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1789バスティーユの恋人たちを、歴史に疎い友人と行ったので軽くフランス革命をおさらい

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帝国劇場で2016年4月11日~5月15日にかけて上映している「1789バスティーユの恋人たち」。

前から気になりつつ、今回観劇は見送ろうかと思っていたのですが、ツイッターでフォローしている方たちが

「曲が最高」
「ダンスの迫力がすごい」

と、めちゃ興奮されている様子でツイートしていたので、慌ててチケットをチェック。

自分が東宝ナビザーブで見た時は、ほぼ全日程・全席埋まっていたのですが、かろうじて1日、2席空いていた日があり席確保できたので、見る事が出来ました。(さらに後日、補助席抽選でも別の日を確保)

さて、もすらんの友人きのどんは、趣味でギターを演奏しているので音楽には詳しいっぽいのですが、ミュージカルが趣味というワケではありません。

ただ、誘えばミュージカルを見に来てくれる貴重な友人。

ミュージカル苦手な人は苦手ですからね。

今回も誘ったら、すぐに「行く」と答えてくれました。

で、当然作品としての1789の前知識はないだろうと思っていたので(私もこの作品はノーマークだったので知識はほとんど無かったのですが)、

「フランス革命の起こった1789年の話で・・・」と説明しようとしたら、

きのどん

「えー、1789って年なんだ・・・」

と、そこも知らなかった、という話。。。

その後も、

きのどん

オスカルとアンドレは実在したの?マリーアントワネットも本当に居たの?

とかよくわからない事を言い出したので(ベルばらはアニメで見た事があるらしい)、

歴史に興味のない人って、本当に興味がないんだなーとある意味感心しましたw

という事で歴史に詳しくない人に、1789のストーリーを理解する為のフランス革命について説明します。

王室の浪費、戦争により赤字に膨れ上がったフランス財政

まずは、ミュージカル1789の話に入る前の時代からです。

革命の下地となったルイ16世前の話

歴史に詳しくない人でも、フランスのヴェルサイユ宮殿の事は恐らく聞いた事くらいはあるはず。

太陽王ルイ14世が、フランスのヴェルサイユ地方に作った豪華絢爛な宮殿で、今でもフランスの一大観光スポットになっています。

ルイ14世の2代後、ルイ16世がフランス革命当時の国王です。

ヴェルサイユ宮殿はルイ14世が自分の絶対的権力を見せつける為に建てたお城ですが、ここでの儀式にのっとった毎日の生活は革命時のルイ16世時代まで引き継がれ、膨大なお金を注ぎこむ事になります。

起床時から寝るまで、お世話する貴族たちや食事、着替えなどに多額の費用を使っていたワケですね。

またルイ14世はオランダやスペインなど対外戦争を引き起こすも失敗に終わり、戦争費用として多額のお金を失い、国の財政が悪化します。

ルイ14世亡き後、後を継いだのがルイ15世。フランス革命時に王位についていたルイ16世の祖父にあたる方です。

このルイ15世は政治に興味がなく、政治は側近に任せて自分は多くの愛人とキャハハ~ウフフ~と楽しく過ごしていたようです。

愛人の中では、特にポンパドゥール夫人、デュバリー夫人が有名。愛人たちには高価な宝石などを与え贅沢させていました。

ルイ15世は浪費家で、そのツケは次のルイ16世時代のフランス革命へとつながっていきます。

今までのツケ+出費も多かったルイ16世時代の話

ルイ16世はフランス革命によりギロチンで処刑されてしまう王様です。

ルイ15世とはうって変わって質素で倹約家、と後世で伝えられているルイ16世。

実際には、趣味の狩猟や馬の世話(1500頭の馬を所有していたらしい!)などでかなりお金は使っていたようです。

ルイ16世はベルばらで有名なマリー・アントワネットの旦那さんで、マリー・アントワネットも宝石や庭園造営・賭博など莫大な借金を作りフランスの赤字はますます膨らみます。

それに加え、アメリカの独立戦争の援助にも国のお金が使われ、フランス財政はますます悪くなるばかり。

さらに当時、世界規模で災害が頻発していて、農作物が大きな被害を受けています。

フランスでは王室の贅沢とは対照的に、農民は飢えと貧困に苦しんでいました。

税金を納める義務があったのは平民だけという不平等さ

フランスの身分制度は3つに分かれていました。そして、税金の大部分を負担していたのが「第三身分」にあたる平民たちです。

  • 第一身分が聖職者
  • 第二身分が貴族
  • 第三身分が平民(都市の商工業者、職人、農民など) 

人口比率で言うと、第一身分と第二身分を合わせて、2~3%。その他の97~98%が第三身分です。

人口のほとんどを占める第三身分が税金を納めるのならいいのでは?

