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ミュージカル『プロデューサーズ』感想(2020年)※大野レオ、井上マックス、木村カルメン、木下ウーラ

東急シアターオーブで公演中の『プロデューサーズ』を観に行きました。大野拓朗さんレオの回です。

トニー賞12部門受賞の大作エンターテイメントではあるものの、風刺たっぷり、ブラックジョーク満載なストーリーを日本人キャストが日本人客向けに演じることや、今の時代この内容は大丈夫なんだろうかと怖さ半分で観劇し、その不安が解消されることはなかったのですがw、俳優さんの新たな魅力に気づけた公演でもありました。

MEMO
ミュージカル『プロデューサーズ』のあらすじを簡単に説明すると、かつてブロードウェイでヒット作を飛ばしていたが今は落ち目のプロデューサー、マックス(井上芳雄)が会計士のレオ(吉沢 亮/大野拓朗)から成功するよりも失敗した方がプロデューサーは儲かると聞き、フランツ・リープキン(佐藤二朗)の書いた最低の脚本を、最低の演出家ロジャー・デ・ブリ(吉野圭吾)に依頼し、最低の俳優たちを使って、史上最低の作品を作り、早々にクローズさせようともくろむ話。
目次

キャストさん勝手にランキング

『プロデューサーズ』のキャストさんを勝手にランキングにしました。ランキング順位は完全に個人的なものです。1位と2位の理由を強いて挙げるなら、自分が知らなかった役者さんの新たな一面を知ることができたというもの。

優勝:木村達成(カルメン・ギア)

カルメン・ギア扮する木村達成さんが出てきた瞬間、脳内に「優勝!」と響き渡りました。

映画『プロデューサーズ』でもそうなのですが、カルメン・ギアは演出家のロジャー・デ・ブリの付き人兼秘書で恋人。何か重要なことを行う人物ではないのに、やたら印象に残る人物です。

今回の木村達也さんのカルメンも、舞台で何をしていた?と言われると、「たたずんでいた」「ロジャーときゃぴきゃぴしていた」くらいしか記憶にないのですが、存在感がすごい。

マックスやレオたちと会話するときの「間」のとり方も自然で、ゲイのカルメンとして一切の迷いがなく綺麗で可愛い。

華奢に見えて一緒に観劇した友人は私に言われるまで女性と思っていたくらい、美しいカルメンでした。

で、木村さんのカルメンを観ながら、ダンス・オブ・ヴァンパイアのゲイのヘルベルトを演じて欲しいなと思ったり。ロジャーの吉野圭吾さんが初代ヘルベルトなので一層そう思えました。

2位:木下晴香(ウーラ)

清純で歌が上手。というのが私が持つ木下晴香さんのイメージで、はっちゃけるウーラ役が合うのか見るまで不安でしたが、10000点のウーラ!

映画ではユマ・サーマンが演じたこの役は、気品あるノーブルなイメージの女性が演じると、より似合うのかもしれないですね。ユマ・サーマンも好きだけれど、もしかしたら晴香さんの方が自分はもっと好きかもしれない。

可愛いだけでなく、マックスが捕まった後にレオにリオ行きをそそのかす、ちょっと悪い(でもめちゃ可愛い)表情がたまらなかったです。

3位:井上芳雄(マックス)

本当なら1位は文句なしにこの方なんだけれど、井上さんの舞台を何度も拝見し豊かな才能は知っていたので、今回は3位。

マックスは予想以上に舞台に出ずっぱりで大変な役。ストーリーテイラー的な役目の時もあるし、ビッグナンバーもある。変な人たちを受け止め、上手に舞台を回す必要もある。

映画のマックスを演じたネイサン・レインがぽっちゃりのおじちゃんだったので、スマートな井上さんがマックス??とキャスティングに疑問がありましたが、舞台をみてみるとマックスの役割が大きくて、演出の福田さんは井上さんじゃないと任せられなかったんじゃないかなwと思いました。

歌もお芝居もさすがの井上さんで、特に2幕のマックスのソロは圧巻。結局、マックスは井上さんで大正解と私は思いましたが、マックス自体のキャラが下品で下ネタセリフも多かったので、井上さんのファンは辛くはないだろうか?という心配もしていました。

4位:大野拓朗(レオ)

大野さんのレオすごく良かった!

青いブランケットが手放せないなどそれなりにクセのある役柄ですが、おかしな人が多い中で、大野さんのレオは普通っぽい。

個性的すぎるキャラの中で普通っぽいと埋もれてしまいそうだけれど、大野さんレオは逆に強く印象が残り、作品バランスがとてもよかったと思う。

もう一人のレオ役・吉沢 亮さんは、はっちゃけているという口コミをみたので、その演技も見てみたい気はするけれど、大野さんのぬぼーっとした可愛いレオは忘れがたいなぁ。

5位:春風ひとみ(ホールドミー・タッチミー)

「ホールドミー・タッチミー」。この言葉を発しながらお婆さんがマックスに迫るのは知っていたけれど、役名だったの...と今更びっくり。

流石すぎる春風ひとみさん。コメディセンスといい、腰を曲げたままのキレキレの動きは、シスター・アクトのラップダンス(っぽいやつ)を思い出します。

6位:吉野圭吾(ロジャー・デ・ブリ)

ゲイの演出家でカルメンとはカップル。圭吾さんに似合う役だと思うけれど、全体的にちょっと固く・・・というか大人しく感じられました。私の知っている圭吾さんはもっとはじけるイメージなので公演を追っていくと変わっていくのかな~。

佐藤二朗さんフランツ・リープキンの代役でロジャーがヒトラーとして登場するシーンでは、少し猫背の「可愛いヒトラー」になっていて面白かった。ただゲイのロジャーのヒトラーがリープキンの逆鱗に触れる事になるから、なんかもうちょっと欲しいなとも思ったけれど、まぁ、でもロジャー役って難しい気がする。

 
ランキングに入れなかったけれど、あとメインキャストにはフランツ・リープキン役の佐藤二朗さん。フランツ・リープキンというよりテレビでみる佐藤二朗さんのイメージそのままでしたw

全体的な感想

『プロデューサーズ』終演後、直後に思ったのは、東宝というより劇団新幹線に合っている作品なのかな~と。

古川新太さんや橋本じゅんさんが登場しても違和感がないような舞台。

ただそう思ったのは一瞬で、新幹線だと雰囲気がまたちょっと違うのかも。

プロデューサーズで描かれていることは、「実際にはこんな奴はいないだろ」「ステレオタイプすぎる」と思える次のようなこと。

  • ヒトラー、ナチス礼賛
  • 男ひでりのエロ婆(エロ婆がマックスのセリフ)
  • 頭が弱そうなスウェーデン人金髪美女
  • ステレオタイプを誇張したゲイ
  • 下ネタ満載

時代背景を知った上で笑うのが『プロデューサーズ』という作品だと思うのだけれど、実際のところ、笑って良いのか躊躇する場面がいくつかあり、コメディ作品でありながら笑いに徹するのがなかなか難しかったです。

演じている役者さんたちはもっと大変でしょう。

井上さんのこの記事を貼っておきます。

笑いを生み出すのは、とにかく大変。稽古場は笑いにあふれていますが、やる方は懸命だし、滑るかもしれないから勇気もいる。でもみんな必死で、何かに取りつかれたように毎日違うネタをやっている人もいます。

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO65815360U0A101C2000000?channel=DF120720172677

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