお腹を下し、ミン・ヨンギさんは一週間の便秘設定でしたw

 
 
他に、3公演ずっと同じだったアルコ伯爵役のイ・サンジュンさん。

コバンザメのような日本のアルコ伯爵とは違い、ふてぶてしいおやじっぷりの濃いキャラで面白かったです。プラター公演でじんわりヴォルフガングに近づいてくるなど意外と芸が細かい。

やはり3公演出演されていたシカネーダー役のシン・インソンさん、声が艶やかで耳福でした。

配信が始まる直前、上の映像が出て、否応なしに気持ちも高揚↑

何度もみてきたモーツァルト!ですが、韓国版では新たな気づきがぼこぼこ出てきて面白かったです。歌も皆さん上手だし楽しい3日間でした。

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