とも思えますが、国土の40%を所有していた第一身分と第二分の特権階級の贅沢な暮らしに加え、莫大な戦争費用なども第三身分の税金が使われていました。

贅沢な暮らしをしつつ納税しなくていい王室や貴族、聖職者

贅沢三昧の王室や貴族の生活費+戦争による多額の出費のツケを払わされる平民

こりゃー暴れますよねw

平民である第三身分はさらに次のように分けられ、同じ平民どいえども貧富の差が激しいものでした。

  • ブルジョワジー  自分が生産手段を持つ資本家。大地主など
  • 中流市民(プチ・ブルジョワ)     商工業者、小商店主など
  • プロレタリアート 自らの労働力をブルジョワジーに売って生計をたてるもの。農民など

やってられねーぜ!と不満を抱き始めた第三身分たち

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ここら辺からが、「1789バスティーユの恋人たち」のストーリーの始まりです。

第三身分の中でも毎日の食事にも困っていたのが、人口の大部分を占める農民たち。

領地を治めている貴族の奴隷のような状態でした。

1789の主人公、ロナンも農民で第三身分の最下層にあたります。彼の父が貴族将校のペイロールに殺されてから1789の話が始まります。

上の写真はロナン役の小池徹平さん(左)と加藤和樹さん(右)。

父親を殺されてから訪れたパリで、ロナンは革命家のロベスピエール、ダントン、デムーランと出会います。

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左からデムーラン(渡辺大輔さん)、ロベスピエール(古川雄大さん)、ダントン(上原理生さん)。

ちなみにロナンは架空の人物。

革命家3名は実在した人物です。

ロベスピエールは歴史上有名すぎる人物だと思っていましたが、

きのどん
ロベスピエール?何それ?

歴史に詳しくないきのどんは、ロベスピエールの名前を知りませんでした。(そんなもの?)

ロベスピエールは後に恐怖政治家と呼ばれ、多くの貴族をギロチンの断頭台送りにした人物です。

革命家たちが先導し、民衆が動いていく

ロベスピエール、ダントン、デムーランの革命家3名は、プチ・ブルジョワ。

第三身分に属し、ブルジョワとプロレタリアートの半ばに位置します。この革命家3名は、第三身分として革命に参加しています。

ちなみに・・・ロベスピエールの父親は法服貴族で弁護士(ロベスピエールも弁護士)。

もすらん

法服貴族は官職や特別な地位をもてるのですが、世襲が認められず貴族階級と平民階級の中間に存在し、免税特権のある第二身分の貴族とは別です。
  • ロナンのように貧困にあえぐ、第三身分最下層のプロレタリアート
  • 税金を多く収めているのに、貴族たちのように免税特権がない、第三身分富裕層のブルジョワジー
  • そして現在の体制に批判的なロベスピエール達のような革命家

同じ革命を目指す仲間でも今まで味わってきた苦しみは異なり、「自分は君たちとは違うんだ!」とロナンが革命家3人に歯向かうシーンもありますが、特権階級や現体制に対してへの怒りという点では共通。

フランス革命への下地がふつふつと出来つつあります....

フランス革命の導火線となった三部会

三部会とは、第一身分の聖職者、第二身分の貴族、第三身分の平民の代表から構成された議会の事。

国の重要な事を決める国会のようなものですが、王が絶対の権力を持っていたフランスではそう滅多に三部会が開かれる事はありませんでした。

1789年の三部会が開かれたのは、フランスの財政が赤字過ぎて新たに税を徴収する必要があったからです。

フランスの財政は、第三身分である平民からの税の徴収ではもはやどうしようも無くなり、破産状態。

そこで、今まで免税扱いだった第一身分の聖職者と第二身分の貴族からも税を徴収する為に、免税特権の廃止の議決を求めて三部会が開かれたのでした。

東宝の「1789バスティーユの恋人たち」では、この三部会招集のシーンをパペットを使って説明しています。余談ですが、このパペット人形、劇場で販売したら売れそうです。(ロベスピエールが人気でそう)

