ダンスオブヴァンパイア(TdV)2019感想★お祭り開催の帝国劇城

2019年「ダンスオブヴァンパイア(TdV)」を観に帝国劇城へ行ってきました!

※この記事は2019年公演4回観劇後に、追加修正しています。

前回から4年ぶり…あの時の熱狂をまだ体が覚えているのに、4年も経っているとは早いなぁ。

2015年の「ダンスオブヴァンパイア」では、還暦前の山口祐一郎さんが2005年初演時より若返っていて、なんでこんなに美しいんだ!?と驚きましたが、2019年御年63歳の山口さんもっと若返っている~!年を重ねるという概念がないのか?美しすぎる伯爵でした。

やっぱりヴァンパイアなんでしょうかね🦇❓

さて、心待ちしていた「ダンスオブヴァンパイア」

期待を裏切らず、本当に楽しくて盛り上がりました。MY初日は、スペシャルカーテンコールがあり、サイリウム振ったので終演後はアドレナリン放出!

開演前は楽しみ過ぎて、妙に緊張し肩が凝っていたのに、すっかりほぐれていました。

帝国劇場が伯爵さまの城仕様になり、リー君がロビーでパタパタ。トイレの案内もダンスオブヴァンパイア仕様へとチェンジされています。

もぎりのお兄さんお姉さんもマントを身に着けてくださり感謝🙏

キャストさんたちも最高だったし演出も豪華になり大満足。

ただ、どうしてもひっかかる事がありました。

あとで詳しく書きますが、ヘルベルトの存在というか見せ方が、特定の人たちを傷つけるものではないかということ(今回のキャストさんについてではなく、また日本公演に限った話ではないです)

熱狂と複雑な気持ちを胸に劇場を出たのですが、感想を書き留めます。

2019年ダンスオブヴァンパイア観劇記録

  • 1回め観劇:11/7(木)ソワレ 桜井玲香/相葉裕樹/森山開次
  • 2回め観劇:11/15(金)ソワレ 神田沙也加/相葉裕樹/森山開次
  • 3回め観劇:11/19(火)ソワレ 桜井玲香/東啓介/佐藤洋介
  • 4回め観劇:11/22(金)マチネ 神田沙也加/相葉裕樹/森山開次

ネタバレありの詳しい、あらすじはこちらを参考にしてください↓

ダンスオブヴァンパイアのあらすじ(ネタバレあり)*2015年11月13日の感想も少し

2019ダンスオブヴァンパイア・キャスト感想

クロロック伯爵:山口祐一郎(やまぐち ゆういちろう)


最近は、レベッカのマキシム・ド・ウィンター、笑う男のウルシュス、マディソン郡の橋のロバートと、人間味あふれる役でよく拝見していた山口さん。

人間演じる山口さんも好きですが、やっぱりクロロック伯爵とかエリザベートのトート閣下とか、マントを身に着け幽玄なおもむきを感じる役が本当にぴったり。そして帝劇のセンターにいるのもほんとう似合う方だなーとしみじみ。

初演からシングルでずっと演じ続け、不思議と年々若返る山口クロロック伯爵。

初演のパンフみると当時50歳目前の山口さんは、50歳前後にみえるクロロック伯爵なんですよ。これも美しいのですが。

でも13年後のクロロックは、63歳に見えないし、そもそも人間の年齢を当てはめるのが馬鹿らしくなるような超越した存在で、むしろ500歳と言われた方が信じられる。

登場すると劇場の空気がガラリと変わり、ただそこに佇んでいるだけで魂が吸い取られる存在感があるのに、この世のものではない儚さもあって。

影伯爵の森山開次さんが2019年のプログラムに、「ここにいながら、いない表現」とご自身が追い求めているものを伝えていましたが、山口クロロック伯爵にも同じような空気を感じるときがある。

