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地球ゴージャスミュージカル「The PROM(プロム)」感想(注意:辛口です)2021年3月

地球ゴージャスのミュージカル「The PROM(プロム)」初日観劇してきました。

ネトフリ版のプロムを映画館でみていたので話の内容は予習済みです。

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日本版プロムは、エマの葵わかなさんとアリッサの三吉彩花さんが良かった。

歌声が2人とも綺麗。特に葵わかなさんは伸びやかな声をしていてミュージカル向き...というかアナスタシアで主役だったんですよね。

本当だったら去年、葵わかなさんのアーニャ観れていたはずなのだけど、私がチケットを持っていた回は全て公演中止になってしまいました。今も困難は続いているけど、去年の今頃は先が先が見えない中、本当に大変だったなぁ。

総じて若手たちのエネルギーが素晴らしく、プロムが題材なだけあって、ダンスシーンの迫力も見事でした。

若手が良かった反面、うーんとなったのがブロードウェイの中年組かなぁ。霧矢大夢さんのアンジーは好きだったけど...

D.D.アレンの草刈民代さん、バリー・グリックマンの岸谷五朗さん、それにホーキンス校長の佐賀 龍彦さん、歌が苦しい...初日のせいもあるのか。

実力未知数の若手を主役に据え、実力のあるベテランで固めた舞台というのは何度もみたことあるけど、今回はめずらしく(実力的には)逆にみえたw

あと、ギャグ?のつもりでやっている事が全然笑えないところもあって。これは後述します。

2階席に座りましたが、周囲を見渡す限り一席空け。今は一席空けの劇場がめずらしいくらいだと思いますが、最後まで席空けでいくのかな?

※2回目観劇したので最後に追記しています。

目次

ミュージカル「プロム」のあらすじ

ネトフリをみた時の記事を引用します。

インディアナ州のレズビアンの高校生エマ(葵わかな)は、ガールフレンドとプロムへ参加したいと願うが、レズビアンカップルの参加をPTAが拒否。PTAの判断は違法であると裁判所が判決が下したため、PTA側はプロムそのものの開催を中止にしてしまう。

学校生活最大のイベントを中止にさせられたことで、友人からいじめられるエマ。

そのころブロードウェイでは、ディー・ディー・アレン(メリル・ストリープ→大黒摩季/草刈民代/保坂知寿)とバリー・グリックマン(ジェームズ・コーデン→岸谷五朗)の新作ミュージカルが初日を迎えていた。

作品評価は悪くなかったが、この2人の俳優には辛辣な批評が下され、打ち切りになってしまう。

落ち込む2人は、同業でジュリアード音楽院卒だけが誇りのトレント・オリバー(アンドリュー・ラネルズ→寺脇康文)と、20年「シカゴ」でコーラスを務めるアンジー・ディキンソン(ニコール・キッドマン→霧矢大夢)と4人で、自分たちの名前が売れるネタを探す。

アンジーがSNSで見つけたのが、レズビアンのエマの話。

俳優4人は、古臭い田舎の価値観を正しエマを救えば名前が売れる!と勢い混んでインディアナ州に向かう。

インディアナの学校では、PTAとエマ、学生、校長のホーキンス先生(キーガン=マイケル・キー→佐賀龍彦/TAKE)の話し合いが行われている。

PTA会長のミス・グリーンはレズビアンカップルの参加を頑なに拒否。校長のホーキンス先生はエマの味方だった。

話し合いの最中、突然乗り込んできた俳優4人。一方的にプロム中止を抗議し、エマも校長も困惑する。

エマがプロムへ一緒に参加したかったのは、アリッサ(三吉彩花)

