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ネトフリ配信映画「ザ・プロム(The Prom)」感想とあらすじ(odessa上映)

Netflixで12月11日から配信予定の「ザ・プロム(The Prom)」が、ネトフリ配信に先駆け12/4~から映画館で上映されていたので渋谷のヒューマントラストで観てきました。

監督は「glee/グリー Glee」のライアン・マーフィー。

ネトフリでも視聴する予定だけれど、ミュージカル映画は出来れば爆音で映画館で観たい!

目次

ヒューマントラストシネマ渋谷の「odessa」(オデッサ)で鑑賞

odessa


ヒューマントラストシネマ渋谷の劇場では日本初のカスタムスピーカー『odessa』(オデッサ)を使ったスクリーンでプロムが見られることがわかり予約を入れました。

odessa((optimal design sound system+α)は、ヒューマントラストシネマ渋谷のシアター1に取り入れられた新しい音響システム。

映画館については、下記サイトをご参考下さい。

映画ザ・プロム(The Prom)のあらすじ

インディアナ州のレズビアンの高校生エマは、ガールフレンドとプロムへ参加したいと願うが、レズビアンカップルの参加をPTAが拒否。PTAの判断は違法であると裁判所が判決が下したため、PTA側はプロムそのものの開催を中止にしてしまう。

学校生活最大のイベントを中止にさせられたことで、友人からいじめられるエマ。

そのころブロードウェイでは、ディー・ディー・アレン(メリル・ストリープ)とバリー・グリックマン(ジェームズ・コーデン)の新作ミュージカルが初日を迎えていた。

作品評価は悪くなかったが、この2人の俳優には辛辣な批評が下され、打ち切りになってしまう。

落ち込む2人は、同業でジュリアード音楽院卒だけが誇りのトレント・オリバー(アンドリュー・ラネルズ)と、20年「シカゴ」でコーラスを務めるアンジー・ディキンソン(ニコール・キッドマン)と4人で、自分たちの名前が売れるネタを探す。

 
アンジーがSNSで見つけたのが、レズビアンのエマの話。

俳優4人は、古臭い田舎の価値観を正しエマを救えば名前が売れる!と勢い混んでインディアナ州に向かう。

 
インディアナの学校では、PTAとエマ、学生、校長のホーキンス先生(キーガン=マイケル・キー)の話し合いが行われている。

PTA会長のミス・グリーンはレズビアンカップルの参加を頑なに拒否。校長のホーキンス先生はエマの味方だった。

話し合いの最中、突然乗り込んできた俳優4人。一方的にプロム中止を抗議し、エマも校長も困惑する。

 

エマがプロムへ一緒に参加したかったのは、アリッサ。

アリッサはPTA会長の娘だった。

エマは自分の親にカミングアウトした時、親から拒絶された過去を持つ。それでも自分自身であろうとレズビアンであることを隠さない。

一方アリッサは、エマ以外にレズビアンであると告げていなかった。PTA会長の親の期待に背けず、本当の自分と「ふつうであるべき姿」の間で苦しむ。

売名行為のためエマを救いにきた俳優4人は、エマに「テレビで訴えよう」ともちかける。ディー・ディー・アレンの別れた夫のショーに出演しようと言う。

しかしエマは、テレビに出て騒ぎたかったのではなく、ただ「好きな人とプロム踊りたい」だけだった。

エマは自分らしい方法で、誰でも参加できるプロム開催の方法を探っていく。

エマの姿を見て、最初は売名行為で田舎にやってきた俳優4人たちも意識が変わっていく。

ザ・プロム感想(ネタバレもあり)

お笑い担当の俳優4人が最高。そして、エマとアリッサの勇気!

テーマのシリアスさを、明るい曲とノリのいいダンスで見せてくる、キンキーブーツやヘアスプレーのような作品です。

 

ヒロインのエマ(ジョー・エレン・ペルマン)。「好きな人とプロムで踊りたい」、ただそれだけの願いを叶える為のハードルがどれほど高いのか。

PTAから反撃を受け、友人からいじめられても、悲壮感があまりないように見える。一見、絶えず微笑んでいるような表情。

でも目は決して笑っていなくて、心からの笑顔ではないとわかる。

親にカミングアウトした時、親から受け入れられなかった。そのためおばあちゃんの家に住むエマ。

おばあちゃんが、「自分の娘が孫を捨てた(受け入れなかった)のがショックよ」と言い、エマを受け入れているのが幸いだけれど、「自分自身であることを認めてくれない世界」を毎日全身で感じているんだろうな...と思うと、エマが作っている穏やかな表情は自分を守るための仮面なのかとも思えてくる。