不思議な空気をまとう山口クロロック伯爵ですが、今年はいつも以上にエネルギッシュで、舞踏会ではかなりの肉食。欲望に身を託している様子が分かります。

舞踏会で「いけにえとぉ~」の「とぉ~」を強く歌うようになっていてすごく好き。

歌に関して、特に私が1回めに観劇した時は、正直、聞き取りにくい音程もいくつかありました。

でも、それでもやっぱり山口さんじゃないと出せない歌のパワーに圧倒され、繊細な表現に心が震える。山口祐一郎さんという人は、きっと神様に歌声を与えられた人なんだろうなぁと何度も思いました。

才能のある人というのは、その才能を発揮するために常人とは比較にならないくらい、努力が必要なはず。

あの歌声を与えられた山口さんは、時に自分の力に翻弄される時もありながらも、日々たゆまぬ鍛錬を重ねてこられているんだろうな。

そして私は、ずっと山口さんは「歌の人」と思っていたけれど(一幕ラストのあのロングトーン聞いたら、誰だって歌の人だと思うw)、私含め数えきれない人の心を揺さぶるには、歌のその先にご本人のお芝居力や伝える力が確実にあるはず。

墓場の「抑えがたい欲望」でみせる、伯爵の孤独に満ちた深淵なる世界は、人間山口さんの内なる表現力が胸にぐっときているんだと思います。

山口さんは手の動きが指揮をしているみたいに振れちゃったり、横揺れしたりもするんだけれど(特にマントつけた役のとき)、そういうのも含めて、目も耳も惹きつけられずにはいられない圧倒的なオーラがある。

舞踏会ではご本人ノリノリで、イナバウワーみたいにエビぞりしながら、ロングトーンを決めていました。伯爵さまがここまでやったら、こっちも盛り上がらずにはいられない!

舞踏会にきたプロフェッサーとアルフレートに気付き襲おうとするシーンでは、身体が妙な感じに曲がり、ゾンビというかまぁ怖い。

ダンスオブヴァンパイアは14か国で上演され、多くのクロロック伯爵が存在するわけだけれど、日本で山口祐一郎クロロックを10年以上に渡り観劇できている私は、幸せものだ~!

アブロンシウス教授(プロフェッサー):石川 禅(いしかわ ぜん)

禅さんはどの公演も安定して、歌がうまい、声も良いで安心して観ていられますが、やっぱりプロフェッサー役が一番魅力的な気がする。

正直ほかの演目だと、出番が少なかったりで禅さんの魅力を十分に伝えられる役にあまり出会っていない気もして。

山口さんクロロック伯爵も、唯一無二の存在だけれど、プロフェッサー役も他に演じられる人って頭に想い浮かばない。

プロフェッサー役は、初演が市村正親さんで鮮烈な印象を残し私も好きでしたが、すっかり禅さんでイメージが定着したなー。

今回の公演プログラムで禅さん、2009年公演は市村さんの後だったのでプレッシャー凄かったと書かれていたけれど、禅さんがこの作品をずっと安定して支えてくれるからこそ、何重にも面白く魅力的になっていると断言できる。

前回よりも今回のプロフェッサーは堅物な印象です。プログラムを読むと、演出の山田さんから今までとは違うプロフェッサー像を求められているそう。以前まではセットがシンプルだったので役者の個人芸が生きていたけれど、セットがよりリアルになった事で、今までの芝居ではアンバランスになるのだか。

小難しく今までよりシリアスな教授で、でも、ちゃんとキュートで面白い。

まぁただ演出のせいか、以前は伯爵とプロフェッサーはライバル関係でありながらも、お互いの知性に敬意を抱いていたように思えたけど、今回2人の精神的なつながりは感じられないかも。

プロフェッサーの「すべて順調~人類のために」の演出が変わっていました。おもしろい(笑)以前も派手だったけれど、違う方向に派手になりました。

あと、プロフェッサーは今回傘を持っています。これも演出の山田さんが、今回の教授像を「キングスマン」のコリンファースをイメージしているからみたい。(または「薔薇の名前」のショーン・コネリー)

この傘、終盤でとある仕掛けがあります。おぉ!そうきたかと。

そうそう、今回初めて気づいたのですが、カチンコチンに凍った状態で宿屋に到着した禅さんプロフェッサー、お湯で解凍されるまで瞬きしていない!