アリッサはPTA会長(藤林美沙)の娘だった。

エマは自分の親にカミングアウトした時、親から拒絶された過去を持つ。それでも自分自身であろうとレズビアンであることを隠さない。

一方アリッサは、エマ以外にレズビアンであると告げていなかった。PTA会長の親の期待に背けず、本当の自分と「ふつうであるべき姿」の間で苦しむ。

売名行為のためエマを救いにきた俳優4人は、エマに「テレビで訴えよう」ともちかける。ディー・ディー・アレンの別れた夫のショーに出演しようと言う。

しかしエマは、テレビに出て騒ぎたかったのではなく、ただ「好きな人とプロム踊りたい」だけだった。

エマは自分らしい方法で、誰でも参加できるプロム開催の方法を探っていく。

エマの姿を見て、最初は売名行為で田舎にやってきた俳優4人たちも意識が変わっていく。

引用:https://www.kinocha.com/theprom-movie/

舞台感想

プロムは、もともとストーリーがしっかりしていて、音楽も良いしダンスも楽しい作品。

映画で見た時は、「田舎(保守的)」x「都会(先進的)」の対比が強かったように思いましたが、今回の舞台はこれに加え、

「垢のついた大人たち(田舎の大人+ブロードウェイからやってきた中年)」x「子供たち」

の対比も鮮明に出ていたように思えました。

垢というのは、古い価値観や生きてきた上で身に着けてしまったエゴ。

保守的な田舎の人を「あなたたち間違っている」と諭そうとしてやってくるブロードウェイの4人組も、もともとは自分たちの保身のために行動していたわけで、どっちもどっちな垢がついている。

両者とも「自分たちの子供を守るため」、「エマを(差別から)守るため」と、大義名分的な正義がある分やっかいで、本質的なことを見失っているというのも舞台全般をみて伝わってきました。

垢のことをパンフでは「汚れ」と表現していましたが、私は必ずしも汚いものばかりではなく、生きてきた中で背負ってしまった「痛み」にも当てはまるように思えました。

痛みを知っているからこそ、伝えられる言葉がある。

PTA会長のアリッサの母親は、娘が同性愛であるとは認められないし、娘が口にする事すら許さない。でも言い合う母と娘をみたバリーはアリッサの母親に、「娘を認めないと、あなたは娘を失うことになる」と言い切る。

かつて親からあるがままの自分を受け入れてもらえなかったバリーだからこそ言えるセリフ。

身勝手な理由でインディアナにやってきたバリーたちだけど、彼らの経験をバトンにして高校生のアリッサやエマだけでなく、彼らの親も救ったシーンと思いました。

性差別を扱った作品は多く、違いを認めようといったメッセージ性が作品には含まれるのだけど、現実問題として古い価値観で生きてきた人には頭でわかっていても心では受け入れられない事も多いんだろうなと思う。

その理解できない心に突き刺さるのが、今回のバリーのセリフだと思う。このシーンは涙がでました。

映画では最後にアリッサの母親が、エマたちが開催したプロムにやってきて娘(アリッサ)に「私は何よりも大切なものの為にここにきた。あなたを愛している」と伝えていましたが、舞台ではなし。このセリフがあればもっと良かったかなぁ。

キャスト感想

冒頭にも書いたように、エマの葵わかなさんとアリッサの三吉彩花さんが良かった。

葵わかなさんのエマはひたむきさと芯の強さがあり、つい応援したくなる。

そして辛い目に遭いすぎていろいろ超越した境地にいるような雰囲気があり、たまに感情がどわっと出てくるのが好き。

自分たちアピールにやってきた身勝手な大人たちが、そんなエマのために行動を起こす流れが自然に思えました。

エマの歌は出せていない音もあったけど、基本的に声が伸びやかで、これからどんどん上手になりそう。

アリッサの三吉彩花さんは初めての舞台とのことですが、すらりとした長身で華があり、葵わかなさんと三吉彩花さんのエマアリッサコンビはきらきらとてもかわいかったです。

三吉さんはお腹の底から出す歌い方ではなかったですが、とても綺麗な声でトレーニングを続けていけば、さらに素晴らしくなるのではと思いました。

若手では、シェルビー役のMARIA-Eさんがとても歌が上手なので期待していたのですが、今回歌うシーンがほとんどなくて残念。ダンスも良いけど、もっとMARIA-Eさんの歌を聞きたかったな。

D.D.アレンの草刈民代さん。さすがの存在感で大女優オーラが出まくりでしたが、歌が残念...あと声も舞台向きではないというか、張り上げてしゃべっているように聞こえ、あまり心地よいものではなかったです。

草刈民代さんのことは好きで、今でもその気持ちは変わらないけれど、ミュージカル作品ではもういいかな...