 
今日、たまたま流れてきたこちらのツイートが目にとまったのだけれど↓

「人々が古くから持つ概念」にまだ世間は縛られていて、無意識に人は人を日々傷つけていることを思い知らされます。

こういう意味でも、ザ・プロムという作品の存在意義は大きいし、舞台だけでなくネトフリや映画で配信してくれるのもとても意味のあることだと思うます。

 

エマの相手のアリッサ(アリアナ・デボーズ)。

すでにカミングアウトしているエマとは違い、アリッサはレズビアンを告知していないクローゼット。

エマの事を想いつつ、親の期待を裏切ることが出来ない。プロム会場が変更になったことを知らないエマが、ただ一人ドレスアップした姿で体育館にいることを知りながらも、親と一緒にいるプロム会場からエマのもとに駆け付けることができない。アリッサに失望したエマからは別れを告げられてしまう。

レズビアンの恋人が窮地に立たされていたら、自分はどうするか?

自分の身に置き替えて考えると、アリッサと同じ行動をとる可能性を否定できないなと思いました。

親の影響は本当に大きい。子供は無意識に親の期待に応えようとするものだと思う。まだ10代で親がPTA会長。離婚した父が、家に帰ってきたくなるような理想の娘でなければいけない。そんな母親の想いがアリッサを縛る。

親の期待を裏切れない自分、勇気が出ない自分...アリッサの苦しみも大きい。
 

アリッサの母親でレズビアンのプロム参加を断固反対していたPTA会長のミス・グリーン。

自分の娘がエマの相手とわかり、衝撃を受ける。

「辛い人生を送ってほしくない」と、親の想いを娘にぶつけるが、娘からは「(ありのままでいられない)私はすでに辛い」と言われ、はっとする。

親ならではの想い。しかしそれは親が認めたくない考えだったのではないか。

ミス・グリーンは娘のことが理解できない。しかし母は、娘アリッサがエマとカップルとして参加するプロムへやってくる。

なぜ?と問う娘に「私は何よりも大切なものの為にここにきた。あなたを愛している」と伝える。

ミス・グリーンの返事は、俳優の一人バリー・グリックマン(ジェームズ・コーデン)が、かつて親から欲しかった答え。

ゲイのバリー・グリックマンも、10代のころ、好きな男子とプロムへ参加したかったが、彼が女の子とプロム会場へやってきたのを見つけてしまう。

バリーの心に深い傷となったのは、親が彼を認めなかったこと。

母親が「理解できなかったのよ」と謝罪に訪れた時、「僕は理解して欲しかったわけではない、ただ愛して欲しかった」と答える場面があり、それが、アリッサとアリッサの母親へのシーンへとつながっているように見えました。

ザ・プロムは、みんな理解しあえてハッピー!という終わり方ではなく(歌って踊ってハッピーエンド風だけれど)、理解できなくても隣人の存在を認めることはできるよね?と、今の現実に合った内容だと思う。

バリーの母親は息子に謝罪したけれど、「お父さんはまだ...」と、父親が息子を認めていないのがリアル。

エマをいじめていた同級生たちも、「いじめたのが悪かった」事を反省して終わる。

理想は、理解し合うことなのかもしれないけれど、「同性愛は悪」のような、古いキリスト教の価値観の世界で生きてきた人たちが突然、男女以外の愛を理解するのは難しいことだろうと思います。

 

今回はレズビアンが題材になっているけれど、性的指向に留まらず、自分らしく生きられない人たちの存在に気づく大切さをミュージカル映画(舞台)という娯楽で伝えるプロムはやっぱりいいな。

テーマの重大さを含みつつ、楽しい娯楽作品に仕立て上げている俳優4人たちも最高。

エマのためといいつつ、自分大好き、自分のことをアピールしがちなディー・ディー・アレン(メリル・ストリープ)、

親友のようにエマに寄り添う、万年アンサンブルのアンジー・ディキンソン(ニコール・キッドマン)、

ゲイでエマと同じようにプロムへの苦い想い出と親との溝があるバリー・グリックマン(ジェームズ・コーデン)、

ジュリアード音楽院卒しか自慢することのないトレント・オリバー(アンドリュー・ラネルズ)

そして、エマの味方でディー・ディー・アレンのファンであるホーキンス先生(キーガン=マイケル・キー)

ホーキンス先生がミュージカル好きで、観劇のために生きているミュージカルおたくの気持ちを代弁しているようなのも楽しかった。ワクワクドキドキしながら劇場に向かい、でも劇場に入ると家にいるようなホッとする感覚がある、ってわかりすぎる!

来年の3月、地球ゴージャスで日本初演になるプロム。キンキーブーツに引き続き、岸谷五朗さんの演出なのでこちらもすごく楽しみ。

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