ほんと禅さん職人すぎる。

サラ:桜井玲香(さくらい れいか)

まずは桜井さんのサラを観ました。すごく良い!好きなサラです。

桜井さん、ミュージカル初挑戦は「レベッカ」の「わたし」だったんですよね。レベッカでの桜井さんをみた時、声がとても綺麗とは思ったけれど、感情移入ができなくて、役に生きるのってとても難しい事なんだな…と思った記憶が。ただ、難しい役の「わたし」にキャスティングされたので、今後かなり期待できる方なのかな?と思っていました。

そして、この作品のサラ。

レベッカの「わたし」の時よりもいっそう、透明感のある声が伸びやか。表情豊かで、アルフレートへの興味、伯爵の声が聞こえた時の不安がありつつも興味をひかれている様子。

ちょっと気になる人(アルフレート)がいるのに、さらに魅力のある大人(クロロック伯爵)が現れて、急激に最初の人(アルフレート)に興味を失う…というのを自然に嫌味なく演じていたと思います。

いい意味で、「慣れていない」ので、18歳の大人になる前の少女の雰囲気がよく出ていました。

最後、アルフレートに襲い掛かる時、なかなか怖い表情だったのもいい!

顔立ちが華やかなのもあって、舞台にいるとつい目で追いたくなるサラです。

クロロック伯爵登場シーンで歌う「神が死んだ」で、今回の演出からサラの顔がはっきり顔が見えるようになっていました。以前は伯爵が一人で歌うだけだったけれど、サラの視線があることで今後のストーリー性がより活きるようになった気がします。

サラ:神田沙也加(かんだ さやか)

神田さんサラは何もかもが上手で「サラってこうだよね」とすんなり納得できちゃう。

桜井さんのところでも書きましたが、クロロック伯爵登場シーンの「神が死んだ」で、今回の演出からサラの顔が窓越しに見えるようになりました。ここで神田さんサラの表情が、伯爵の歌とシンクロしていて、この曲でクロロックがサラと対話しているのがよく分かりました。

好きな曲で家でも良く聴いていてますが「サラとクロロックの対話」と気づけたのは、今回の神田さんサラの表情のおかげです。

歌詞は、恋に目覚めたサラに伯爵が呼びかけているもので、サラの表情が伯爵の歌で変化していくのは自然です。

お風呂で誘惑される時も、伯爵にうっとりした表情を向けていて、お城へ行きたい気持ちが強く伝わってくる。

私、2015年の神田サラを見たとき「お姉さんっぽいサラ。もうちょっとお城へ行ける喜びを感じたかった」って書いているんですけど、2019年の神田サラは、間違いなくお城に行きたくて仕方ない少女でした。

あと神田サラは「ここ(宿)を出てお城へ行けるなら何でもする」と強い欲望をもつサラに思えました。

意志が強いというのかな。

サラの欲望って、クロロック伯爵からみたら美味しいご馳走(「自ら噛まれるものの血は美味しい」by プロフェッサー)なわけで、神田サラの血はとりわけ美味しいかもしれませんね(笑)

歌も透き通り声が伸びやかで本当に綺麗。

もっと見たら、さらに発見がありそうな今年の神田サラなので、2回しか観劇できなかったのは残念。

アルフレート:相葉裕樹(あいば ひろき)

私か最初にみた11/7の公演は、相葉さんにとってアルフレートとしては2回め。そのせいかまだ固いかなーという印象でした。

相葉さんが固いのか、演出の変更によるものか?