D.D.アレンの傲慢な演技は面白かったけど。

アンジー・ディクソンの霧矢大夢さんは可愛かった。ハートのコスチュームがお似合い。

エマの前で歌う「♪Zazz」もキュートかつ豪華で、普通に霧矢大夢さんアンジーにお友だちになって欲しいと思えたw

寺脇さんはふにゃっとしたゆるやかなトレントが可愛かった。

ブロードウェイ4人組の中で、アンジー(霧矢大夢さん)とトレント・オリバー(寺脇康文さん)は、ほんわか癒し系で、お2人のキャラにあっていたような気がします。

バリー・グリックマンの岸谷五朗さんは、バリーというより岸谷さんにしか見えなかったw

エマが「あなたとプロムに行きたいの」とわざわざバリーを名指しする説得感がどうしても感じられなかったのが残念。

ネトフリ版はバリーやD.D.の描写を舞台より丁寧に描いているそうなので、舞台では感情移入しづらいせいもあるかもしれませんが。

どちらかというと、映画ではあまりでてこなかったシェルドン役の小浦一優(芋洗坂係長)さんの方がバリーのイメージかなぁ。

あと岸谷さん歌が弱い...音程は外していないけれど、歌声が聞き取れないところがいくつもあり、結局、何言っていたんだろう?となっちゃいました。

ブレイクダンスとか動きはすごかったけれど。

みていてきつかったのが、身体いじり。

バリーの岸谷さんが、「泣きすぎると私、顔が長くなっちゃう」といい、わかなちゃんエマが「馬面なだけよ」と返すシーンがありました。

他人ではなくご自身をいじって笑いをとるつもりだったと思うけど、自然な流れでこのセリフが出てきたのでもなく、そもそも差別を扱っている作品でこのセリフが出てくることの違和感がぬぐえず、なんだか冷めてしまいました。会場では笑いも起きていましたが...

岸谷五朗さんはキンキーブーツの日本演出もされていたので、プロムもかなり期待したのですが、今回は自分の好きな方向性と違うような。

ホーキンス校長役の佐賀龍彦 (LE VELVETS)さんは、映画版の校長よりも、日常のこまごまとした雑務に終われるがゆえにブロードウェイの虚構に憧れる、といった感情が伝わり良かったのですが、歌がうーん。LE VELVETSは、シュガーさんこと佐藤隆紀さんが参加されている男性ヴォーカルグループで歌が上手なイメージが強かったのですが、佐賀さんのキーにあっていなかったのかな。

なんだか辛口ばかりになってしまったw

昔の日本のミュージカルは歌がイマイチなものも結構あったのだけど、ここ数年は全体的に上手な方が増えて、それが当たり前のように思えていたから、ひさびさ歌がうーむな作品にあってしまったという衝撃があるのかも。

エマアリッサコンビが可愛いし、曲も良いしで、見所もあるのですけれどね。

あと1回チケット持っているので、葵わかなさんエマと三吉彩花さんアリッサを楽しみにしています。

あ、そういえば、題材がプロムなので、ホラー映画「キャリー」を思わせるセリフがありました。

エマがひどい目にあった後、「これよりひどいことは、豚の血をバケツで浴びるくらいよ」的な事をいうのですが、これはキャリーの最後のプロムシーンにありました。

2回目感想

初日観劇から役10日後、2回目観劇しました。

葵わかなさんがよりパワフルに、強い信念を持つエマへとなっていてさらに素晴らしかったです。初日に出なかった音も今回は綺麗に出ていました。

不満もあった岸谷五朗さんのバリーは、初日に比べると終始エマへの敬意が強く感じられ、エマがバリーに心を許し、彼に一緒にプロムへ行きたいと頼む流れが自然に見えました。

今回のD.D.アレンは大黒摩季さんでした。

ミュージカル初舞台らしいですが、さすがに大勢の前でのステージ経験が豊富なだけあり、堂々たるD.D.アレンぶり。歌も素晴らしくて迫力もありました。

ただお芝居がうーん...D.D.アレンとしてセリフを言うのに恐らく苦労しているのではないか?と見受けられました。

これから経験を積まれていけば変わっていく部分なのかなと思います。

素の大黒摩季さんが反映されているのか、終始キュートなD.D.アレンでもありました。

自分でも不思議なのですが、なぜか一番みたかった保坂知寿さんのD.D.アレン回をチケットをとっていませんでした。

追加すればよいのだろうけど、あれこれ気になる部分があって、どうしても追加できませんw

プロムサントラ

The Prom Songbook: Vocal Selections from Broadway’s New Musical Comedy (English Edition) 

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