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劇団四季『ノートルダムの鐘』感想@初!寺元カジモド/神永フィーバス/髙橋クロパン

初日以来2回目、横浜KAATへ劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』を観てきました。

2018年の横浜は25回観劇していたけれど、2022年はチケットが取りづらかったのと、個人的にも都合をつけるのが難しく、だいぶ少ない観劇数になります。

初めての寺元カジモド、神永フィーバス、髙橋クロパン、久しぶりの岡村エスメラルダ、村フロローでした。

 
とても良かったです。この日は一幕終わったあと、しばらく拍手が鳴りやみませんでした。

休憩入る前の拍手で、観客の気持ちがこもった長い拍手だったと思います。

目次

キャスト感想

カジモド:寺元 健一郎

寺元さんのカジモド、ようやく観られました。

目のお芝居というのかな。瞳の表情が素晴らしかった。

フロローの顔を一生懸命見つめる姿をみて、そうだ、カジモドは耳が悪いんだ...と改めて思い出しました。

耳が悪いから相手の表情をすごくみている。

フロローと対している時、不安そうにすがりつくような目でじっとみています。

フロローだけがカジモドの世界。ご主人様がいないと生きていけないことが身に染みてわかっている弱々しい瞳。

少し、あっきーカジ(田中彰孝さん)を思い出しました。

あっきーカジも相手を不安そうにみている事が多かった気がします。

「♪陽ざしの中へ」であっきーカジは、前にすすもうとして、光のまぶしさにひるみ顔をそらす姿が印象的でしたが、寺元さんも光へ踏み出そうとして顔をそむける。

外の世界へ行くことへの怖さが感じられるから、勇気を出して踏み出した寺元カジモドの姿にぐっときました。

あっきーカジもだけれど、寺元さんカジも精神的に幼さはなく、心が成長しているゆえ自分の境遇を悟った哀しみや切なさが感じられます。

でも、寺元カジ。弱々しい瞳だったのが、後半物語がすすむにつれ力強くなる。

エスメラルダを救出し「サンクチュアリー!」と叫ぶ場面では、弱いカジモドは存在せず、凛々しく強いカジモドがいました。

お芝居の緩急が素晴らしい!

歌も声がすこーんと伸びてとても綺麗。

 

寺元さんが劇団四季に入団されて本当によかったです。

私は寺元さんを東宝の「レディ・ベス」と「貴婦人の訪問」で観ているのですが、東宝ではアンサンブルの扱いだったと思うし、どんなに実力があっても、東宝だとアンサンブルさんはアンサンブルさんのままなことが多いし。(むしろアンサンブルさんの実力の高さが、下手なプリンシパルを支えている現実...)

こんなに歌もお芝居も上手な寺元さんが、劇団四季に入団していなかったらと思うと、恐ろしい。

フロロー:村 俊英

2018年公演では、村フロローはエスメラルダと出会った前と後では、ジキルとハイドみたいに人格が代わったように思えたのですが、今回はそう思いませんでした。

また2018年の村フロローは、

「公演回数を重ねるにつれ、表情がだんだん冷徹になっていくように感じたんですよねー。

勝手な思い込みかもしれませんが、フロローという役に毒されてきたのかなと思いました。」(2018年の自分の感想から抜粋)

と、最初は温かみのあるフロローだったのに、公演が進むにつれて冷たく感じたのでした。

2022年の公演も、この先変化するかわかりませんが、今回の感想は上記とは全く別なので書き留めておきます。

この日(2022年6月15日)の村フロローは、作品のテーマである「人間と怪物」の表裏一体を体現しているような存在でした。

フロロー役は、エスメラルダに出会って今まで積み上げてきたものが崩れ闇落ちしてしまう、というのが自分の認識で、役者さんによって濃淡に個人差があるのだけど、とりわけ濃く演じるのが、川口フロローだったと思います。

でもこの日の村フロローは、最後まであまり変化していなかったように思えます。

闇落ちした怪物が常軌を逸した行為をしているというのではなく「え?まさかあの人が?」と、凄惨な事件を起こした犯人が思いもよらぬ人だったみたいな、常識的に見える人が引き起こした惨劇にみえました。

で、こういうフロローの姿は、私たち人間の姿に通じるんじゃないかなと思えたんですよね。

ミュージカル『ノートルダムの鐘』では、アンサンブルさんだけでなく後方で歌っていらっしゃるクワイヤさんたちも、市井の人々として演技をしています。

カジモドに対して優しいまなざしを向けることもあれば、蔑んで傷つけようともする。

人間誰しも良い面と悪い面があり、悪い面を怪物というなら、人間は何かきっかけがあれば、簡単に怪物になってしまう危うい存在。そして良識的にみえる村フロローは、踏みとどまったり踏み外したりと、常にギリギリにいるように見えました。

この姿こそ、私たち自身なのかなと。

 

カジモドが道化の祭りで民衆が投げたものをぶつけられたとき、自分にぶつけられているみたいに、痛みを感じているようだった村フロロー。カジモドを大切にしているのがすごく感じられ、最期にカジモドに投げ飛ばされるなんて、全く予期できず、状況を飲み込めないまま投げ飛ばされたような表情が印象に残りました。

歌のことを書いていませんでしたが、お声が艶々。映画のフロローさまの美声、変わらず堪能できました。

エスメラルダ:岡村 美南

久しぶりの岡村さんエスメ!