プロフェッサーの禅さんの箇所でも書きましたが、演出が変わって前回までのわちゃわちゃしていたアルフレートとプロフェッサーの関係も変わったのかな?という気もします。禅さんプロフェッサーも前回よりも堅物な感じでしたしね。

今までのアルフレートは、へたれ感や意気地なし感が強く、サラへの一途な想いから成長していく、といった感じでしたが、相葉さんの場合、ちょっと気弱な真面目で純粋な青年が、最後、あっさりと闇に飲まれたという風にみえました。

「ダンスオブヴァンパイア」は、アルフレートの成長物語でもあるから、この解釈があっているか分からないですが、血に飢えるヴァンパンパイアは人間社会に置き替えてみることもできるから、こんなアルフレートも面白いよなぁと。だってネオ・ゴシックホラー・ミュージカルだし。

ご本人にそのような意図があるかは不明ですが

→と、書いたのですが次からはだいぶ柔らかく面白くなってきました。

相葉さんのインタビューみると、ご本人はアルフレートをヘタレと認識しているし「周りからこういう役合う」と言われているよで、ご本人はヘタレ役を演じたいのだと思う。

確かに回を重ねるごとに可愛くなってきたんです。相葉アルフレート。

でも相葉さんをみていて「アルフレート役って難しいんだなぁ」と思ってしまいましたw

相葉さんの本当の性格を私は知らないのですが、周りから「似合う」と言われるくらいだから、アルフレートみたいにヘタレっぽかったり天然っぽい所があるのかもしれない。でもご本人の性質とお芝居で表現するのは別物なんだろうなと思えて。

プロフェッサーと会話をあまりしていないように感じたんですよね。

セリフはしゃべっているのだけど。

伯爵と息子の霊廟探索のシーンってアドリブがよく出るシーンだけれど、実はアドリブなくても十分面白いはず。それは、プロフェッサーとアルフレートの会話のリズムとか間があるからで、ここで少し間をつくると面白いのに・・・と思えるところがいくつか。

深読みしちゃうと、原作映画のアルフレートは口数が少なく、プロフェッサーとテンポよく会話するキャラではない。だからある意味、原作に近いアルフレートと言えるのだけど、たぶんそういう意図はなさそうな気がするw

私、今年のレミゼで相葉さんのアンジョルラスにすごく感動したんです。美しい理想をかかげ儚く散った、透明感のある革命家リーダー相葉さんアンジョルラスは、ヴィクトル・ユーゴーが理想の人物として描いたアンジョルラスにかなり近いんじゃないかなと思えて。

でもコメディってやっぱり難しんですね。ラ・カージュ・オ・フォールのジャン・ミッシェル役は良かったんだけれどなぁ

まぁ初役だからかな~

だんだん可愛くなってきて、歌も調子よくなってきたので、たぶん公演回数重ねるともっと良くなると思う。実力のある俳優さんだと思っているので。

アルフレート:東啓介(ひがし けいすけ)

東啓介さん初めて観劇したのですが、声がめちゃくちゃ良い・・・芝居も面白かったです。

NHKのアナウンサーもできるような声質の良さで、開演前のアルフレートのアナウンス、劇場関係者さんと勘違いしそうになったw

「サラへ」の歌も声が心地よく響いて、ぜひこの歌声を生かしていろいろな役に挑戦して欲しい!

少年っぽい純粋さとサラへの強い興味、怯え方の可愛さなど細かい演技も印象に残りました。身体が大きいのが余計可愛くみえますね。

肩のすくめ方、泉見洋平さんアルフを思い出します。

霊廟探索のシーンはアドリブ多く面白かったのですが、プロフェッサーに反抗的だったのが意外。

アルフレートはプロフェッサーのことを尊敬しているので、あまり反抗しちゃうとキャラクターとずれるかなと思っているのですが、

ご本人がいろいろ考えて役作りされているんだろうなーというのが伝わってきます。

そういえば東さんまだ24歳なんですね。

あの声の良さを考えたら、将来の伯爵さま候補になるかも。

ヘルベルト:植原卓也(うえはら たくや)

とても美しいヘルベルト。目の保養になります。

見た目だけでなく、最初に登場する時の声も美しいし、立ち姿、手の動きなども完璧。

ヴァンパイアの怪物風なちょっと気持ち悪い動きから、伯爵の息子らしく高貴な雰囲気もあり、声色も状況によって使い分けて面白い!