いくらフランスが破産状態とはいえ、今まで税金払わなくて済んでいたのに「税金払え!」と言われたら、聖職者や貴族たちは面白くない。まぁ、気持ちはわかります。

だから自分たちの利益を守る為に、三部会では身分ごとの投票(それぞれの身分を「1」と数える)で決議しようと、貴族や聖職者たちは主張します。

  • 税金を払いたくない第一身分、第二身分を足すと2票
  • 自分たち以外からも税金を取ってほしい第三身分が1票

・・・と「2対1」で多数決になれば、以前と変わらず納税から逃れられますからねw

しかしそれでは、人数が多い第三身分は納得しません。そりゃそーだ。数で上回る第三身分は一人一票を主張し、結局議論はまとまりませんでした。

その後、第三身分は三部会から離脱し、憲法制定の為に自分たちで国民議会を発足します。

第三身分を締め出し、火に油を注ぐ王室と貴族

自分たちの権利を主張し始めた第三身分の平民に脅威を覚え、王室や貴族は第三身分からなる国民議会を、議場から締め出します。

お前ら会議には加えんよ、シッシッとしたワケです。

これが第三身分の平民たちをさらに怒らせ、締め出された国民議会はテニスコートに集まり、憲法制定まで国民議会を解散しない事を誓い合います。

歴史上有名な「テニスコートの誓い」で、ミュージカルの1789でもテニスのネットで表現していました。

燃え盛っている平民の炎に油を注いでしまったんですね。

国王と王妃の敵は身内にも

もう今の暮らしには耐えられない!という平民

納税なんてまっぴら!という貴族

王室へ向けての不満が膨れ上がっている状態でしたが、対応しなければいけない王室も一枚岩ではありませんでした。

ミュージカル上では、ルイ16世の弟のアルトワ伯爵が、王座を奪いたい人物として描かれていますが、実際にそうだったのかはちょっとよくわかりません。

アルトワ伯爵は、フランスへ嫁いだマリーアントワネットの遊び相手で、享楽にふけるのが好きだったよう。民衆にひどく嫌われていたみたいです。

王室の人間で革命への関与の点からいうと、ルイ16世の従兄弟オルレアン公が有名で、彼の所有するパレ・ロワイヤルは革命分子のたまり場となります。

オルレアン公は貴族や平民を扇動して特にマリーアントワネットに関する中傷記事を記者に多く書かせています。

フランス革命勃発!バスティーユ襲撃

話は変わりますが、フランスの財政長官にスイス出身のネッケルという人がいます。

ミュージカル1789では最初の方から登場し、フランス革命史上非常に重要な人物です。

財政立て直しの為にルイ16世に請われて就任した人で、王や王妃、貴族に散財を控え倹約を忠告します。

そのため、王妃や贅沢三昧の貴族からは疎まれていましたが、逆に平民からは人気がありました。

ちなみにネッケルはブルジョワで第三身分の平民にあたります。

ネッケルは王室と平民との懸け橋のような存在でした。

しかし王室にとって悪条件と思える平民の意見を伝えてくるネッケルを、側近貴族たちからの強い要望により、ルイ16世は罷免してしまいます。

これに平民たちは激おこ!

平民たちが気に入っているネッケルの罷免=国王からの挑戦状と受け取り、

今にも軍隊がパリへ攻め込んでくる!と思って火薬庫であったバスティーユ牢獄を襲撃します。

これがフランス革命の始まりです。

ミュージカル上では、バスティーユの火薬庫を管理しているピュジェ中尉の娘、オランプとロナンの恋物語が演じられ、ストーリーに花を添えています。

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オランプ役の神田沙也加さん(左)と、夢咲ねね(右)さん。

ちなみにオランプもロナン同様、架空の人物です。

もう1つのラブストーリーとしてマリーアントワネットとフェルゼンの話も1789ではありますが、こちらは実在した人物です。

バスティーユを襲撃し、人権宣言をした所で1789ミュージカルは終わる

バスティーユ襲撃後、

人は生まれながらにして自由かつ平等の権利を有する

と、平民代表からなるフランス国民議会が議決したフランス人権宣言を出演者たちが述べる所でミュージカルは終わっています。

あっけなく幕が閉じるのは、主人公ロナンが農民で当時最も貧しく学もなく、歴史に残るような派手な働きをしたわけではなく、それでも当時はこういうロナンのような名もなき人たちが実際は多かったからかな、という気がします。

実際、飢えに苦しんだのは多くの農民ですが、革命活動や世間を先導していったのは同じ平民でもブルジョワジーたち。

そう思うと、当時はきっと多くのロナンがいたんだろうなぁ...そしてそういう事をこのミュージカルでは伝えたかったのかな、と思います。

名もなき革命家たち、という感じでしょうか。

もすらん
実際のフランス革命はその後、王や王妃、貴族の処刑、分裂した革命家たちの処刑・・・としばらく恐怖政治が続きます。

王室がもうちょっと平民に寄り添ったらフランス革命はもっと穏やかだったのかも

元々、フランス革命では立憲君主制を目指していました。

王の存在は認めつつも権力は憲法により制限されている、というもので今の日本やイギリスも立憲君主制です。

それまでのフランスは絶対君主制で、王が全統治権を持ち、支配力が強いものでした。

王室が平民に対して強硬な手段をとり続けずもっと歩み寄れば、最終的にギロチンによる処刑など恐ろしい方向に進まずに、今でも王政自体は存在していたのかもしれません。

(あとで王政が復活し、また無くなるのですが、それはまた別の話)

フランス革命後の革命家たちの行方

「1789バスティーユの恋人たち」を魅力あふれるミュージカルにする個性豊かな革命家3名。

ミュージカルでは仲間として活躍していますが、彼らもフランス革命後は、断頭台の露となって消えていきます。

ロベスピエール→ 敵対する人物たちの多くを断頭台送りにし、恐怖政治を行うようになります。自身も最後はギロチンにかけられ亡くなります。

ダントン→ ロベスピエールの恐怖政治に対抗し、もっと穏やかな寛容派へと分かれていきます。最期はロベスピエールに粛清されます。

デムーラン→ ダントンと伴に、ロベスピエールの恐怖政治を終わらせようとします。しかしこちらもロベスピエールに粛清されます。ロベスピエールとはかつて学校で同級生でした。

怖いよ、ロベスピエール・・・

もすらん
どうだった?少しはわかった?
きのどん

ベルばら買って読むよ。。。


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