なんて美しいのでしょう...!舞台にいるだけで、周りがぱっと華やぐ。カジモドやフロローだけでなく、見る人を虜にしてしまうオーラに圧倒されました。

2018年公演の後半は出演されず、もっぱらCDで聞いてばかりだった岡村さんの歌を改めて劇場で聴けて本当に嬉しかったです。CDだ...CDだ....と不思議な気分にもなりました(笑)

エスメラルダ役の皆さん、歌お上手ですが、岡村さんは別格だと思います。

フィーバス:神永 東吾

神永さんを拝見するのが初めてでした。

ジーザス・クライスト・スーパースターのジーザスやオペラ座の怪人のラウル、キャッツのラム・タム・タガー、アナ雪のクリストフなどを演じられているんですね。

すっごいイケメンさん。

そして、自分が知っているフィーバスの中で一番軽くてちゃらいw

「♪息抜き」では、ほぅっ!と言ってノリノリです。

でも、大聖堂でエスメラルダに「墓標のない墓に仲間を埋める仕事?」と言われた瞬間、表情が「無」になる。

寺元さんカジモドにも感じた事ですが、神永さんも表情の緩急がすごい。

そして、神永さんのちゃらいフィーバスのおかげで、ようやくつながった事がありました。

一幕ラストの「♪エスメラルダ」で、フィーバスが「僕は彼女のために大事な仕事を捨てた~」と歌うセリフ。

これまでフィーバスらしくない、なんだか押しつけがましいセリフだなと思っていました。

フィーバスには真面目で正義感が強い印象があって、上記のセリフとあまりしっくりこなかったんですよね。翻訳なので仕方ないのかな~なんて思っていたのですが。

でも、ちゃらい神永フィーバスなら、4年間の辛い戦場からようやく解放され、パリの大聖堂警備隊長として将来は順調♪と、ポジティブにしか考えていなかったのに、面倒なことに巻き込まれてしまったら、上記のセリフを言いそう。

軽くてちゃらいけれど、芯は強く優しくて、エスメラルダに寄り添う姿が素敵でした。

クロパン:髙橋 基史

髙橋 基史さんも初めて拝見しました。劇団四季さんは本当に素晴らしい俳優さんが揃っていますね。

今週クロパンデビューされて、私は観劇した日は髙橋さんクロパン2日目のはずですが、もう10年くらいクロパン演じていますって言われても不思議じゃないくらい貫禄がありました。

ツイッターでどなたかが、パイレーツオブカリビアンのジャック・スパロウみたいとおっしゃっていましたが、ものすごくわかります。

眼光がするどくワイルド。阿部よしつぐさんのワイルドさとは、ちょっと違う。

悪ノリ、おふざけしそうな(舞台ではしていないけれど)、一匹オオカミで生きてきたような力強さがある。でも仲間を捨てない頼もしさもあり、何より舞台での存在感がすごい。

腰の動かし方とか、思わず目を引いてしまいます。物語にメリハリがつき、髙橋さんクロパンは常に余裕が感じられました。

LKでスカーを演じられていたようですが、ヴィラン役独特の低音の凄みもあって、めちゃ好みです。またみたい。

その他感想

今回の席は上手の端っこ。前方席ですが、舞台は見切れます。

俳優さんの表情はよく見える席でした。オペラグラスも使いましたが。

スピーカーが近く、音のバランスが良いとは言えないのですが、CDでは聞き取れない音がよく聴こえたので、個人的にはご褒美にも思えました。

 

冒頭の静かに始まるオーリム。俳優さんたち歩きながら舞台に出てきて、歩きながらあの繊細で静かなハーモニーを奏でる凄さや、最後の顔を黒くするシーンで、身体を思いっきり曲げながら歌うアンサンブルさんたちなど、プリンシパルさん以外の方たちの力を改めて感じました。

カジモドのエスメラルダ救出シーン。手すりを超えていく場面で、アンサンブルさんたちが手すりになっているところ、皆さんカジモドを目で追ったりと細かに演技されていて、最後の女性(お名前がわからない)がカジモドを後ろから抱きしめるようなポーズから、ぱっと解放して「さぁ、いきなさい」と伝えているような慈愛に満ちた表情をされているのが、強く印象に残りました。

ここの場面、皆さんの表情をみるとなると前方席じゃないと無理だな....

もう前方席なんて残っていないけれど、やっぱり前の方で舞台を何度もみたいです。

ノートルダムの鐘 横浜 2022年6月15日(昼)公演 全キャスト

カジモド 寺元 健一郎
フロロー 村 俊英
エスメラルダ 岡村 美南
フィーバス 神永 東吾
クロパン 髙橋 基史

【男性アンサンブル】
武藤 洸次
梅津 亮
村山 剛
川原 信弘
中橋 耕平
飯村 泰志
貞松 響
玉井 晴章

【女性アンサンブル】
中山 理沙
近藤 きらら
徳山 稚子
坂井 菜穂

【男性クワイヤ(聖歌隊)】
柳 隆幸
伊藤 力
奥田 直樹
石井 駿人
千葉 晃樹
持木 悠
塙 康平
石本 高雅

【女性クワイヤ(聖歌隊)】
中村 侑佳
相原 れいな
葛葉 かな
小藤 恵理子
北野 有希依
薄井 美伽
玉置 ともか
梁瀬 彩加

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