観るたびに殻が一枚ずつ剥けていったように感じます。

あの役は、最初から飛ばすのも難しいよね~。

まだ、まだ行くと思う。ダンスオブヴァンパイアの最終地、大阪梅田劇場でどんなヘルベルトになっているのか知りたい!

マグダ:大塚千弘(おおつか ちひろ)

初代サラのちいちゃん。なんでサラじゃないの??とキャスト発表の時思ったのですが、素敵なマグダでした。(まだサラも余裕で行けると思います)

今までのマグダみんな好きだけれど、ちいちゃんが個人的に一番好きなマグダかな。

人間でいる時は妖艶。でもヴァンパイアになった時は、怖いw 完全に吹っ切れていましたねー。

ちいちゃんの美しい声は相変わらずで、妖艶ながらも可愛さがあり憎めない。

シャガールの浮気相手なのに、シャガールの妻レベッカと良い関係を築けている事が、納得できてしまうマグダです。

石川禅さんもそうだけれど、ちいちゃんもいつも安定してハイクオリティなので、舞台にいてくれるだけで安心感がある!

シャガール:コング桑田(こんぐ くわた)

シャガール役が長いだけあって、力みが無く自然に面白いアドリブがポコポコ。楽しかったー。

音楽が変わった時「なんか雰囲気変わってあせるぅ~」とか。

可愛さが増している気がします、コングさん。

レベッカ:阿知波悟美(あちわ さとみ)

阿知波さんレベッカ、コングさんシャガールとの夫婦役が長いからか、長い夫婦の絆を感じます。杭を打とうとするプロフェッサーからシャガールをかばう姿は、うるっと来てしまいました。

クコール:駒田一(こまだ はじめ)

今年も可愛いクコール。幕間のクコール劇場もあります。

個人的には、2017年に劇団四季「ノートルダムの鐘」のカジモドに出会ってしまったので、今年のクコールへの目線が少し変わりましたね。

人間なのにクロロック伯爵に仕えていたのは、きっと人間から恐れられる姿で、その世界に居場所がなかったから。

ヴァンパイアの世界では、たぶんクコールの姿にとやかくいう人(ヴァンパイア?)はいなかったんじゃないかな。

でも、プロフェッサーやアルフレートがお城に来て脱出した時、最後迷うクコールがいて。迷ってヴァンパイアの世界を一歩踏み出し、人間の世界へ戻ろうとしたんだと思う。

この一瞬迷っている間が、泣けてしまいました。

影伯爵(ヴァンパイア・ダンサー):森山開次(もりやま かいじ)

やっぱりこの作品で大切なのは、ヴァンパイア・ダンサー!

「外は自由」からの赤いブーツ、「夜を感じろ」の、ヴァンパイア・ダンサーさん達が出現して踊りまくるナンバーが大好きで、東宝さんは本気で映像化してほしい。

そして森山開次さんの影伯爵!

「静」の動きなのに、存在感がものすごくある方。

ナンバーによっては、ロック風に、またはコンテンポラリーダンス風にと趣を変えて肉体で表現する姿に目を離せません。

足先、指先、そして髪の毛一本一本まで神経が息届いた演技に、思わず息を止めてしまいます。

2019年も森山さんを観れて嬉しい。

墓場でのクロロック伯爵とのシンクロが本当に美しく、まるで伯爵とは表裏一体の存在に見えます。

影伯爵(ヴァンパイア・ダンサー):佐藤洋介(さとう ようすけ)

2019年初参加の佐藤洋介さん。はぁ…ここにも素敵な影伯爵がいました。

1幕のサラの幻想シーンでは、マントを付けて優雅に踊る貴族。

クロロック伯爵が人間だった時、こんな風に踊っていたんだなと思える影伯爵でした。

それが2幕のアルフレートの悪夢でマントを脱いだ瞬間、恐ろしい異形の怪物となる。

墓場のシーンでは、クロロック伯爵の身体からふわっと分離して出てきた「もう一人の伯爵」のよう。

器であるクロロック伯爵は淡々と歌うが、内面の苦しみを全て表現しているのが佐藤さんの伯爵の化身。

森山さんがクロロック伯爵との表裏一体の関係、佐藤さんがクロロック伯爵から分裂した魂

こんな風に感じました。

しつこいですが、影伯爵をはじめ、ヴァンパイアダンサーさんたちを舞台でずっと目で追う事ができないから、映像化して欲しいんですよね。。。。

2019年ダンスオブヴァンパイアの全体的な感想

2019年の「ダンスオブヴァンパイア」。セットがかなり変わっていました。大型化しゴージャス。

どうやらウィーン版に近いらしいです。

お城のセットが豪華になったのが嬉しいです。一幕ラストのお城の門、お城の階段もリアルっぽく作っている。鏡や燭台が効果的に使われ、ゴシックホラー的な美しい怖さが以前より出ています。

宿屋に凍えたアルフレートとプロフェッサーが入ってくるのが、今までは真正面だったのが下手側と変更に。

宿屋を3階建てにして、「♪初めてだから」では、アルフレートxサラ、シャガールxマグダ +叩かれるプロフェッサーの動きを、縦に見せる感じ。

2階席だと全ての動きが一瞬で理解できます。一階も後方席だとわかりやすいかな。

この宿屋、途中でxxxして伯爵が現れるので、びっくりしました。(まだ公演中なので一応伏せておきます)

前回までサラを舞踏会へ誘うため伯爵が登場する時、こうもりリフトにのった伯爵が空から現れて誘っていましたが、今回、宿屋の構造が変わったために、伯爵は普通に地面に立って現れます。

空中から突如出てきた方が面白いし迫力はあったけれど、帝劇の天井についてしまう位の高さのリフトがぐらぐら揺れているのをみたことあるし、万が一の事故を考えると今のでもいいかな。

サラの入浴シーンは以前よりサラのボディが見えにくくなったかも?(これはこれでいいと思う)

前は、サラの歌声に合わせて泡がぷわーっと噴き出す演出あったけれど、それがなくなりました。

盆が回るようになり、プロフェッサーとアルフレートがお城を探索するシーンで、二人がお城の中で迷っている感がより出ていました。

図書室は以前の方が豪華。今は暗い色彩になって残念。

前は、城内を探索していたプロフェッサーとアルフレートの2人が図書室にたどりついた時、蔵書の多さに本好きのプロフェッサーの目が思わずハートになったのがわかるような、豪華で明るい作りだったと思う。確か、天球儀と望遠鏡も以前はあったような…

今回、指揮者が2人いて、TdVの音楽監督も務める甲斐正人さんが指揮の時は重々しくゆっくり。宇賀神典子さん指揮の時は、従来通りテンポよくすすみます。

私は最初の1回が甲斐正人さん指揮であとは宇賀神典子さんでした。

演出の山田和也さんがブログで、ピアノ通しした際に「今までで最もシェイプアップされた”『ダンス オブ ヴァンパイア』になっているのではないだろうか?」とおっしゃっていたので、(参考:『TDV』通信)、上演時間が短くなるのかな?と思っていましたが、休憩入れて3時間5分なので、まぁまぁ長い。カテコがはいるとさらに伸びます。

変更で気になった点もありますが、今年のバージョンとても好きです。お城が豪華で別世界へやってきた感じなのが一番良い!

ヘルベルトの存在について

最初に書いた「ヘルベルトの存在というか見せ方が、特定の人たちを傷つけるものではないか」という話…

今回演じた植原さんの話ではないし、日本公演に限った話でもない。

初演から私自身、ヘルベルトが大好きでたくさん笑ってきた人間なのですが、男性のヴァンパイアが人間の男性を好きになる事について「笑い」をとっているのは、今回の公演で大きな違和感がありました。

正確にいうともっと前から、モヤモヤはしていたのだけれど、あまり考えていなかったというか、ダンスオブヴァンパイアのノリが好きすぎて、考えないようにしていた。

別に同性愛のことだけを言っているのではなく、ほかの立場に置き替えても言えるんだよなー。

プロフェッサーのセリフに「女に振られたからといって、男にいくのか」というものがあり、ここで観客が笑うのだけれど、これを替えてみると

「欧米人に振られたからといって、日本人にいくのか」
「若い子に振られたからといって、年増にいくのか」

と、どれもその立場の人が聞いたら差別的と聞こえる

年増とか最近はあまり言わないか。でも、年齢差のあるカップルも現実にいるのに、年上の女性にアプローチされて困る若い男、なんてシチュエーションも笑いになることがある。

別に同性愛や年齢差カップル、人種の違いが作品に存在するのは自然だけれど、それを「笑い」に変えて、当事者を傷つけてしまうのであれば、変えていかなければいけないんじゃないかなーと。

私には、性的マイノリティーに属する家族が2人いますが、その2人に「ダンスオブヴァンパイア」を見せられるか?と聞かれたら、やっぱりヘルベルトとアルフレートのシーンがひっかかって見せられない。

この作品は、ヘルベルトとアルフレートのやり取りが無くても、十分面白いし魅力的だと思うんですけれどね。

レミゼでもマリウスとコゼットの結婚式でテナルディエが「おかまか?」といって笑いをとるシーンがあるし、ここも要らないと思う。

ダンスオブヴァンパイアは、元がウィーンオリジナルだから、今後も舞台が続くとしたら、そのままかもしれない。

私はこの作品が大好きだし、冒頭にも書いた通り、観劇後はアドレナリン放出だし、2019年が終わっても再演を強く望んでしまう自分がいますが、もしかしたら自分の違和感やひっかかりが大きくなったら、観なくなってしまう作品なのかなーとも思いました。それはそれで寂しいけれど。

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ダンスオブヴァンパイアのあらすじ(ネタバレあり)*2015年11月13日の感想も少し

キャスト
山口祐一郎/クロロック伯爵
神田沙也加、桜井玲香/サラ、Wキャスト
相葉裕樹、東啓介/アルフレート、Wキャスト
コング桑田/シャガール
阿知波悟美/レベッカ
大塚千弘/女中・マグダ
植原卓也/ヘルベルト
駒田  一/せむし男・クコール
石川 禅/アブロンシウス教授

ヴァンパイア・シンガーズ
麻田キョウヤ、川島大典、ダンドイ舞莉花、ラリソン彩華

アンサンブル
榎本成志、加藤貴彦、さけもとあきら、武内耕、田中秀哉、福永悠二、堀江慎也、山名孝幸、天野朋子、今込楓、岩崎亜希子、樺島麻美、島田彩、吉田玲菜

ヴァンパイア・ダンサーズ
五十嵐耕司、加賀谷真聡、酒井航、鈴木凌平、齊藤恕茉、杉原由梨乃、花岡麻里名→体調不良のため休演、代わりに横山博子、松島蘭、渡邉春菜

スタッフ
脚本/歌詞 ミヒャエル・クンツェ音楽ジム・スタインマン
演出 山田和也
翻訳 迫 光
翻訳/訳詞 竜真知子
音楽監督 甲斐正人
振付 上島雪夫
美術 松井るみ
照明 高見和義
衣裳 有村 淳
ヘアメイク 富岡克之(スタジオAD)
音響 大坪正仁/碓氷健司
歌唱指導 やまぐちあきこ/安部誠司
指揮 甲斐正人/宇賀神典子
稽古ピアノ 中條純子/宇賀村直佳
オーケストラ東宝ミュージック/ダット・ミュージック
舞台監督 廣田 進
演出助手 小川美也子
プロダクション・コーディネイター 小熊節子
制作助手 廣木由美/土器屋利行
プロデューサー 岡本義次/篠﨑勇己
宣伝写真 西村 淳
宣伝美術 小倉利光